アマゾンのスマートディスプレイでは最大サイズとなる15.6型スクリーンの「Echo Show 15」が4月に発売された。しばらく使わせてもらったが、評価がなかなか難しい。

15.6型というとそんなに大きいイメージがないかもしれないが、狭額縁化が進むノートパソコンなどとは異なり、壁掛けを想定し額縁の中の写真フレームのようなイメージが演出されているため、デバイスとしての本体サイズはかなり大きく感じる。

  • 家に置かれたEcho Show 15(Amazon価格は29,980円)。全体の対角は約17インチ、それなりに存在感がある

対角線の長さを測ってみると約45センチ、つまり、約17インチあった。17インチの額縁の中に15.6インチのスクリーンが配置されているイメージだ。スクリーンはもちろんタッチ対応で、解像度はFHD(1,920×1,080ドット)だ。

重量は2.2キロ。厚みも35ミリある。持ち運びを想定したデバイスではなく、据置くデバイスだからこれが問題となることはないだろう。本当は、もっと薄型がいいとは思うが、コストとの関連もありそうだ。

本体裏の中央部の凹みに丸型端子が装備され、同梱のACアダプタ(30W)を使って電源を供給する。縦向き、横向きのどちらでも使用できるように考えられているが、壁に掛ける以外に、別売りの専用スタンドに取り付けても使用できる。それが大仰に感じられるなら、100均あたりで物色すれば立てかけた本体を支える簡易スタンドなどを調達できるだろう。

NetflixやYouTubeは入れられるが、TVerは入れられない

コンセプトは家族みんなでエンターテイメントを楽しんだり、大事な情報を共有するためのスマートディスプレイということになっている。たとえば音楽や映像コンテンツについてはプライムビデオやNetflix、YouTubeといったコンテンツを楽しめる。

ただ、15.6型の大型タブレット端末というわけではないので、TVerやNHKプラスといったアプリをインストールしてコンテンツを楽しめるようにはなっていない。そういう用途であれば普通のFire TVをテレビに接続したり、Fireタブレットを使った方がいい。Echo Showにアプリを自由に追加できることを期待してしまうと後悔するだろう。

コンセプトが異なるのだ。だとすれば、誰がこの壁にかかったこのデバイスで映像コンテンツを楽しみたいと思うのか。立ったまま見るのか、イスに座るのか。果たして、壁はリビングルームの空間内で、正面から向かうものなのか、背を向ける存在なのではないかなどと。いろいろ考えてしまう。

家族への伝言、やることリスト、予定など、登録したアマゾンアカウントとは別に、家族一人ずつにプロフィールを作成することができる。個々の家族にビジュアルIDと音声IDを割り当てることで、Alexaは、スクリーンの前にいるのが誰なのかを認識し、適切なコンテンツを画面に表示する。

管理者に相当する人物のアカウントが家族に共有されて枝分かれするイメージだ。これはEchoデバイスすべての共通することがだが、これだけ個人の領域に踏み込む以上、もう少し突っ込んだ議論は必要だと思う。

「どう使うか?」によって設定を変えていこう

日常的なEcho Showの振る舞いは、ウィジェットと呼ばれる各種機能へのショートカットやお勧めコンテンツ誘導のパーツが表示されて、かなり画面がうるさく感じる。普段はおとなしく時刻だけを表示しておいてくれればいいのなら、ウィジェットは全部削除してしまうというのもよさそうだ。

ウィジェットがなくても画面上部のスワイプで各種の機能メニューにアクセスできるので不便はない。音楽を流しながら、過去にAmazon Photoに保存した写真のスライドショーを再生するといった、あまりデバイスが主張しない使い方をするには、ちょっとした工夫が必要だ。

あとは冷蔵庫のドアに付箋をはりつけたり、ホワイトボードで家族コミュニケーションするような使い方をしたいかどうかなのだが、すでにこの領域は、家族間スマホコミュニケーションに移行しているのではないか。あるとすればデバイスの扱いができないお年寄りや小さな子どもとの情報共有だろうか。このデバイスに食指を動かすすべてのユーザーが当てはまるとは限らない。

ボディに余裕があるのか、奏でるサウンドの品位についてはそれなりに満足できる。だが、インタラクティブに音声やタッチ操作でAexaと対話するのなら壁掛けという設置方法は果たして最適なのかどうかの判断は難しい。遠くから眺めるだけで、もっとアンビエントで存在感の希薄な使い方の提案があってもよかったのではないかと思う。

未来のために存在するさまざまなAlexa

壁掛けを想定しているが、デバイスには電源が必要だ。そのため、どうしても本体から電源ケーブルが生える。こればかりは仕方がない。電力を必要としない写真や絵画の額縁とはそこが大きく異なる。

それらを視覚的にも排除するには、ケーブルを壁の向こう側に埋め込むことになるが、既存の部屋ではそれがなかなか難しい。だったら、背面にある100×100mmのVESAネジ穴を活用し、アームなどを使って設置するというのも悪くない。

15.6型のスマートスクリーンは、さらに将来のリビングルーム環境におけるコンピューティングを視野に入れたものだといえる。壁掛けテレビは、未来のリビングで必ず使われるということで数十年前からその象徴として、いろいろなコンテンツで取り上げられてきた。

この先は、壁全体、あるいは天井がスクリーンになるとか、スピーカーになるといった世界が待っている。そのときに、今回のEcho Show 15のようなコンセプトが本当に求められているのかどうか。ユーザーレビューなどを見ると、リモコンがあってもいいといった意見も見かける。アマゾンとしても、その未来を決めかねているように感じる。それでも、さまざまなAlexaを提案してくるあたりは、さすがにアマゾンだ。