KDDIとローソンがTAKANAWA GATEWAY CITYに「Real×Tech LAWSON」1号店をオープンした

KDDIは2025年7月1日に高輪ゲートウェイ駅最寄りのTAKANAWA GATEWAY CITYに新本社をオープンしたが、その6Fにオープンしたのが「ローソン高輪ゲートウェイシティ店」だ。この店舗はいわゆるコンビニのローソンではあるが、高輪という街のハブとなって、KDDIの通信やテクノロジーによる新しい体験を提供する「Real×Tech LAWSON」1号店となる。

  • ローソン代表取締役 社長の竹増貞信氏(左)と、KDDI代表取締役社長 CEOの松田浩路氏(右)

  • KDDIの通信やテクノロジーで新しい体験を提供する「Real×Tech LAWSON」1号店。パッと見た感じは普通のコンビニ

    パッと見た感じは普通のコンビニ

AIが客の行動を分析、買い物体験にレコメンド追加

店舗に入ってみると、これまで見慣れたコンビニのイメージではあるものの、よく見ると、いろんなシカケがちりばめられていることがわかる。たとえば商品棚の上部、壁面などにさまざまなサイズの液晶モニターディスプレイが設置され、AIによって商品を物色している客の行動をカメラが分析、特定の商品を推奨する。

また、店舗側が設定したタイミングで店内の全サイネージがコンビニ空間をジャックしたりもする。「揚げたてのからあげクンができました」的なお知らせ映像が、大音量での音楽やアナウンスといっしょに映し出される。そのからあげクンなどを調理するのは自動調理ロボだ。コンビニという現場のさまざまな場面でロボットが活躍する。

  • 棚にもカラーの表示用ディスプレイ

  • いたるところにカメラを設置、顧客の行動や店内の状況をAIに伝える

  • 棚の最上部がディスプレイ。お知らせやからあげクンの揚げたてなどを告知するために店内をジャックする

「Pontaよろず相談所」ブースで専門家に遠隔相談

また地域のハブとなるコンビニローソンは、高輪の街の情報として、天気や電車の遅延、混雑情報などをサイネージとして提供する。

さらに、生活インフラを専門スタッフに相談できる遠隔サービスとしてPontaよろず相談所ブースなども設置される。遠隔地にいる専門家とテレビ電話で相談ができる仕組みで、画面に映し出されるのはアバターだが、音声はリアルな営業スタッフだ。

  • Pontaよろず相談所ブースでは、専門家とつないでさまざまな相談ができる

これらのチャレンジは、ローソンとしては初のものがほとんどだ。つまり、当初はこの1号店のためだけにコンテンツが作られる。

だが、そのコンテンツはさまざまなタイプのサイネージに対応できるようになっていて、今後、各地にオープンするであろう別の規模の異なる「Real×Tech LAWSON」でも使えるように考えられている。その分、コンテンツを制作する費用も軽減することができる。

AIとロボで“見える”店舗運営へ。全国のローソンも生まれ変わる?

1号店はKDDIの本社内にありながら、誰もが使える店舗だ。この店舗に加えてKDDIは本社内の社員専用フロアにもローソン店舗を開店、より斬新で実験的なリテールテック機能を実装していく予定だという。

ちなみにローソンでは2030年度までの店舗オペレーションを30%削減することを目指している。人手不足が深刻化する中で、労働力人口の減少が懸念されているが、それをコンビニという現場の運営でどう解決していくかを見出していくのも、この店舗の役割だ。

ロボティクス活用による業務支援はもちろん、防犯カメラを使って棚の充足率や買い物客の行動を可視化し、それをAIエージェントによりダッシュボードなどに提示、店舗運営の課題や改善策の提案などを支援することで、コンビニの経営者がより質の高い店舗運営をできるようにもする。この仕組みはフランチャイズ店のオーナーにとっても、重要なプラットフォームとなりそうだ。

今、コンビニのローソンは、三菱商事とKDDIが50%ずつの株式を保有している。この経営体制を発表したのが2024年の2月だ。新しい本社のオープンと合わせるかたちでの次世代コンビニオープンだが、ほぼ1年半でのこの展開はものすごくスピーディだ。日本中に約14,000店舗を構えるローソンを未来のコンビニに生まれ変わらせることができるかどうかに注目が集まる。