2024年1月6日、7日に、対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6(スト6)』の公式大会「CAPCOM Pro Tour 2023 日本大会(CPT 日本大会)」が開催されました。

本来であれば、2023年12月2日、3日に開催される予定でしたが、通信接続問題により1月6日、7日に延期されていた「CPT 日本大会」。2月17日から26日まで行われる年間チャンピオンを決める世界大会「CAPCOM CUP X(CCX)」への出場権がかかっています。

日本人プレイヤーが「CCX」に出場する可能性がある大会は、先に行われた「CPT World Warrior 日本大会(WW)」、「CPT オフラインプレミア フランス大会」、「CPT オフラインプレミア シンガポール大会」、「EVO 2023」、CCX当日予選の「LCQ」、そして今回の「CPT 日本大会」の6大会しかありません。

「オフラインプレミア」と「EVO」、「LCQ」は全世界の誰でもエントリーできるので、日本人選手の出場枠として用意されているのは「WW」と「CPT 日本大会」の2つのみ。かなり狭き門と言えるでしょう。

ちなみに、現時点で「CCX」の出場が決まっている日本人選手は、「WW」で優勝したふ~ど選手、「オフラインプレミア シンガポール大会」で優勝したガチくん選手です。そして、今回の「CPT 日本大会」では、カワノ選手が優勝しました。「LCQ」を除けば、この3選手が「CCX」への出場が決まったわけです。

  • CPT日本大会

    「CPT 日本大会」に優勝したのは、「Good 8 Squad」のカワノ選手

「CPT 日本大会」の形式はダブルエリミネーショントーナメント。オンラインで行われます。初日の「プール」を抜けた32名の選手が翌日のトーナメントに進みました。

その32名は、さすがに名だたる選手ばかりで、プロリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023」出場選手を中心に、プロゲーマーがひしめきあっています。そんな状況のなか、KEY選手とジャッシー選手のプロライセンス非保持選手の活躍が目を見張ります。KEY選手はベスト16で敗退しますが、ジャッシー選手はルーザーズサイドながら、ファイナリストとして、2日目の決勝トーナメントへ進出を決めました。

ウイナーズサイドでファイナリストとなったのは、かずのこ選手、大谷選手、あきら選手、カワノ選手の4人。ルーザーズサイドでファイナリストとなったのは、KEI.B選手、ときど選手、ジャッシー選手、ナウマン選手の4人です。

ウイナーズはキャミィ使いが2人、ルーク使いが2人、ルーザーズはJP使いが2人、ケン使いが2人。ウイナーズ1回戦は、どちらもルーク対キャミィ戦で、ルーザーズ1回戦はどちらもケン対JPの対戦に決まりました。同じキャラが集中することはよくあることですが、ミラーマッチが発生しないのは希有と言えます。

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    TOP8のトーナメント表。4キャラクターが2名ずつ残っていますが、初戦で同キャラ対戦は発生しませんでした

ウイナーズ1試合目は、大谷ルーク対かずのこキャミィ。この2人はゲーミングチーム「バーニングコア」所属で、いわゆる同門対決となります。「バーニングコア」は2人しか残っていないので、これもマッチメイクの妙と言えるでしょう。お互いの手の内を知っている2人の対戦だけに、試合は膠着気味の長丁場になりましたが、結果は終始試合を支配していた大谷選手が勝利しました。

2試合目は、カワノルーク対あきらキャミィ。1試合目と同じキャラクターの対戦ですが、うってかわって早い展開で試合が進みます。カワノ選手の無敵技が恐るべき精度と反応の早さで相手の攻撃に刺さり、一気に試合を決めました。ウイナーズはどちらもルークが勝利し、ウイナーズファイナルはルークミラーとなりました。

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    同門対決は大谷選手に軍配があがりました

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    まるでモダン操作のごとく、早い反応でキャミィのキャノンストライクをODライジングアッパーで落とすカワノルーク

ルーザーズはウイナーズとは逆の結果となり、ジャッシーJPとときどケンが勝利し、異なるキャラクターが勝ち上がりました。ルーザーズ2回戦1試合目はジャッシー選手対あきら選手。ジャッシー選手はJP以外にキンバリーも使うことができ、しかもその強さはサブキャラクターではなく「ダブルメイン」と言われるほどです。

キャミィ戦にはそのキンバリーを選択。しかし、あきら選手のキャミィの速攻の前に2連敗してしまったため、キャラクターを変えてJPを繰り出します。1ラウンドを取るも、あきらキャミィに押し切られ、ストレートで敗退しました。

ルーザーズ2回戦2試合目は、ときどケン対かずのこキャミィ。相性がいいと言われるキャミィが徐々に優位な展開に。最後はSAゲージが3本溜まっているなか、SA3ではなくSA1を2回使用する立ち回りで倒しきり、かずのこ選手が勝利します。これでルーザーズセミファイナルもキャミィミラーとなりました。

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    『スト6』のトップキャラクターと言われているJPとケン。どちらも2選手ずつ残っていましたが、お互いに潰し合う組み合わせで、どちらもベスト4まで残れませんでした

ウイナーズファイナルは、カワノ選手対大谷選手のルークミラー。先にダメージを与え、そこから迎え撃つ形が理想的なルークミラーにおいて、ことごとくカワノ選手が先手を取ります。

さらに1回戦で見せたODライジングアッパーが良いところで決まります。それでも大谷選手が粘り、フルセットまで持ち込みますが3-2でカワノ選手がグランドファイナルに進出しました。

ルーザーズセミファイナルは、対応型のかずのこ選手に対して攻撃型のあきら選手と同じキャミィでも戦いかたが違う2人が対峙します。早い展開のなか、対空の精度とインパクトの通しによりあきら選手が勝利しました。

ルーザーズファイナルはあきらキャミィ対大谷ルークです。キャミィの上からの攻撃をジャストパリィでいなし、反撃するルーク。序盤はこれで先行するものの、あきら選手はパリィを逆手にとり、投げで対応します。フルセットフルラウンドまでもつれ込むも最後は、牽制のしゃがみ中キックにSA2のイレイザーを差し替えた大谷選手が勝利しました。

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    大谷選手は、あきら選手にジャストパリィの対策をされていても、最後の最後でジャストパリィを信じて、試合を決める流れを作りました

グランドファイナルは、ウイナーズファイナルと同じカード。フルセットまで持ち込まれただけに、大谷選手にも十分チャンスはあります。

今度は先手を取りつつ試合を優位に運んだ大谷選手が先に2セットを取り、リセットにリーチ。しかし、そこから一気に巻き返し、カワノ選手が逆転勝利を収めました。

カワノ選手は相手のラッシュにODライジングアッパーを合わせるなど、反応の良さによる強さが目立ちました。しかし、その反応の良さも一手一手相手の動きを制限し、選択肢を狭めた結果、動きを予測できたからこそだったのではないでしょうか。そういう意味では詰め将棋のごとく、試合を進めていったのでしょう。

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    カワノ選手は、グランドファイナルで先に2セットを取られ、リセットやむなしと思われたところから逆転し、負けなしで優勝を決めました

これでガチくん選手、ふ~ど選手、カワノ選手は「CCX」出場が決まりました。『スト6』になって初めてのカプコンカップですし、優勝賞金は破格の100万ドル。ぜひともこの3人の日本人選手に取ってもらいたいところです。もちろん当日最終予選となる「LCQ」で日本人選手が優勝すれば、さらに1枠、日本人選手が出場できるので、そちらにも期待しています。

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    「CCX」は2月17日から26日までの8日間を使って開催されます

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    賞金総額は200万ドル(約3億円)、優勝賞金は100万ドル(約1億5000万円)。昨年の「CCIX」の優勝賞金は12万ドル(約1600万円)だっただけに、今年が特別であることがわかります

さて、毎度おなじみ筆者による大会参加ですが、まず先に成績から発表します! なんと、2勝2敗の385位(925人中)でした。50オーバーのおっさんライターの成績としては中々なんじゃないでしょうか。

と言いたいところですが、実際はウイナーズの初戦とルーザーズの初戦がDQ(Disqualfy)でした。つまり不戦勝ですね。なので、実際には2戦2敗と、まあ、普通に負けて終わりました。

筆者は一応マスター帯にいますが、MR1300台のヨワヨワマスターです。対戦相手は初戦がMR1700オーバーのキンバリー、ルーザーズで対戦した相手はMR1800オーバーの春麗とどちらもかなり格上でした。

キンバリー戦では1セット取れたんですけど、春麗戦はまあいいところなくストレート負け。『スト6』は新規ユーザーがたくさん入ってきたので、もっとランクの低い人と当たるんじゃないかなぁと思っていたんですが、そんなことはありませんでした。

ただ、大会に参加すること自体はやはり楽しかったので、「まだまだ大会に出るランクじゃないよ」って尻込みしている人がいたら、思い切って参加してみてください。誰でも出られるのがオープン大会のいいところですし、例えコテンパンに負けたとしても、プロゲーマーを含め、有名プレイヤーと対戦できるかもしれませんよ!