5月25日から28日までの4日間、ゲーミングスペース「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」にて、『ストリートファイターV(ストV)』のeスポーツ大会「TOPANGA World Championship(TWC)」が開催されました。

従来の「TOPANGA Championship」は、オンライン予選を勝ち上がった選手が本戦リーグに進出するシステムでしたが、今回は、日本人選手4名、海外勢4名を招待したインビテーションマッチ。TOPANGAの代表 豊田風佑氏がかねてから熱望していたTOPANGA初の世界大会です。

出場選手は、ときど選手、カワノ選手、ふ~ど選手、ひぐち選手、Mister Crimson選手、EndingWalker選手、MenaRD選手、Zhen選手の8名。これまで『ストV』競技シーンで活躍した実績や、実力面の高さを独自評価して決定したとのことです。

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    「TOPANGA World Championship」に出場した選手。左からMister Crimson選手、EndingWalker選手、MenaRD選手、Zhen選手、ときど選手、ふ~ど選手、ひぐち選手、カワノ選手

ときど選手は、カプコンの公式大会「Capcom Pro Tour(CPT)」の取得ポイントや大会で重ねてきた賞金額がトップクラスの、いわばミスター『ストV』。カワノ選手は、若手ながら、格闘ゲームの祭典「EVO 2022」や、第3期「TOPANGA Championship」、「CPT 2021 日本大会4」など、数々の大会で優勝を果たしています。

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ふ~ど選手は、安定して大会上位に食い込み実力者。マルチキャラ使いとしてどのキャラクターも練度が高く、同時に使用できる器用さを併せ持っています。ひぐち選手は、現役大学生ながら10年近いキャリアを持っています。ここ数年の成長が著しく、カワノ選手の次の世代を牽引している選手です。

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フランス出身のMister Crimson選手は、『ストV』の年間世界大会「CAPCOM CUP IX」で4位となった実力者。屈指のダルシム使いとして名を馳せています。

イギリス出身のEndingWalker選手は、同じく「CAPCOM CUP IX」で一気に話題をさらった17歳の若きプレイヤー。パッドで「エド」を巧みに操り、唯一無二の戦い方で一気に注目の選手となりました。

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中国出身のZhen選手も弱冠20歳の若きプレイヤー。「CAPCOM CUP IX」当日予選の「LCQ」で優勝し、本戦出場の最後のひと枠を勝ち取ったことで、一気に知名度が上昇しました。しかも、「LCQ」では多くの日本人選手がZhen選手に倒されました。

ドミニカ共和国出身のMenaRD選手は、「CAPCOM CUP IX」の優勝者。「CAPCOM CUP 2017」でも優勝しており、「CAPCOM CUP」史上、唯一の2タイムスチャンピオンです。

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ちなみに、ひぐち選手は、最終選考試合でぷげら選手に勝利しての参加。板橋ザンギエフ選手が招待を辞退したため、ぷげら選手とひぐち選手との最終選考試合が開催されています。

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「TWC」は、7本先取の長期戦を全選手と行うシングルラウンドロビン方式のリーグ戦で行われます。6勝6敗で並んだ場合、2勝差が付くまで延長戦が行われます。ただし、最大で19試合までしか行われず、先に10勝した選手の勝利となります。1日7試合行い、4日間連続で行われました。

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Day1は、海外の招待選手同士の対戦に注目。海外勢がいる大会の場合、日本人選手対海外選手がピックアップされがちですが、海外勢同士のカードも魅力的です。特に、MenaRD選手とEndingWalker選手の対戦は、「CAPCOM CUP IX」のトップ16トーナメントのウイナーズ準決勝で行われた組み合わせと同じ。敗北を喫したEndingWalker選手はリベンジを果たすべく、MenaRD選手との対戦を切望していました。

さらに、同じくEndingWalker選手が対戦を切望していたふ~ど選手戦もラストマッチとして用意されていました。この一戦は、7対3の大差でEndingWalker選手が勝利。負けるにしてもこれほどの差を付けられて負けるふ~ど選手は珍しいのではないでしょうか。

Day2の注目カードは、2戦目に行われたひぐち選手対Zhen選手。ひぐち選手は活躍する日本選手としては最若手ですが、そのひぐち選手よりも若いZhen選手との対戦です。序盤で5連勝し大きく先行するひぐち選手でしたが、Zhen選手が追いつき6対6のイーブンに。追い上げの勢いそのままに、延長戦でZhen選手が勝利しました。

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Day3の注目は、なんと言っても最後の2試合。ふ~ど選手対MenaRD選手戦と、ときど選手対EndingWalker選手戦です。日本の『ストV』競技シーンを支えてきた2人と、世界チャンピオン、17歳の新進気鋭の若手がどのような戦いをするか気になります。

結果は、ふ~ど選手がMenaRD選手に7対2で、ときど選手がEndingWalker選手に7対1で勝利しました。MenaRD選手はルークでふ~ど選手に5連敗したあと、苦し紛れのバイソンを投入するも敗北。再びルークに戻しましたが、2勝するのが精一杯でした。

一方のときど対EndingWalker戦は、初戦をEndingWalker選手が取りますが、そのあと5連敗。起死回生を狙ったEndingWalker選手が「アレックス」を出しますが、流れは変わりませんでした。

Day2からその片鱗を見せてきましたが、この時点でときど選手の異常な強さが際立ってきます。5戦5勝の全勝であることはもちろん、各試合で最大でも3セットしか取られていない圧倒的な強さで勝ち進んでいます。2位以下がダンゴなので、よほどのことがない限り優勝は確定といった状況で、Day4を迎えました。

Day4でも、ときど選手の快進撃は続きます。2タイムスチャンピオンのMenaRD戦では、初めて4セットを取られるものの、勝ちきります。最後のふ~ど戦も7対2の大差で勝利し、最終結果は7戦全勝。勝敗差33と、驚異的な成績を収めました。

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「TWC」が開催されたのは、1週間後にシリーズ最新作『ストリートファイター6(スト6)』がリリースされるタイミングです。しかも、体験版をプレイできる状況において、それでも「TWC」のために、ときど選手が『ストV』をやり込んできたことがわかります。実況解説陣が「そこからCAつながるの?」「そんなコンボあるんだ」と驚くような新しい戦略すら見いだしています。

トッププロとしては、競技シーンが『スト6』に移行する以上、「そこまでやる必要があるのか」と問われそうですが、これこそ、ときど選手が“求道者”と言われる所以でしょう。『ストV』は“ときど選手のゲームだった”と言われることがありますが、実際に、最後の最後まで、ときど選手のゲームだったと感じさせる大会でした。

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