8月29日と30日の2日間、eスポーツイベント「RAGE ASIA 2020」が開催されました。RAGE ASIA 2020は、CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日が運営する国際eスポーツイベントです。1日目の8月29日は、スマホ向けのバトルロイヤル系TPS『荒野行動』を採用し、2日目の8月30日はPCゲームやコンシューマゲームで人気のFPS『APEX Legends』を採用して大会を開催しました。
元々オフラインでの世界大会を企画していましたが、コロナ禍により、アジア圏のオンライン大会に形式を変更しての開催。中国や韓国のトップチームを招待し、日本チームが迎え撃つ形です。
1日目の『荒野行動』は、日本から10チーム、中国から8チーム、台湾と香港から各1チームの計20チームが参加し、熱戦を繰り広げました。
試合形式は5人ひと組のクインテットで全3試合。順位ポイントとキルポイント(相手を倒した数×5)の合計ポイント数が多いチームが優勝です。結果は、日本チームの「αD Aves」が海外の強豪チームを押さえ優勝。賞金25万円を獲得しました。
2日目の『APEX Legends』は、日本から10チーム、韓国から5チーム、中国から5チームの計20チームが参加しました。試合形式は3人ひと組のスクワッドで、全5試合をプレイ。順位ポイントとキルポイント(相手を倒した数×2)の合計ポイント数が多いチームが優勝です。
結果は、大会前から下馬評の高かった韓国の「T1」が優勝。4、5試合目のチャンピオンとなった「SCARZ BLACK」が追い上げをみせましたが、残念ながら総合では「T1」に及ばず、3位という結果に。ちなみに、2位は「SCARZ」のもうひとつのチームである「SCARZ WHITE」でした。
今回はコロナ禍により無観客のオンラインイベントでしたが、注目すべきは、オンラインでも存分に楽しめる企画や演出方法を採用していたことでしょう。
そのひとつが、「V-RAGE」。V-RAGEは、バーチャルSNS「cluster」を使用したVRイベント会場です。視聴者はアバターとなって、バーチャル会場内の大型モニターで観戦します。2020年3月にβ版のV-RAGEを使用したイベントを開催していましたが、今回からいよいよ本格始動したわけです。
RAGE ASIA 2020では、アバターに大会限定のBEAMSコラボのTシャツを無料で着せることができました。また、専用サイトでは、コラボTシャツと同じデザインのリアルTシャツを購入できるようになっています。V-RAGEではアバターにTシャツを着せて、実際のTシャツを後日着るという、2度楽しめる演出です。
V-RAGEの会場には、MCとしてバーチャルYouTuber(VTuber)の電脳少女シロが登壇していました。1日目のゲストとしてヤマトイオリと東雲はる、2日目のゲストとして渋谷ハルと白雪レイドも参加。ゲストも全員がVTuberです。
配信の実況解説とは別に流れてくるVTuberの副音声的な会話が、パブリックビューイング的でおもしろく、また、VTuberと同じ空間にいるように感じられるのも、バーチャルイベントならでは。画面上でVTuberを見るのとは違った体験を楽しめます。
そのほか、1日目の『荒野行動』では、スポンサーのGoogle Playが勝敗予想キャンペーンを実施していました。勝敗予想キャンペーンは、2019年11月から2020年2月まで開催されていた「モンストプロツアー2019-2020」でも行われていた企画。試合の結果を予想し、総合順位で上位100名までに入れば、Googleポイントを獲得できるというものです。単純にイベントを見るだけでなく、参加する楽しさもありました。
動画配信もこれまでオンラインのeスポーツイベントでは、実況解説ブースとゲーム画面くらいしか映し出すものはありませんでしたが、CG合成されたスタジオに、進行役のお笑いコンビ「霜降り明星」を迎えて、イベントを盛り立てていました。
RAGE初の国際イベントとしては、かなり意義のあるものだったと思います。普段からeスポーツをよく観る人にとっては、アジアの強豪、特に『APEX Legends』の韓国チーム「T-1」と「Crazy Raccoon」の2チームと日本チームの対戦を観られたのは、うれしい限りではないでしょうか。そして、「T1」の実力通りの活躍からは、世界レベルを感じさせてくれました。
オフラインイベントの開催が難しい現状において、多くのイベントがオンライン化していますが、そのなかでもオフラインの現場感や臨場感、ほかの参加者との一体感を得る手法として、V-RAGEやCG合成による配信など、新しい試みが行われたRAGE ASIA 2020。オンラインがオフラインの代替ではなく、その両方のよさを融合させる観戦方法として、今後はバーチャル観戦が第3の選択肢に定着する気配を感じました。