• 最後のナンバリング……と思われていたWindows 10の次に、Windows 11が登場する

マイクロソフトがWindows 11を発表した。最後のWindowsになるはずだったWindows 10がメジャーバージョンアップされるということだ。詳細な刷新内容については、これから明らかになっていく。今週にも、Insider向けに一部機能が有効にされたWindows 11のプレビュー版の配信が始まるという。一般向けには、今年(2020年)後半から無償での配信が予定されている。

マイクロソフトはすでに「お使いの PC が Windows 11 を動作するために必要な要件を満たしているかどうかは、こちらのチェックアプリでご確認頂くことができます。互換性の確認がとれれば、提供時に無料でアップグレードができます」として、互換性チェックのためのアプリを配布している。それを使うことで、今、使っている環境がWindows 11にアップグレードできるかどうかが判定できる。

【記事追記】米Microsoftは6月28日(現地時間)、PCの互換性を確認できるチェックアプリの提供は、ハードウェア要件が最終でなくユーザーの誤解を招くとして、一時提供を中止。秋の正式版リリースの準備段階で提供を再開するとしました。(2021年6月29日 12:30)
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Windows 11のシステム要件は、Windows 10とそれほど大きく違うわけではない。64ビットプロセッサが求められること、また、UFEIでセキュアブートに対応していることや、TPM 2.0への対応などが求められる。ディスプレイサイズにも要件があり、対角サイズは9インチ以上のHD解像度が必要だ。

  • Windows 11のシステム要件(Windows 11のシステム要件ページより)

Windows 11は古いパソコンを切り捨てる試金石

これらの要件は、最新のパソコンでなくても、容易にクリアできるだろう。ただ、プロセッサーについては「1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)」としながらも、AMD、インテル、Qualcomm、それぞれのベンダーで、対応できるプロセッサーの世代が限定されている。結果的にこれがもっとも厳しい要件となる。

たとえば、インテルの場合は第8世代のCoreシリーズ以降のプロセッサーだけが対応で、それより前のプロセッサーは非対応となっている。第8世代Core iシリーズは2017年のリリースだ。一方、第7世代は2016~2017年にかけて発売されたパソコンに使われた。2017年という年に導入したパソコンは明暗がわかれる。つまり、マイクロソフトは5年以上前のパソコンを切り捨てる試金石としてWindows 11を投入したわけだ。

たぶん、Windows 11が導入できない環境でも、マイクロソフトは現行のWindows 10を2025年までサポートすることを表明しているのだから、困ることはまずないだろう。かすかに期待できることとしては、プロセッサーの世代が要件を満たさなくても自己責任でWindows 11を使えるようになることだ。もちろん、それはユーザーの自己責任になる。

【記事追記】Windows 11プレビュービルドの提供にともない、Windows 11のハードウェア要件に関する追加情報が公開されました。第7世代Intel CoreやAMD Zen 1での動作検証を、Devチャンネルを通じて進めているとのことです。(2021年6月29日 12:30)
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「変わらないこと」が求められてきたWindows

マイクロソフトはWindowsのバージョンアップに際して、互換性をきわめて重要な要素として実装してきた。実務で使われるパソコンはとにかく変わらないことが求められてきたというのも大きい。この互換性維持は本当にたいへんな作業だ。開発側からしてみれば、投げ出したいという気持ちになるにちがいない。そのためのコストも相当なものだろう。

Windows 10がRTM(Release To Manufacturin、開発完了)した2015年からこれまでの6年間、Windows 10のままで延々とアップデートを続けてきたわけだが、そのポリシーはこれからも続けながら、どこかで切り捨てるハードウェア要件を明確にする必要がある。切り捨てなければ、過去に足を引っ張られてOSは進化できない。

ただ、それをいきなり全環境で提示するわけにはいかない。誰もバージョンアップしないという危惧もあるだろう。だからこそ、Windows 10の付加価値としてのWindows 11のハードルを上げたわけだ。

つまり、Windows 11は、Windows 10をベースに、多少ハードルを高くした付加価値を追加したものであって、OSの基本的な部分はWindows 10そのものだと考えることもできる。

ハードを切り捨てて生まれるOSの刷新

秋以降に発売されるメーカー製のパソコンは、そのほとんどがWindows 11をプリインストールして出荷されるだろう。新しいハードウェアなのだから当たり前だ。

だが、その実態はハードルの高いWindows 10であり、Windows 11というのは単にWindows 10とその付加価値機能のセット製品の名前であると考えてよさそうだ。誤解を避けるためにも「Windows 10 Plus」くらいのネーミングにしておけばよかったのにとも思う。「サービスリリース2021」的な名前でもよかった。

パソコンのライフサイクルが5年程度であるとして、それを過ぎてもなお最新のOSが使えるというのは理想的ではあるが、そのことで、最新スペックのパソコンの足をひっぱる結果になってしまっては元も子もない。

そういう意味では、OSの基盤と付加価値を分離し、それぞれに対して要件を別に設定する方法は悪くない。きっと、2025年頃にはWindows 11の要件が新しい当たり前として受け入れられていて、さらなる付加価値が新たなハードウェア要件とともに提示されるのだろう。

こうして少しずつ、世の中で使われるパソコンのハードウェア要件をあげていき、真の意味でのOSコアの刷新を断行しても大きな問題が起こらないように仕向けられるのだろう。そのときのネーミングが「新しいWindows 10」であるかどうかは定かではないが、Windows 10が最後のWindowsになるといった以上は、そうしてほしいと思う。