私は自他とも認めるひきこもりであり、外に出るのは、ひきこもりの唯一の外出先であるコンビニに行く時ぐらいだ。

それにしてもコンビニは夜道の防犯対策、災害時のライフライン、そしてひきこもり最後の砦と、社会的役割を押し付けられすぎではないか。

国はもっと頑張って欲しいが、公営コンビニは17時に閉まりそうな気がするし、それはひきこもりの平均的起床時間だ。

しかし、ここ数日特に理由もなく外に出てみようかという気になっている。

何故なら今この宇宙(そら)に友作がいるからだ。

あの人がやたらと親しみやすいその理由

友作とは前澤友作ことお金配りおじさんのことである。

友作が宇宙に行きたがっているのは前から知っていたが、今まで宇宙に行きたがる著名人は数あれど、本当に行った話はあまり聞いたことがなかった。

友作は、ZOZOに始まり、ランチパック、100万円配り、ネットで彼女をゆる募など、自己プロデュースと宣伝が非常に上手い人なので、宇宙に行きたくて行きたくて震えている様もその一つと思っていた。

そんな友作が急に宇宙へ発射されたと聞いて非常に驚いた。そして多くの人間がこう思っただろう。

「宇宙に行ったのか…俺以外の奴と…」

このように、友作は個人で宇宙に行けてしまうほどの成功者なのだが、妙に気安く感じるのがチャームポイントだ。

それは、本来なら雲の上の存在なのだが、我々下々の者に対するサービス精神がやたら旺盛だからであろう。

国が10万配るのに渋りに渋って、今も「クーポン(現金も可)」と言っているのに対し、友作は何回現ナマで100万配ったかわからない。

また、結局実現はしなかったが「ネットで恋人募集」など、全人類にワンチャン友作と月に行くチャンスを与えようともしてくれた。

その恋人募集では応募前に友作との相性診断ができたのだが、私は40点台だったので心底がっかりした、まだ0点だった方が「第一印象最悪正反対の二人が徐々に魅かれあい…」という王道少女漫画、もしくはBL展開が期待できた。

そしてその相性診断はSNSに投稿できる仕様なのだが、90点台とかを出している奴に感じた敗北感は一生忘れないだろうし、逆に高得点を出した奴は今まで全く意識してなかった友作のことが急に気になりだしたことだろう。

このように、友作は人の関心を引くのがとても上手い、恋愛クソツヨユウサクすぎる。私のようなザ・コナメクジにも一瞬の夢と宇宙を見せてくれたことは心から感謝だ。

もちろん自分が友作と宇宙に行ける器だとは全く思ってないが、せめて友作にお金配られおばさんぐらいにはなりたかった。

実は宇宙開発競争も味方していた真面目な話

  • このコラムの公開日である12月20日、前澤さんはISSを離れ帰途につきました

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そんな身近に見えて雲の上の人である、友作がリアルに雲の上に行ってしまった。

まるで死んだかのようだが物理的に雲の上に行ってしまっただけである。むしろ友作が死ぬような宇宙なら滅んだ方が良い。

それにしてもいつの間にか一般人でも宇宙に行けるようになっていたことに驚きだが、これにはアメリカとロシアの宇宙戦争が関係しているらしい。

スペースシャトルの引退後、国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を派遣できるのはロシアだけになり、アメリカはロシアに大金を出して宇宙飛行士をステーションまで送っていたそうだ。

しかし2020年、スペースXの宇宙船開発により、アメリカは自前で宇宙飛行士をステーションに送れるようになり、ロシアは大きな収入源を失うことになってしまった。

よって収入源を「宇宙に行きたい金持ちの一般人」にシフトしたため、今回の友作の宇宙行きも可能になったようだ。

国際情勢まで味方するとは、さすが俺たちの友作「持っている」としか言いようがない。

そんなあらゆる意味で天上人になってしまった友作だが、下々の者に対するサービス精神は健在であり、公募した「宇宙でやってほしい100のこと」を配信中だという。

ついに「宇宙観光」ができる時代となった。

だがエベレストなどの観光登山でもたびたび死者が出ているように、危険地帯への観光事業というのは事故がつきものだ。特に宇宙は取り返しがつきそうにないので、観光化は慎重に行って欲しいし、せめて友作だけは生きて帰って来てほしい。

そんなわけで今外に出れば、もれなくお空の上から友作に見守られている形になるので、それなら外出する価値があるというものだ。

どう表現しても友作が死んだみたいになってしまったが、心から無事の帰還を祈る。