「iPadキラーではない」タブレット端末「WeTab」(旧名称は「WePad」)がやっと今月、ドイツで発売となりそうだ。OSはMeeGoベースで、「Android」アプリも動く。"初のMeeGoタブレット"として、親会社の独Neofonieと米Intelが9月初めに詳細を明かしている。

発表直後には大盛り上がりだったWePadあらためWeTabだったが、なかなか発売に至らず…9月になってようやく市場にお目見えしそうだ

独ベルリンで毎年夏の終わりに催されるコンシューマ家電の展示会「IFA」、今年の主役はタブレット端末といえるだろう。会期中、韓Samsung、東芝、仏ArchosなどのメーカーがこぞってAndroidを搭載したタブレット製品を披露、Androidタブレットの第一波が揃った感じがする。そんな中、地元の独WeTabがタブレット計画の詳細を発表した。

NeofonieがWePadを披露したのは4月中旬のことだ。米国で発売開始した米Apple「iPad」が好調なスタートを切ったタイミングということもあり、iPad対抗機として大きく報じられた。ドイツでは、iPadに先行して発売されるのではと予想されていたが、何度かの延期を重ね、結局まだ発売に至っていない。

これまでの経過を簡単にまとめると、まず4月、NeofonieがWePadという名称でタブレット端末を投入する計画を発表した。同時に公開したスペックでは、プロセッサにIntelの「Atom」(1.6GHzのN450)を搭載し、Androidを採用することがわかった。このほか、画面サイズは11.6インチで1.3メガピクセルのWebカメラを搭載すること、RAM 1GB、Wi-Fi/3G、GPS、Bluetoothなどをサポート、2口のUSBポート、メモリーカードスロット、HDMI端子、マイクロフォンの装備などの仕様が明らかになった。

WePadの売りは、(iPadと対比して)オープン性。ソフトウェア側では「Adobe Flash」に対応、独自開発のコンテンツパブリッシュの仕組みとして、ePubなどに対応した電子書籍プラットフォーム「WeMagazine」を提供するなどのことが発表されていた。ドイツの人気雑誌「Stern」などが同プラットフォームを利用して電子版を提供する計画も明かされていた。

Neofonieはその後、独4tiitoのジョイントベンチャーとしてWeTabを立ち上げ、製品名をWePadから「WeTab」に変更すると5月に発表した。名称変更の理由については、Appleのプレッシャーか?などの憶測があるが、「国際市場で製品を差別化するため」とプレスリリースでは説明している。

端末発売は6月とも7月とも言われたが、実現せず。そして9月3日、WeTabはIFAでIntelとプレス発表会を開催、ここで再度詳細な計画を明らかにした。

それによると、WeTabのOSはMeeGoをベースに独自インタフェースを組み込んだ「WeTab OS」。他の技術向けのランタイム環境を統合することで、ネイティブのLinuxアプリケーションやMeeGoアプリケーションはもちろん、Androidアプリ、「Adobe Air」アプリなどが動くという。アプリケーションを発見/入手する仕組みとしては、「WeTab Market」を用意する。開発者は自分の好きな言語でプログラムを作成し、ユーザーは好きなアプリを選択できる、とWeTab。MeeGoは、IntelとフィンランドNokiaが2010年2月に発表したモバイルLinuxプラットフォームで、Intelの「Moblin」とNokiaの「Maemo」をマージさせたものだ。WeTabとIntelの2社によると、「WeTabはMeeGoを搭載した初のタブレット」という。

今回、発売は、ドイツで9月中としている。すでにWeTabのWebサイト、それにAmazonのドイツ版でも予約受付が始まっているようだ(「タブレットPC」カテゴリのベストセラーランキングでは、1位になっている。iPadは3位)。価格は、16Gバイト版(Wi-Fiのみ、3Gなし)が449ユーロ、Wi-Fiと3Gに対応した32Gバイト版が569ユーロ。なお、ドイツでのiPadの値段だが、Appleのサイトでは、Wi-Fiのみの16Gバイト版が499ユーロ、Wi-Fiと3G対応32Gバイト版は699ユーロとなっている。

Appleはじめ、大手メーカーが狙うタブレット市場で、WePadがどこまで健闘するのか、国際展開にも期待したい。だが、4月に初めて披露されたときと比べると、市場の関心は薄れ、iPad以外のタブレットといっても選択肢が広がっているのも事実だ。万が一、再度延期となると、今度こそダメージは大きいものと思われる。

ドイツのAmazonでも取り扱いを開始。まさかと思うけどこれ以上の延期があれば、もう売れないことは確実だ。予定通り出荷されることを祈る