第35回 iPad Proへの道 その8 本気で仕事に使えるか、手書きメモを探す

お正月気分もようやく抜けた2月。購入からずっと遊んでばかりだったiPadianだが、そろそろiPad Proを実戦投入していきたいのである。せっかくの高性能をちゃんと仕事に活かせるかどうか。これを色々なアプリを使って試していこう。

iPad ProはやっぱりApple Pencil。これを最大限便利に使える最高の手書きメモアプリはどれだ?

まずはやはりApple Pencilが使えるという利点を最大限に活用できそうな手書きメモアプリの良いものを探してみたい。デジタルが主流になりつつある今でも、結局メモは手書きで取る人は少なくない。それは手書きの自由度の高さ、あとから書き足したり、アイデアをイメージスケッチにしたりといった手軽な使い方をするにはやはり手書きするしかないという点があげられるだろう。

iPadで使える手書きメモアプリは結構出ているものの、なかなかこの要求に応えるアプリがなくて結局使っていなかった。しかしiPad Proの登場を機にきっともっといいアプリが出てきているはず! そんな期待も込めて幾つかのアプリを試してみることにした。

使いたいのは次のような機能。

  • 書いたもの、貼ったものをあとから自由に動かせる
  • 手書きが綺麗
  • 写真が貼れて図形や表も使える
  • オンラインで同期して利用可能

とにかく手書きなので自由度が高いものがいいな、という感じ。置きたいところにテキストや写真、表が自由に貼れて、あとからマーカーでチェックもできると最高。さてそんなアプリ、あるかしら……。

手書き感覚が最も自然な『メモ』アプリ

まず最初にiOS標準の『メモ』アプリ。最新版で大きくバージョンアップしてかなり使い勝手が良くなった。

メモを使うことの最大の利点はApple Pencilを使ったときの書き味。これは他のアプリと別次元で、書いているときの遅れがなくまさにペンで書いている感じが味わえる。

Apple Pencilに最も最適化されているのが『メモ』アプリ。書き味、最高!

テキストを使いたい時はそのまま画面をダブルタップすればいいので、キーボードとの併用も可能。以前に紹介した『mazec』を使えばテキストの入力も手書きにできる。

テキスト入力も可能。mazecを使えばそのまま手書きで

iCloudを使ってデスクトップのMacのメモとも連携できるのも便利だ。『Evernote』からこちらに乗り換えた人もいるだろう。

気になるのは表や図形データなどが使えないこと。定規は使えるけれど正確な図形を描くことはできない。そして手書き部分はそれぞれが画像データで、3回に分けて書くと3つの画像データが貼り付けられたメモになる。1回でまとめれば?と言われるかもしれないが、途中テキストを入れたりもしたいし画像も貼り付けたいし、とやってるとなかなか思うようにはならない。そしてあとから重要な部分に丸をつけたいという感じの使い方もできない。

図形を扱えないので定規で表を作ってみる。でも綺麗じゃないし時間がかかる

このメモは実際には赤枠で囲んだ3つの画像とテキストデータに分かれている。まとめてマーカーをつけたりできないのが残念

ツール類が豊富だが自由度が低い『OneNote』

自分が使いたいイメージに近いのはMicrosoftの『OneNote』だろうか。手書きは自由に画面の中のどこにでも書ける。

手書きはどこでも書けるけど書き味はイマイチ。少しペンに遅れるので文字も乱れ気味

写真を貼り付けたり、表を作ったり、さらに描いた図形を正しく変換する機能などもついている。写真も貼り付ける前にトリミングできるので、大きさなどを気にしながら貼り付け可能だ。

挿入モードで表や写真などいろいろなものを挿入できる

ただ貼り付けたものに関しては自由に移動させることができない。一度選択してカットしてから、再度貼り付ける位置を決めてからペーストしてやらないとダメ。これがドラッグでするすると移動するようになったら最高なんだけどなー。手書き部分に関しては移動はまったく無理。

一度配置すると自由に動かすのが面倒。手書き部分はもう消すしかない

OneNoteもMicrosoftの『OneDrive』を使うことで同期ができる。デスクトップで利用も可能だ。

自由度の高さは一番『Penultimate』

もう一つ試したのはEvernote。こちらも最近手書きに対応したのだが、機能的には今一歩。しかしEvernoteには手書き機能に特化したアプリ『Penultimate』がある。こちらを使うとかなりいろいろなことができるようになる。

まず特徴としては、いろいろなテンプレートが利用できること。横罫やグラフ、方眼などの他にも、To Doリストや会議用ノートなどのデザインテンプレートを下敷きにして書き込みができる。

作成時に利用できるテンプレート。下地はそのままEvernoteでも表示される

書き込みに使えるのは手書きのみ。ここは残念なところ。ペンの太さや色を変えたり、ラインマーカーを使うことができる。そして書き込んだテキストもナイフで範囲指定すれば移動できる。

ソフトウェアキーボードなどによるテキスト入力がないのは残念なところ。ペンも鉛筆やもうちょっと書き味の良いものが使えるようになってほしいが、範囲指定で動かせる自由度はとても便利

写真の貼り付けは、画面を長押しするとポップアップメニューが表示されて貼り付けが可能。貼り付けた後で大きさを変えたり、画面上の自由な位置に配置できる。

ペンでしばらく長押しするとポップアップメニューが出て写真を貼り付けられる

写真の大きさを変えたり自由な位置に配置できるのも便利

書いたメモは最終的にはEvernoteにイメージとして同期される。Evernote上では修正はできないが、再度Penultimateに戻って書き換えればEvernote上でも書き換えられる。

Evernoteに同期されると1枚のイメージとして保存され、Evernote上では修正できない。Penultimateで書き換えると変更される

とりあえず以上の3本を試してみたが、使いたい機能を全て持っているものはなかったのが残念だ。とりあえず自由度の高さはPenultimateが一番。書き味の良さならメモ、表や図形をしっかり書きたいならOneNoteといった感じだろうか。もっといいアプリがないか、引き続き探していきたいところだ。