2021年12月31日に、恵比寿ガーデンプレイス「ザ・ガーデンホール」にて、『モンスターストライク』プロリーグ戦の最終戦である「モンストプロリーグ 2021 ファイナル」が開催されました。優勝したのはチーム「Cats」。モンストグランプリやプロツアーでは安定した成績を残しながらも優勝から見放されていただけに、うれしい初優勝となりました。

  • モンストプロリーグを制したのはCats

「モンストプロリーグ」はプロライセンスを所持したプロチームのみが参加できるリーグ戦。例年は「モンストプロツアー」として実施していましたが、今回リニューアルして2年ぶりの開催です。

「モンストプロツアー」は、東北、関東、関西、中部、九州を巡回してトーナメント戦を行う大会でした。ポイント上位の4チームがファイナルに進出し、ツアー優勝を決めます。

一方、今回の「モンストプロリーグ」は、トーナメントではなく、3チームずつ、A~Dの4グループに分かれてBO3(2勝で勝ち抜け)のリーグ戦を行い、各グループの1位がファイナルに進出します。

グループリーグは、BO3の各試合で、2勝0敗で3ポイント、2勝1敗で2ポイント、1勝2敗で1ポイント、0勝2敗で0ポイントと、勝敗によって獲得ポイントが変わります。つまり、同じ勝ちでも2連勝で勝ち抜けた場合は対戦相手に3ポイント差を付けられますが、2勝1敗では1ポイントしか差を付けられません。このレギュレーションにより、終盤までどのチームが勝ち抜けるか分からない混戦を繰り広げたグループもありました。

なお、グループ最下位となったチームは、残念ながら来季のプロチーム参加大会への参加権が失われてしまいます。

  • 各リーグで3試合ずつ行い、獲得ポイントがトップのチームがファイナルに進出します

グループAは、「AliceWithAce」が1位通過。「モンストグランプリ」優勝経験のある「GV」と「どんどんススムンガ」を蹴散らし、ジャイアントキンリングを達成しました。

グループBは、「【舞】獣神亭一門」が「ミラノ風カルボナーラ」と「はなっぷ」に圧倒的な強さを見せ、全勝で予選突破。グループCでは、最終戦となる第4節でグループ3位と崖っぷちの「Cats」が、「今池壁ドンズα」と「ラブマシーン」それぞれに2連勝し、一気に6ポイントを稼いで、最終ポイント10ポイントで「今池壁ドンズα」と並びます。そして、同ポイントの場合、最終節のタイムアタックの順位が上のチームが勝ち抜けるというレギュレーションから、「Cats」がファイナルに進出しました。

グループDは、「4Sleepers」が勝ち抜けます。このグループでは、前回のモンストプロツアー優勝チームである「アラブルズ」が最下位となる大番狂わせ。最終節までトップだった「練習不足。」は、最終戦となる「4Sleepers」の直接対決まで2ポイント差をつけていたので、試合に敗れたとしても1勝すればポイント差が1ポイントしか縮まないところでしたが、4Sleepersが連勝を決めて3ポイント獲得したことで、逆転されてしまいました。

  • 各リーグを突破し、ファイナルに進出した4チーム

モンストプロリーグのグループリーグはオフライン無観客でしたが、ファイナルはオフライン有観客で実施。急遽開催が決定したうえ、大晦日の開催、そして有料チケットとなかなか厳しい状況のなかで、多くの観客が集まっていました。

ファイナルは、タイムアタックラウンド上位チームからトーナメントの位置を選択。タイムアタックラウンドは、ボスを一撃で倒しきった「Cats」が、「【舞】獣神亭一門」と1秒差でトップになりました。トーナメントでの戦いを大きく優位にします。

  • 大晦日にもかかわらず多くの観客が来場していました

  • タイムアタックラウンドの結果。1位の「Cats」と2位「【舞】獣神亭一門」の差はわずか1秒でした

トーナメントの組み合わせは、タイムアタックラウンドトップの「Cats」と2位の「【舞】獣神亭一門」が違う山に分かれ、そこに「AliceWithAce」と「4Sleepers」が飛び込む形です。これまでの予選で登場しなかったステージが各チーム3ステージあり、ファイナルのトーナメントの山ごとに戦うステージが変わっています。

すでに予選で経験したことがあり、攻略方法の確立、そして実戦が行われているステージのほうが有利なので、対戦相手以上にステージの有利さで組み合わせを選んでいました。

  • ファイナルのトーナメント組み合わせ

トーナメントは、BO5(3勝勝ち抜け)で行われます。「Cats」と「AliceWithAce」の第1戦ステージ「アバロン」は、「AliceWithAce」のみが予選で経験したステージ。「Cats」はキャラピック先行の優位性があるものの、アバロンの練度は「AliceWithAce」のほうが上でしょう。

しかし、試合が始まると、一進一退の攻防が続きます。まず「AliceWithAce」が勝利を収めるものの、第2戦と第3戦は「Cats」が取り返します。しかし、第4戦を「AliceWithAce」が取り返し、フルラウンドに。最終戦はボスワンパンを決めた「Cats」が決勝進出を決めました。

「【華】獣神亭一門」と「4Sleepers」戦は、予選無敗を誇る「【舞】獣神亭一門」が2試合を連取します。第3戦はどちらもボスを倒しきれず苦労するなか、若干優勢だった「4Sleepers」がボスの反撃に耐えきれずダウン。「【舞】獣神亭一門」が3連勝で決勝に進出しました。

  • 「Cats」を最後まで苦しめた「AliceWithAce」

  • 決勝トーナメントでも無敗を続ける「【舞】獣神亭一門」

決勝戦は、「【舞】獣神亭一門」が先勝し、「Cats」が取り返す展開。2勝2敗で迎えた最終戦は、「Cats」が準決勝5戦目で経験した「アカシャ」のステージです。第5戦にしか登場しないステージだけに、どのチームも練度が低いと思われましたが、ピックの時点で「Cats」が「【舞】獣神亭一門」をダウン覚悟の構成になるように仕向けます。すると、「Cats」の思惑通り、「【舞】獣神亭一門」はダウン。「Cats」が優勝を果たしました。

ちなみに、ピックはタイムアタックラウンドの上位チームが、先行か後攻かを選べます。わずか1秒差だったタイムアタックラウンドが、決勝の戦況を大きく変えたと言えるでしょう。

試合終了後「Cats」リーダーのるんるん選手は「アカシャのピックは相手がやりにくいことをするように考えていて、ダウンは狙い通りでした」とのコメントを残しています。

なお、決勝戦の前に行われた3位決定戦では、「4Sleepers」が「AliceWithAce」を下し、3位を獲得します。

  • 3位を獲得した「4Sleepers」

  • 見事優勝を決めた「Cats」。準決勝、決勝ともにフルラウンドの苦しい戦いでした

2020年はモンストプロツアー自体の開催が見送られ、2021年はプロリーグとして開催されました。プロチームとしては準備期間も少なく、新たなレギュレーションに振り回されたなか、どのチームも熱い戦いを繰り広げたのはさすがのひと言です。なかでも「Cats」は操作の練度だけでなく、ピックの絞り込みまで高いレベルで行い、結果につなげました。

ファイナルを有観客で開催できたのも、運営の英断と短期間で完璧な準備があったからこそだと言えるでしょう。例年のプロツアーのファイナルやグランプリに比べるとわずかな人数による観戦でしたが、コロナ禍で開催できたことは、今後の大きな指針として蓄積されるのではないでしょうか。そして、2020年のグランプリ開催とプロリーグ(ツアー)の開催も期待したいところです。

最後に、優勝チームの「Cats」に優勝コメントをいただきました。

――優勝おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。

あやたか選手:本当にギリギリの戦いで、険しい道のりでした。最後まで諦めずに優勝目指してやってきてよかったです。

ねこa選手:スーパーうれしいですね。今日も自信のあるステージを落としたりメンタル的に大変だったんですけど、なんとか切り替えてやりきりました。

るんるん選手:とりあえず勝ててよかったです。決勝まできて、勝ちきれなかった部分を克服できました。次はグランプリに向けて動かなきゃって思っています。

ひかり選手:崖っぷちも崖っぷちでずっと苦しくて、決勝トーナメントも全部ギリギリでした。まあ、トーナメントには、僕は出ていないんですが、応援している側でも苦しかったです。でも、チームを信用しているので結果がついてきてよかったです。

HHP選手:僕は「Cats」の5人目として参加させてもらったんですけど、「Cats」のメンバー同然のようにやらせてもらって、これ以上のない経験をさせていただきました。

  • 優勝トロフィーの前で記念撮影をする「Cats」

――今回のリーグを通じて一番辛かったことはなんでしょうか。

るんるん選手:全部きつかったです。いい思い出がなにもない(笑)。プロのレベルがすごく上がっていると感じていますね。一応、Cグループでは僕らが一番成績を残しているチームとして組み込まれていたんですけど、ほかのチームにボコスカやられてしまって、「うちって強いんだっけ、弱いんだっけ」って思いました。ずっと同じままでは勝てないなって。うちは技術は高いほうだと思うんですけど、今回に関してはピックの詰め方がほかより数段上だったかなと自負しています。

――ワンパンのチャンスが3回あり、2回目を失敗していましたが、緊張はあったのでしょうか。

HHP選手:狙える位置に止まってくれていて、いつもやっていることだったので緊張はしませんでした。

るんるん選手:あれは結構武器にできましたね。それだけ詰められたのは良かったです。

  • 優勝賞金1800万円を獲得。ちなみに、今回は勝敗に関わらず一定の金額を出場チームに支払う「出場給」も設定されていました

――以前お話を伺ったときに、強い人は髭と眼鏡をしているとのことで、グランプリでは髭を蓄えていました。そのときは結果につながりませんでしたが、今回は眼鏡で結果が出たので、やはり眼鏡が勝因ですか?

るんるん選手:眼鏡かもしれないですね(笑)。ただ、第1節で眼鏡かけていったら負けちゃったんで、どうしようかなって思いました。方向性を見失っています(笑)。もしかしたら、髭も眼鏡もダメかもしれない。信じられるのはサウナだけですね。

――ありがとうございました。