3、4年前、子どもがシュレッダーに指を挟まれて切断するという事故が報じられ大きな問題になった。事故に遭った子どもはとても痛かっただろうし、親の気持ちを思うと、気の毒というレベルでは語れないものがある。経済産業省の報告によると、シュレッダーの事故はメディアで大きく報じられたものだけでなく、それ以外にもメーカー各社とも、何らかの事件が起きていたようだ。

とはいえ、事故が起きているといっても、指を切断するものばかりではない。なかには、けがには至らない軽微なものまでさまざまである。コクヨ製のシュレッダーはどれも、定められた安全基準を満たしているし、取扱説明書に書かれた通りに使えば問題ないようになっているため、経済産業省の報告では、誤って触ってしまったが、けがには至らなかったという軽微なものが一件発生しただけのようである。

コクヨ 紙専用シュレッダー リリッシュ「KPS-X80」

ただ、シュレッダーの事故が報じられた後、再発防止の一環で、電気用品安全法と業界安全ガイドライン「シュレッダ可動部の安全に関するガイドライン」が改正され、法に対応する必要が出てきた。今回紹介する、リリッシュ「KPS-X80」はその法改正に適合した商品だ。

シャッターで子どものいたずらをシャットアウト

どこに、幼児に対する安全を配慮したところがあらわれているかというと、紙の投入部である。シャッターがついていて、子どもが誤ってシュレッダーを触っても、センサー部分に触れないので、動き出さないようになっている。

しかも、シャッターは簡単に開かないようになっている。ロックボタンがついていて、力を入れて押さないと、シャッターは開かない。初めてリリッシュを使ったとき、大人の私でも、どうやってシャッターを開けるのか迷ってしまったくらいだ。ボタンを押すのに力がいるし、幼い子どもが、わざわざシャッターを開けて自分の指を差し込むことは考えにくい構造になっている。

そもそも、触っても、指が切断されないような構造になっている。しかも、取扱説明書では使用後は電源を切るように明示しているので、この使い方を間違わなければ、まず事故は起こらないように設計されている。

シャッターを閉じたところ

シャッターを開けたところ

紙詰まりが生じたときは、スイッチを逆にスライドさせることで、刃が反転し、紙が入口の方に向かって出てくる。さらに、ずっとモーターがまわっているようなときは、安全装置が作動して、自動で止まるようになっている。

この部分がインターロックスイッチ。ゴミ箱が開いていると動かない

裁断が可能なものは紙のみで、CDやカード、OHPシートなどは入れてはいけない。家庭用で安価になっているため、機能は最低限のものだけになっている。

細断くずがゴミ箱にたまると、満杯を教えてくれる機種もあるがKPS-X80には、満杯のセンサーはついていない。くずをためるボックスに透明の確認窓がついているので、目で見て、いっぱいになったら捨てるようになっている。くずがいっぱいになってしまうと、細断くずの巻き込みによって、紙詰まりが起こる可能性がある。したがって、ゴミ箱にたまったくずは早めに交換するといいようだ。

ゴミ箱をもとに戻すとき、ふたを出しっぱなしにしてしまうことがあるかもしれない。そのときは、インターロックスイッチが働いて、紙を入れても動かないようになっている。機能はシンプルだけど、安全や誤操作に関する配慮は十分されている商品だといえる。

事務機器というよりインテリア

色は全部で5色。ナイトブラック、アッシュラテ、スノーホワイト、ビターブラウン、スプラウトグリーン。今回使用したのは、スプラウトグリーンである。私はこの色が気に入っている。リビングに置くものは、オシャレなものに統一したいのだ。仕事をする場所はどちらかというと、オシャレというより、清潔感とか、整然としていることが優先順位として高いのだが、リビングで優先したいものは見た目である。だから、たとえ安くても、手動のシュレッダーは、リビングに置くものとして適さないとぐうたら主婦は思う。

ゴミ箱の窓から中が見える。満杯になる前に捨てる

たとえば、絵を見て、その絵の素晴らしさを心で感じられるとか、本を読んで、その文章を堪能できる人って素敵だと思う。鑑賞しているときに、目の前の作品の良さをなんとなく感じる。こういうところに、生きている幸せがあるんじゃないかと私は思う。何かをつくる人の多くは、心を込めて、こしらえるのである。それを堪能できることって素敵なことなのだ。

最近、「安いこと」がいいことだとする風潮が強くて、質の良さが軽視される場面を目にすることがある。不景気なのだから、仕方ないのかもしれないけれど……。

とはいっても、そろそろ、買い手に節約疲れの気配が漂っていることも確かだ。メーカーは安さを追求して、粗悪品ばかりつくっていたら、お客さんからそっぽを向かれてしまうのではないか。

そもそも、きれいなものをきれいだと感じる能力がないと、粗悪品になったことにすら気がつかないけれど……。などと、人のことをあれこれと言いながらも、まずは自分が素敵なものを見分けられる目を大切にしなければ、などとスプラウトグリーンのきれいな色を見て思った次第である。

イラスト:YO-CO