OPPOから新しいAndroidタブレット「OPPO Pad 3」が発売された。MediaTek Dimensity 8350を採用する11.6インチ536gのタブレットだ。

この製品には、Matte Display Editionと呼ばれる反射防止マットディスプレイを採用したモデルが用意されている。ナノテクスチャー加工のディスプレイで外光の反射を低減するというものだ。

Matte Display Editionとされているが、今のところ無印Editionが提供される様子がないので、これが標準仕様に相当するようだ。そのサラサラしたマット状のディスプレイ表面の仕上がりは、ペンで書き込みをしたりする場合にも、紙のような感覚を再現する。

  • 6月26日に発売した「OPPO Pad 3 Matte Display Edition」(価格は79,800円)。反射を抑えつつ紙のようなサラサラ感を提供する(撮影:編集部)

気になる画面の映り込みを防ぐ「非光沢」に再注目

パソコンやタブレット、そしてスマホのディスプレイの光沢、非光沢は、まさに永遠の課題のように議論されてきた。ブラウン管のディスプレイを使っていたころからそうだった。動画を楽しんだり、写真を見たりといった使い方では光沢ディスプレイは確かに美しい。一時期は光沢ディスプレイでないと売れないというようにも評価されてきた。

スマホやタブレットのように、たかだか6~8インチ程度のディスプレイであれば、外光の攻撃からなんとか逃げることはできるかもしれない。だが、これが10インチを超えるサイズのタブレットやノートパソコンではそれが難しくなる。

天井の照明や白いインテリアが映り込んだり、操作する自分の顔が、表示の黒い部分に映ったりして興醒めだ。それを容易に回避できるのがOPPOが提案しているような非光沢のディスプレイというわけだ。

技術の進化でマット画面でも自然な映りに

そんないいところだらけの非光沢加工だが、ちょっと前までは、光量が落ち、色が変わるといったことを理由に嫌われてきたりもした。家庭用のTVディスプレイで非光沢がないのと同じように扱われてきたわけだ。

ほとんどの場面で明るい動画を写しているデバイスと、静止した画面を凝視することが多いデバイスでは、ディスプレイに求められる要素は異なるのにだ。それに今は、ディスプレイの輝度も以前より大きく向上し、非光沢での見劣り感はほとんどないともいえる。

実際には、紙に印刷された版面のように自然な印象さえある。現代の技術進化は、非光沢のデメリットを解消しつつあるのだ。

高級タブレットのマット画面がトレンドに。拡大に期待

こうした取り組みをしているのはOPPOだけではない。たとえばXiaomiもXiaomi Pad 7 Proにおいてウェットタッチテクノロジーを採用したMatte Glass Versionを提供している。AGナノテクスチャリングプロセスとAR光学コーティングを採用して、光の干渉を99%除去し、画面の反射を低減するとのことだ。

また、Appleは、Apple Studio DisplayでNano-textureガラス版を提供している。その説明では、ナノメートルレベルでガラスに彫り込まれたNano-textureは「光を散乱させて映り込みを最小限に抑える」とされている。

この加工のディスプレイは、2025年モデルのMacBook ProiPad Proでも選択可能だが、通常のディスプレイに対して2万円前後程度の価格アップとなる。だが、日々のパートナーとしてコンピューター的なデバイスを使うなら、非光沢ディスプレイという選択肢は、日常の使い勝手に大きな影響を与える。

光沢ディスプレイを非光沢加工にするには、自分でガラスやフィルムを貼り付ける方法もあるが、メーカー側がコンピューティングの環境をもっと考えるようになり、このトレンドがもっと拡大し、いろいろなデバイスが、こうしたディスプレイを積極的に採用してくれることを望みたい。