サムスン電子ジャパンが仏・パリでスマホ新製品のお披露目イベント「Galaxy Unpacked 2024」を開催、この夏の新製品として最新の折りたたみスマートフォンを発表した。日本でも7月17日に予約の受付を開始、7月31日からの発売が予定されている。

ワールドワイドでの発表からほとんど間を置かずに日本でも発売されるのはうれしい。こんなスピーディな展開は今までなく、同社の力の入れようがわかるというものだ。

  • コンパクトに折りたためる「Galaxy Z Flip6」。折りたたんだときの画面サイズは3.4インチ

同社の折りたたみフォンは2タイプ。一般的な縦長平板スマホを折りたたんで、その半分のコンパクトサイズになるGalaxy Z Flip6と、折りたたんだ状態では一般的な縦長平板スマホだが、開くと大きくなってタブレット的に使えるGalaxy Z Fold6だ。

つまり、小さくなるスマホと大きくなるスマホだ。モデル名からわかるように、同社の折りたたみスマホはすでに第6世代に入っている。

「折りたたみAIフォン」の浸透をもくろむGalaxy

今回のGalaxyは、AIを積極的にアピールしている。新製品のいろいろなデモンストレーションを見せてもらったが、生成AIがもたらす世界観が確かにすごい。

同社ではAIを活かした新たな製品展開で、かつてないほど画期的なモバイル体験を実現し「折りたたみAIフォン」の浸透をもくろんでいる。誤解を怖れずに言えば、この世界観は無理にスマホだけに閉じ込めなくても、タブレットやパソコンにも展開することができれば世界は大きく変わるように思うがどうだろう。

同社がいうには、日本でのGalaxyの販売も好調で、全世界では今年度末までに2億台のAIフォンが普及するそうだ。

FoldとFlipはスマホが大きくなるか小さくなるかを、両面から提案している。どちらもSoCとしてSnapdragon 8 Gen 3 Mobile Platform for Galaxyを搭載する。つまり、頭脳の部分に違いはない。純粋にカタチ/スタイルとしてのフォームファクタが違うだけだ。そして、できることもほぼ同じだ。しいていえばFold6はSペン対応しているが、Flip6は非対応といったところだろうか。

  • Galaxy Z Flip6(左)とGalaxy Z Fold6(右)。カラフルなカラー(ケース)も目を引く

  • Galaxy Z Fold6(右)は広げると7.6インチの大画面が現れる

外国語の講演をその場で文字起こし、翻訳して字幕に

両機共に、いろんな場面でAIが使えるが、今まであまり見かけなかった機能として、通訳機能のリスニングモードというのがある。セミナーや授業、講演など、外国語で伝えられる内容を、その場で文字に起こし、同時通訳して字幕表示するというものだ。文字起こしと翻訳字幕表示の合わせ技だ。

これは今までありそうでなかった。同等のことができるものとしては「ポケトークライブ通訳」が知られているが、有料だし、クラウドサービスだ。だが、サムスンのものは、スマホが機内モードでも使える。これはもう、洋画のように世界に字幕がついている環境が得られる。すごく不思議でワクワクする。

1時間でも2時間でも、一方的にしゃべられる外国語が、あるいは、聞こえてくる異国の言葉が目の前のディスプレイにどんどん字幕表示される。会話モードは、こちらの言葉と、あちらの言葉をとっかえひっかえ認識するため、会話を開始する前にボタンをタップするなどの操作が必要で、ある程度の時間で認識が停止してしまう。でも、リスニングモードでは、いったん通訳を開始すると、何時間でも延々と外国語の通訳を続けてくれる。こういうのがほしかったという方も多かったはずだ。

また、会話といっても、相手のいう言葉に対してイエスとノー程度の答えで大丈夫な会話も多いはず。そういうときにもリスニングモードは役にたつ。

ただ、翻訳された字幕について、認識した音声結果やその内容の字幕データなどを保存することはできない。おそらく知的財産などを考慮してのことだと思われる。記録が必要な場合は、別途録音などをすることになるだろう。試してみたが、レコーダーアプリを使うと、通訳機能は停止してしまうようだ。

  • こちらは通訳の「会話モード」。外国で料理を注文するときなど、自分と相手の言葉を都度翻訳してくれる

AIの便利な機能は他メーカーのスマホでも実現してほしい

AIの便利な機能は、特にハードウェアの造作や特殊な仕様に依存しないのなら、サムスンのみならず、他のメーカーのスマホでも実現してほしい。おそかれはやかれ他社も追随することになるだろうが、競走し、競合し、切磋琢磨しながら、エンドユーザーにとってのAI利用が進んでいくといい。

もっともっとわかりやすいかたちでAIの活用についてエンドユーザーは知る必要があるし、それを知ることで暮らしはもっと豊かになるはずだ。

そのためにも最新のAIスマホを手にしたユーザーが、その機能を容易に発見し、役立てることができるようにするための工夫が必要だ。端末でのチュートリアルやガイダンスなどで見せようとしている態度は見てとれるが、今のままでは、機能が発見すらされずに使われずじまいになってしまう懸念もある。

そんな残念なことにならないように、YouTubeでチュートリアルシリーズを見せるなどの展開もあわせて考えてほしいものだ。