私の名前は粕田舞造(かすたまいぞう)。藤原竜也のモノマネ動画ばかり見ていたら三が日が終了していたどうしようもないオッサン。マイナビニュースの「カイジファイナルゲームの動画付き記事」も楽しくて仕方がない。それが粕田舞造なのである。今年もよろしくお願いします。
メモリ動作の基本である「SPD」情報とは?
今回は定格DDR4-3200メモリを使ってみたい。DDR4メモリは動作クロックによって、DDR4-2133からDDR4-5000まで幅広く存在している。その中で、「定格メモリ」と「OCメモリ」が存在していることはご存じだろうか。
メモリには「SPD」と呼ばれる基本情報が書き込まれている(もう少し細かく言うと、SPD情報がメモリモジュールに積まれたEEPROMという部品に書き込まれている)。マザーボードはこのSPD情報を読み込んで、メモリがどのクロックで動作するかなどを判断する。例えば、定格DDR4-2666メモリであれば、SPD情報にDDR4-2666で動作するように書き込まれている。だからマザーボードに挿すだけで自動的にDDR4-2666として動作するわけだ。
一方のOCメモリはDDR4-2666だとしても、SPD情報にはDDR4-2133など低い動作クロックが書き込まれている。そのため、マザーボードに挿しただけではDDR4-2666として動作はしない。通常OCメモリは、XMPと呼ばれるメモリ拡張規格に対応し、OC(オーバークロック)動作、つまり定格の動作クロックを超えて動くためのプロファイルが書き込まれている。マザーボードのUEFIメニューで、そのXMPプロファイルを読み込むことでDDR4-2666として動作する仕組みだ。OCメモリでもXMPプロファイルの範囲内であれば、保証に変わりはない。
第3世代RyzenがDDR4-3200に対応、そして2019年はメモリの価格が大幅に下がったこともあり、高クロックメモリに注目が集まっている。DDR4-3600などの高速メモリも人気だ。ただし、注意が必要なのはメモリの標準規格はJEDECという団体が策定している。そのJEDECが策定しているDDR4メモリはDDR4-3200まで。つまり、定格動作もそこが上限。それ以上のメモリはすべてOCメモリになる点は覚えておきたい。もちろん、DDR4-2666やDDR4-2933など、DDR4-3200以下でも定格とOCメモリの両方が存在する。
Ryzenはメモリのクロックが高いほど性能が伸びる傾向にあるためOCメモリも人気だが、高クロックになるほど動作条件もシビアになる。OCメモリの多くは動作検証済みのマザーボードをWebサイトで公開しているので、購入前にはチェックしておくといいだろう。
第3世代Ryzenで高クロックメモリの効果を試す
前置きが長くなったが、第3世代Ryzenで相性などの心配を減らしつつ、性能もしっかり引き出したいなら定格でDDR4-3200動作するメモリが安心だ。そこで、今回はセンチュリーマイクロの定格DDR4-3200メモリ「CD8G-D4U3200H」を用意。Ryzen 7 3700XとX570チップセット搭載マザーボードの環境で使ってみたい。
■テスト環境
CPU:AMD Ryzen 7 3700X(3.6GHz)
マザーボード:MSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)
ビデオカード:GIGA-BYTE GeForce RTX 2070 WINDFORCE 8G(NVIDIA GeForce RTX 2070)
システムSSD:Kingston KC600 SKC600/1024G(Serial ATA 3.0、1TB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版
センチュリーマイクロは国内製造と定格動作にこだわりを持つメモリ専業メーカー。安定性、信頼性を重視した作りでファンも多い。「CD8G-D4U3200H」も国内製造の高品質8層基板を採用。動作電圧は1.2V、レイテンシはCL=22、ランクはシングルランクだ。
なお、ランクとはメモリの動作単位のこと。DRAMチップの実装方法によって異なり、ランクを公開している製品もあれば、公開していない製品もある。なお、第3世代Ryzenでは、シングル、デュアルランクとも2枚まではDDR4-3200動作、4枚ではシングルランクだとDDR4-2933、デュアルランクだとDDR4-2666と動作クロックは制限される。
OCメモリを使用すれば、4枚搭載でもDDR4-3200以上で動作する場合もあるが、メモリとマザーボードの組み合わせによって可能かどうかは異なってくる。メモリを大容量搭載したい場合は、メモリとマザーボード両方の対応状況をWebサイトで確認することが大切だ。
話を戻そう。センチュリーマイクロのCD8G-D4U3200Hは定格DDR4-3200なので、2枚ならマザーボードに挿すだけで自動的にDDR4-3200で動作。何も設定がいらないのはラクだ。ちなみに、4枚挿すとDDR4-2933へと自動的に設定された。第3世代Ryzenの仕様通りの動作だ。
2枚挿し(8GB×2)のDDR4-3200動作時と4枚挿し(8GB×4)のDDR4-2933動作時で性能に差が出るのか、CINEBENCH R20とPCMark 10を実行してみた。どちらも差はわずか。一般的な用途では、DDR4-3200とDDR4-2933で性能差を体感することはあまりないといっていいだろう。
定格DDR4-3200のCD8G-D4U3200Hは、マザーボードに挿すだけでキッチリと第3世代Ryzenの仕様通りに動いてくれるのが大きな強み。そして、ここからは完全自己責任となるが、定格でDDR4-3200という高クロックで動くということは、当然DRAMチップの品質も高いということ。イコールOC耐性も高いと推測される。
実際、4枚挿しの状態(8GB×4枚)でDDR4-3600にOC設定してもあっさりと動作。CINEBENCH R20やPCMark 10もベンチマークを完了できた。電圧の変更など設定を詰めれば、もっと高クロックでも動作しそうだ。ただし、仕様以上の動作はもちろん保証外。しかし、CD8G-D4U3200Hは定格でDDR4-3200で動作する安心感があるため自作初心者にもオススメできる一方で、品質の高さから設定を詰めてのOCにも挑戦しがいのあるメモリともいえる。高価ではあるが、幅広い用途やニーズに応えられる実に面白い製品だ。
※冷たいことをいうようですが、上記のカスタマイズで動作不良を起こす場合があります。自己責任の範囲でトライしてください。