PFUが開発・販売する高性能コンパクトキーボードHHKBシリーズの新製品「HHKB Professional Classic Type-S」が、PFUダイレクトでの販売を開始した。

  • HHKB Professional Classic Type-S。シンプルな有線接続ながら、静音性や高速タイピング機能を追加した

    HHKB Professional Classic Type-S。シンプルな有線接続ながら、静音性や高速タイピング機能を追加した

同シリーズは、合理的なキー配列を持つハイエンドキーボードのシリーズで1996年に発売開始以来、プログラマーやエンジニアといったタイピングのプロたちに愛されてきたシリーズだ。

HHKBは、ずっと「馬の鞍」をめざしてきた。

「アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない」と、同シリーズの生みの親でもある東京大学 名誉教授 和田英一氏は述べている。

原点モデルが静音進化、HHKB Professional ClassicにType-Sが登場

今回発売された「HHKB Professional Classic Type-S」は、従来製品である「HHKB Professional Classic」をType-S化したものだ。

従来のHHKB Professional Classicは同シリーズの原点ともいえるもので当面は併売されるが、それを静音化し、高速タイピングと静粛性に優れたキー構造を実現している。

HHKB Professional Classic Type-Sは有線接続だけに対応したシンプルな構成となっていて、Bluetoothなどには対応していない。このため、価格的にはシリーズ中最廉価な31,900円で提供される。

  • HHKB Professional Classic Type-Sの日本語配列(右)と英語配列(左)。カラーはそれぞれ雪、白、墨の3色

    HHKB Professional Classic Type-Sの日本語配列(右)と英語配列(左)。カラーはそれぞれ雪、白、墨の3色

USBによる有線接続だけというのはバッテリー切れの心配もなければ、セキュリティ的な懸念がある未知の機器とのBluetooth接続といったことをする必要もない。

もっともUSB接続してしまえば同じだと言われればそれまでだが、そこにあるデバイスと相互に接続するための手段を限定してしまうというのは、それなりに効果がある。

「Type-S」キー構造というのは、押下されたキーが戻るときに発生する音を改善する仕組みで、人間の聴覚感度が高い2,500~5,000Hz周波数帯で刺激が下がるよう改良された機構だ。

キー押下時のブレを抑え、駆動部のかみ合わせが、よりタイトに設計されているため、高速タイピング時でも離れたキーなどの打ち損じが減り、より安定感のあるタイピングを実現できるという。

打鍵音は3割カット。操作性を高めるキーマップ機能も強化

PFUの調べによればキー打鍵音は従来の無印「HHKB Professional Classic」よりも30%低減した。また、押下圧とのバランスを考えキーストロークを従来のProfessionalシリーズの4mmから3.8mmに最適化している。

製品の発売と同時に、同シリーズ向けの「キーマップ変更ツール」がアップデートされる。既存ユーザーにはこちらも気になるだろう。

今回は、複数キーを同時押しするショートカットを1つのキーに割り当て可能にする機能と、スリープに入るまでの時間の任意設定機能が追加された。

残念ながら、複数キーの組み合わせに、単一のキーを割り当てる機能は提供されない。個人的にはこれがもっとも残念だ。

すべてのアプリにおいて、特定のキーコンビネーションが同じ機能になればどんなにいいだろうと、ずっと思っている。アプリごとに勝手にショートカットを定義しているので、同じようなことをするのにアプリごとに運指を変えなければならないのはつらい。

でも、BSやEnter、各方向キー、ファンクションキーなどはほとんどすべてのアプリで同様の振る舞いをする。遠い機能キーより近い複数キーコンビネーションの方が打鍵はラクなのだ。たとえば、Ctrl+Dを押せば右方向キーを押したときと同じにしたいということだ。

これらを任意のキーの組み合わせにできたら、また、任意のキーの組み合わせを、別の任意のキーの組み合わせに再定義できれば、すべてのアプリで同じキー割り当てという野望もかなうはずだ。

「カスタマイズの記録」機能が欲しかった。次の拡張に期待

ややこしいが、「複数のキー入力(ショートカット)」を「1つのキー」に割り当てることができるようになったが、「複数キーの組み合わせ」に「ひとつのキー」を割り当てることはできない。

例えばひとつのファンクションキーに「Windows+Shift+C」というショートカットを割り当てることはできるようになった。しかし、「Ctrl+Dを押したら右方向キーとして機能する」といった、自由なキーの組み合わせの再定義はできない。これが残念でならない。

もちろんPowerToysなどのユーティリティを使えば簡単にできる。でも、それはWindows OSでの利用時にしか使えない。REALFORCEシリーズは、キーボードハードウェアがカスタマイズした定義を覚えてくれるので、どんなデバイスに接続したときにも、特別なユーティリティを設定することなく、望みのタイピングスタイルで作業できる。

その素晴らしさを、さらに拡張してほしい。次のHHKBにはぜひその野望をかなえてほしいものだ。