12月14日、15日に、佐賀県の「SAGAアリーナ」にて、国民スポーツ大会(旧国民体育大会)の文化プログラムである「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2024 SAGA(全eスポ)」が開催されました。今回で6回目を数えます。
今大会採用されたのは、『IdentityV第五人格(第五人格)』『eFootball』『パズドラ』『ぷよぷよeスポーツ』の4タイトル。また、エキシビションとして『グランツーリスモ7』『グランブルーファンタジーヴァーサス-ライジング-』『鉄拳8』の対戦も行われました。
東京・銀座にあるeスポーツCAFe&BAR「STROPSe(ストロープス)」では、メディア向けライブビューイングを開催。2日目に取材に行ってきたので、記事ではその様子もあわせてレポートします。
「STROPSe」は、「コナミクリエイティブセンター銀座」の1階に位置するeスポーツCAFe&BAR。大きなディスプレイがあり、コーヒーを飲みながら優雅で快適に視聴することができました。
また、試合後はオンラインでSAGAアリーナとつながって、現地の囲み取材と一緒にコメント取りも行えました。ただ、当初の予定では関係タイトルの選手も来場予定でしたが、結局はメディアのみの参加となりました。
なお、現地に行けない同級生や家族、友人などが集まって実施されるパブリックビューイング的なものも期待していましたが、今回は実施されませんでした。今後同じような形でライブビューイングを行うのであれば、そのような取り組みも企画してほしいと思います。
参加したメディアも、筆者が参加したDay2は2媒体のみ。商業メディアは筆者だけでした。まあ、eスポーツの繁忙期であり、各所で大きな大会が開催されているので仕方ないでしょう。ほかのメディアが報じないという意味では、筆者がこのイベントに参加できたのは良かったと思います。大きなところはほかのメディアが行くでしょうから。
さて、肝心の大会ですが、まずはDay1で行われた『第五人格』です。『第五人格』はオンラインで開催されたブロック予選を勝ち抜いた8チームがオンラインの地域対抗大会に進出。地域対抗大会は、BO1のダブルイルミネーショントーナメントで、決勝戦まで進出した2チームがSAGAアリーナにてオフライン戦BO2を行います。
決勝戦は、ウイナーズサイドから勝ち上がった埼玉県代表の「らずりーは臭いだけじゃない!」とルーザーズサイドから勝ち上がった北海道代表の「北海道選抜ファイターズ」の対戦です。結果は北海道選抜ファイターズが勝利。ルーザーズサイドからの決勝進出でしたが、リセットがなかったので、決勝戦の結果で決着がつき、見事下剋上を果たしました。
Day2で行われたのは『ぷよぷよeスポーツ』『パズドラ』『eFootball』の3タイトル。『ぷよぷよeスポーツ』のみ小学生の部と一般の部(12歳以上)の2つの部門があります。どちらの部門も予選を勝ち抜いた16名が4つのグループリーグに分かれ、1位となった選手が決勝トーナメントに進出します。
小学生の部で優勝したのは、東京都代表のゆうき選手、一般の部は東京都代表のともくん選手でした。ゆうき選手は小学生ながら大人顔負け、いやプロが脱帽するほどの腕前を持っており、すでにプロライセンス保持者の半数を倒している実力者。昨年の全国都道府県eスポーツ選手権でも優勝しており、今回で2連覇となりました。
ともくん選手は『ぷよぷよeスポーツ』のプロシーンで活躍している選手で、全国都道府県eスポーツ選手権は3連覇。今回も勝ったことで、4連覇を達成しました。今大会からプロ選手の出場枠が別枠となり、4名までしか出場できないうえ、プロ同士の予選を勝ち抜かなければならず、4連覇はかなり厳しいとみられていましたが、その厳しいさをものともせず、優勝しました。
現在のプロシーンで向かうところ敵なしといった状態のともくん選手に、プロ選手さえ倒す天才小学生の登場と、今後の競技シーンが楽しみです。
それでいて一般の部で3位になったdelta選手は、先の「ぷよぷよグランプリ 2025 2nd」で準優勝しており、SAKI選手やぴぽにあ選手などの強豪もひしめき合っています。中堅世代の層の厚さも見逃せません。
レジェンドと言われるベテランプレイヤーのくまちょむ選手やKamestry選手も最近の活躍が光っており、まさに小学生から40代半ばまで活躍できるタイトルであることが証明されています。
これだけ選手寿命が長いタイトルでありながら、ニューホープが出てくるのは、今後の『ぷよぷよ』界隈はしばらく安泰と言えるのではないでしょうか。そして『ぷよぷよ』というゲームが競技タイトルとしても完成していると言えるでわけです。県対抗のポイントとしては、どちらも東京都代表だったので、東京が大きく躍進しました。
打って変わって『パズドラ』部門は、決勝戦に残った4人がすべてプロゲーマーという結果に。プロゲーマー同士の白熱した戦いを制したのは大阪府代表の海斗選手でした。
最後に行われたのは『eFootball』です。今大会からレギュレーションが変わり、モバイル版が追加されました。各県の代表選手はモバイル版とPlayStation版の選手2人1組で構成されています。
形式はBO3で、1戦目はモバイル版、2戦目はPlayStation版で行われます。勝敗は、それぞれの試合の結果ではなく、2戦目までの合計得点によって決まります。同点の場合は3戦目で決着。3戦目はモバイル版とPlayStation版のどちらかを選ぶことができますが、選択権はオンライン予選の順位が高い都道府県代表が持ちます。
1試合目は、いきなり埼玉代表ネオぽん選手がレッドカードを受け、選手が1人少ない状態に。数的優位に立った北海道代表の楓翔選手が猛攻を仕掛けます。しかし、1点は取るものの攻めきれず、1-0のスコアで2戦目に移りました。
2試合目は、北海道代表のject選手が前半26分にゴールを決め、総得点差を2点に広げます。しかし、逆境に強い埼玉県代表のキセペス選手は後半一気に3点をもぎ取り逆転。そのまま試合が終了し、埼玉県代表が勝利しました。
同じタイトルでも、操作性が全く違うモバイル版とPS版の両方を使っての大会は初めて見ましたが、結構おもしろい試みだと思いました。2試合の総得点での決着もBO3ながらほぼ2試合で決着がつくうえ、今回の決勝戦のように逆転も見込めるので、おもしろい方式でした。
総合順位は『ぷよぷよeスポーツ』でダブル1位を獲得した東京都が勝利。2位は30ポイント差で北海道、3位はその北海道に25ポイント差となった埼玉県でした。
「国民スポーツ大会」は、今年から「国民体育大会」から名称が変更されました。また、現状では県で持ち回りの開催が人的・財政的な負担が大きいとし、見直しの声も挙がっているそうです。「都道府県対抗」の形が時代に合わないという意見もあり、こちらも見直しが検討されています。
なお、2025年は滋賀県にて「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」の実施が決まっています。どのような形になっていくかはまだわかりませんが、全国都道府県eスポーツ選手権は変わらず開催してほしいところです。
ただ、都道府県対抗の形を取っていながら、本大会へ出場している都道府県の数は26都道府県。参加者の渡航費や滞在費などの負担を考えると、全国が一律の出場できる形は難しいかもしれませんが、せっかくeスポーツを使っているので、本大会でもオンラインで出場できるタイトルや仕組みを考えるなど、こちらもある程度、見直しの余地があるかもしれません。