12月16日、17日に対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6(スト6)』のプロリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023(SFL2023)」のプレイオフが開催されました。

「SFL2023」は、2シーズン制です。全9チームのうち、7月7日から9月12日まで行われた「1st STAGE」の上位6チームが、10月10日から11月28日までの「2nd STAGE」に進出。さらに、「2nd STAGE」上位2から4位までのチームがプレイオフに進出します。

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    「SFL2023」が12月16日と17日に開催。グランドファイナルは、2024年1月13日に行われます

今回プレイオフに進出したのは、2位抜けの「DetonatioN FocusMe(DFM)」、3位抜けの「Saishunkan Sol 熊本」(SS熊本)、4位抜けの「魚群」。1位抜けした「FAV gaming(FAV)」はグランドファイナル出場権を獲得し、プレイオフに勝ち抜いたチームを迎え撃ちます。

プレイオフは、まず3位の「SS熊本」と4位の「魚群」が対戦し、勝利したチームが「DFM」とグランドファイナル参加権を賭けて対戦します。先鋒、中堅、大将の3v3で、先鋒、中堅は勝利チームに10ポイント、大将は勝利チームに20ポイント加算されます。ここまではリーグ戦と同じですが、プレイオフでは先に70ポイント獲得したチームが勝利です。

1巡目は上位抜けチームがホーム、下位抜けチームがアウェイ。アウェイ側は先に3人のオーダーを発表します。ホーム側は試合前に1人ずつオーダーを発表。2巡目はホームとアウェイが逆転し、下位抜けチームがホーム、上位抜けチームがアウェイとなります。

それぞれの巡目で20-20となったとしてもリーグ戦の時のような延長戦は発生せず、次の巡目に移行します。ストレートで勝利すれば2巡目で終了し、60-60まで持ち越せば、4巡目が発生し、4巡目の先鋒戦で決着が付けられます。

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    2位通過でDay2からの出場となる「DFM」

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    3位通過でDay1ホームスタートとなる「SS熊本」

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    4位通過でDay1アウェイスタートとなる「魚群」

Day1は、「魚群」対「SS熊本」の1戦です。「SS熊本」は絶対的エースであるShuto選手が「魚群」戦を苦手としており、リーグ戦では1度も出場していませんでした。そこで、「魚群」戦ではキーマンとなるひぐち選手を全面に押し立てます。

かたや「魚群」もリーグ後半戦に絶好調だった水派選手を中心にオーダーを展開。キャラ相性的にはキャミィ有利と言われながらも、対キャミィ戦、対水派戦をきっちり仕上げてきたひぐち選手が1巡目の大将戦をもぎ取ります。「魚群」ホームの2巡目も、大将に座るひぐち選手に水派選手を当てますが、返り討ちにあってしまいます。水派選手の動きは悪くありませんでしたが、あと一歩及びません。

「魚群」は、もけ選手が絶好調。1巡目でShuto選手、2巡目でかべ選手と連勝します。しかし、もけ選手以外で勝てていない「魚群」は、3巡目開始時点で60-20のピンチに。出し惜しみできない「魚群」は、先鋒戦にもけ選手を出してきます。

「SS熊本」はShuto選手が出場しますが、もけ選手の前に敗れてしまいます。しかし最後はネモ選手が水派選手を倒し、「SS熊本」の勝利となりました。

「魚群」のもけ選手は、「1st STAGE」で稼いだポイント数が2位と好調で、「2nd STAGE」でも中盤まで4勝2敗と好調を維持。しかし、そこから5連敗し、厳しい結果でシーズンを終了しました。

そのため、プレイオフでは「2nd STAGE」好調の水派選手託す結果となり、もけ選手は先鋒、中堅での出場を余技なくされました。オーダーによっては「魚群」の勝利が見えていたので、チーム戦の難しさがわかる一戦だったと言えるでしょう。

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    インターバル中、まちゃぼー選手にアドバイスをするマゴ選手

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    対魚群戦のキーマンとなったひぐち選手

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    プレッシャーの大きい大将戦を任された水派選手

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    「魚群」で唯一勝ち星を重ねるもけ選手

Day2は、Day1から勝ち上がってきた「SS熊本」と「2nd STAGE」2位通過の「DFM」の対戦です。

「SS熊本」は、前日のひぐち選手と同様にキーマンとしてShuto選手を全面に押し出してきます。かたや「DFM」としてはそのShuto選手をいかに攻略するかが勝利のカギとなります。

また、「DFM」は“重戦車”ふ~ど選手がShuto選手と同じく中心選手として動くとみられます。ただし、ふ~ど選手はJP相手に必ず出場するとリーグ戦から公言しており、JP使いのネモ選手が先鋒、中堅で出場するとなれば、大きなポイントにつながらない可能性もあります。

1巡目「SS熊本」は先鋒ネモJP、中堅ひぐちガイル、大将Shutoの布陣。「DFM」は公言通り、ふ~ど選手がJP戦に挑み、勝利します。中堅戦はひぐち選手が取るも、大将戦は竹内ジョン選手のラシードが爆発。先に2セット取られるもそこから連取し、逆転勝ちを収めました。

2巡目は、先鋒の竹内ジョン選手、中堅の板橋ザンギエフ選手が連勝し、ここで早くも50ポイントに到達。次の大将戦に勝利すれば「DFM」の勝利が決まります。大将戦はShuto選手対ふ~ど選手のエース対決。フルセットフルラウンドまでもつれ込む一進一退の展開が続きますが、お互いのCA3が暴発してしまうほどの緊張感があった最終ラウンド、Shuto選手が辛くも勝利しました。

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    1巡目の大将戦でShuto選手に勝利した竹内ジョン選手

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    2巡目中堅戦で実現したライバル対決。ネモ選手対板橋ザンギエフ選手のカード

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    敗北すれば敗退となる2巡目大将戦でふ~ど選手を迎え撃つShuto選手

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    大事な1戦の勝利に雄叫びをあげるShuto選手

3巡目は、再び「DFM」がホームで、しかも残り20点とかなり有利な状況です。先鋒、中堅で勝利すれば大将のShuto選手が戦う前に決着が付くので、「SS熊本」は是が非でも先鋒、中堅のどちらかで勝利し、大将戦につなげたいところ。

先鋒戦はひぐち選手対ふ~ど選手。ひぐち選手曰く、大きな大会ではほとんどふ~ど選手に勝てていないと言うほど、苦手な相手でしたが、ここ一番の力を発揮し、勝利します。

これで逆に追い詰められたのは「DFM」。中堅戦に敗北してしまうと、50-50の同点で、大将戦の20ポイントで決着が付く状態に持ち込まれます。60-40にし、Shuto選手戦を3巡目の大将戦と4巡目の先鋒戦に2回のチャンスに増やすことができるかが大きな分かれ道となります。その状況で登場したのが大爆発中の竹内ジョン選手。まったく危なげなく1ラウンドも落とさず勝利しました。

大将戦は、ここまで控えに回っていたナウマン選手が満を持して登場。リーグ戦ではマリーザ戦を経験しておらず、ときど選手、かべ選手のケンを倒しているので、それこそ中堅戦で、かべ選手相手にケンミラー戦を仕掛けると思いきや、いきなりボス戦での登場となりました。動きはかなり良かったですが、Shuto選手のマリーザの前に倒れてしまいます。

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    3巡目に満を持して登場したかべ選手

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    インターバル中にチームメンバーで話をする「SS熊本」

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    Shuto選手への3人目の挑戦者となったナウマン選手

これで60-60のイーブン。4巡目の先鋒戦にすべてが託されます。これまでホームが先行する「DFM」が有利な試合展開でしたが、4巡目は「SS熊本」がホーム。「DFM」にオーダーを被せられます。

とはいえ、昨年同様にShuto選手が3巡目の時点で3巡目の大将と4巡目の先鋒に出ると宣言をしており、おそらくその通りになると「DFM」もわかっていたことでしょう。長時間のミーティングの結果、出した答えは板橋ザンギエフマリーザでした。

マリーザミラーとなること、全勝の竹内ジョン選手を出さなかったこと、対Shuto戦にチームメンバーの全員が登場したことなど、このオーダー選択は会場、そしておそらく視聴している人たちにも大きな衝撃を与えます。

そして、結果は、フルラウンドのギリギリの戦いながら2セット連取した板橋ザンギエフ選手がShuto選手を下し、「DFM」のグランドファイナル進出を決めました。

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    最終試合となる4巡目先鋒戦。ホームながらShuto選手の出場をほのめかした「SS熊本」に対して、アウェイの「DFM」は同キャラ使いの板橋ザンギエフ選手の出場を宣言。なんと、対Shuto戦4人目の刺客として登場です

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    マリーザミラーを制し、グランドファイナルを決めた板橋ザンギエフ選手

実はこの最後のオーダー、現場にいる選手たちは竹内ジョン選手推しだったそう。しかし、会議室にいるコーチの立川選手が板橋ザンギエフ選手を強く推し、そのコーチの助言に従うことにしました。Shuto選手にとってみれば、ミラーはあまり頭になかったのかもしれません。

それにラシード、ディージェイ、ケン、マリーザの4キャラ、もしかするとザンギエフも入っての5キャラをすべて完璧に対策するのはさすがに難易度が高かったとも言えます。「魚群」戦の対策も含めると対応数はさらに増えてしまいます。結局、Shuto選手は2勝2敗の結果となり、「DFM」の作戦が実ったと言えるでしょう。

それに対して、「DFM」は「SS熊本」の対策に重きを置き、一人ひとりがマリーザ+1キャラ程度の対策で済んだのは、リーグ上位の利点だったのではないでしょうか。

2024年1月13日にはいよいよグランドファイナルが行われます。これまでリーグ戦上位チームが順当に勝ってきましたが、グランドファイナルでも同様に「FAV」が勝利するのか、はたまた「DFM」が逆転勝利を得るのか、楽しみです。

ちなみに、グランドファイナルはプレイオフと同様のレギュレーションで、ポイント獲得数が90ポイントに増えています。必然的に3巡目まで行われ、最大5巡目先鋒まで行われます。今回のプレイオフは先述したとおり、オーダーがリーグ戦以上の反映された結果となったので、グランドファイナルもそこがカギとなる気がします。