2022年3月14日月曜日、国税庁のe-Taxへの接続障害が起こり、つながりづらい状況になっているという。少なくとも、この記事を書いている2022年3月14日の14時現在では解消していない(編注:3月15日13時現在は、断続的につながりづらい状態が発生しており、障害原因が解明されていない旨が国税庁より告知されている)。

  • 国税庁の公式サイト。e-Taxの接続障害に関するお知らせPDFへのリンクが表示されている(3月14日23時時点)

    国税庁の公式サイト(3月14日23時時点)。e-Taxの接続障害に関するお知らせPDFへのリンクが表示されている

同庁では申告、納税については時間を空けてから行うことを案内し、確定申告期は24時間利用が可能であるとアナウンスしている(該当PDF)。

確定申告期間は2022年2月16日~3月15日だから、この障害は最終日の前日だ。青くなっている関係者は少なくないだろう。もちろん当事者だって気が気でないに違いない(編注:今回の障害が原因で期限内に申告できない場合は、個別に申告期限を延長し後日提出できると3月15日に発表された。該当PDF)。

上記のお知らせについて、当記事内でPDFのリンクを付加しているが、これは好き好んでそうしているわけではない。国税庁のアナウンスそのものがPDFなのだ。それでよいのだろうかといつも疑問に感じる。

PDFは電子の紙、こまめな情報伝達には向かない

国税庁ばかりではない。たとえばデジタル庁だって、「貼り出し」というシステムがあって、同庁の会見等の案内が、PDF添付のメールで届く。これは役所に常駐している関係記者クラブへの告知のシステムをそのまま使っているもののようだ。

全関係者に同じものを届けるという趣旨のもとには、PDFは向いているかもしれない。少なくとも電子の紙だ。ウェブでのテキストによる公開では、読む側の環境ごとに印象等が異なる可能性がある。それを避けるためには、少なくとも、A4の用紙に印刷した体裁をとったほうがいいという判断のもとでの慣習かもしれない。ただ、それを今なお続けることに疑問を感じないというのも変な話ではある。

〆切の前日に大慌てというのは夏休み最終日の宿題のようなもので、全員がそれに該当して悪戦苦闘するわけではない。SNS等を見ていると、申告期間のずっと前に申告完了を宣言している人たちもたくさん見かけた。前日にやろうとして何か書類や資料の不備や不足に気がついてしまった場合、目も当てられない。だから早めに申告をすませるほうがいいに決まっている。

でも、ギリギリのタイミングで申告しようとして、e-TAXのシステムがうまく使えないという状況に遭遇したとき、その原因がどこにあるのかを即座に判断できる人たちばかりではない。自分のパソコンやスマホを疑ったりもするだろう。

いろんな方法で原因を探るとは思うが、障害が起こっていることを知らせるのが、国税庁のサイトに置かれたPDFだけであるというのはまずいと思う。

「つながりにくい」と何が起こるのか? は謎のまま

この原稿を書きながら、「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を開くと、「【ご注意】e-Taxへの接続障害について」というお知らせのタイトルが表示され、それをクリックすると、「詳しくはこちら」で先のPDFが開くだけだ(3月14日14時現在)。詳しいことは何もわからない。原因もわからない。

こういうときは、できるだけ頻繁に、情報を更新してほしいし、原因がわからなくても、いつごろから何が起こっているのか、エンドユーザーはどのようなトラブルに遭遇するのか、「つながりにくい状況」というだけではなく、それによって何が起こるのかという情報をきちんと伝える努力をしてほしい。膨大な数の電話に応答して案内するよりは、ずっとカンタンだと思うのだが。

【記事追記】国税庁からの発表をもとに、申告期限の延長措置などを追記しました。(2022年3月15日 10:10)
国税庁からの発表を3月15日13時時点の情報に変更しました。(2022年3月15日 18:30)