• ファーウェイが4月20日に発表したHUAWEI Band 6。手頃な価格で健康状態をチェックできる

    ファーウェイが4月20日に発表したHUAWEI Band 6。手頃な価格で健康状態をチェックできる

Bluetooth SIGが、Bluetoothの市場動向2021年版を公開した。

レポートによれば、Bluetoothデバイス出荷台数の成長トレンドはパンデミックにより1年後ろ倒しになったという。それでもこれから市場は回復し、Bluetoothデバイスの出荷台数は、2025年までに約60億台に達する見込みらしい。昨2020年は約40億台だったので、次の5年で1.5倍になる計算だ。今、世界では深刻な半導体供給不足が懸念されているが、同SIGでは、その影響は観測していないとする。

これからのBluetoothを牽引するのは、ウェアラブルデバイスや位置情報システムなどの市場が大幅に成長することが見込まれているからだと同SIGはいう。

  • Bluetooth SIGによる、Bluetoothの市場動向2021年版

医療現場で「非接触」が活きる

実は、コロナ禍は、いろいろな市場に悪影響を及ぼしたものの、それによって成長が見られた市場もあったというのが興味深い。たとえば、医療現場では、接触を最小限に抑えながら最良の治療を提供するために、Bluetooth対応医療機器が積極的に使われた。

また、テレワークの増加によってBluetooth対応周辺機器の出荷台数が大幅な成長を記録したようだ。そして、エンドユーザーの健康への関心の高まりを受けて、ウェアラブルデバイスの需要が大きく伸びている。

そういえば、ここのところ各社からスマートバンド、スマートウォッチ系のデバイスの新製品が相次いでたくさん出てきている。なかでも中国勢がすごい。XiaomiがMi Watch Lite、Oppoからスピンアウトしたrealmeのrealme Watch Sが出てきたかと思えば、Oppo自身もBand Styleを日本向けにデビューさせた。そして、あのファーウェイもHUAWEI Band 6をリリースする。このラッシュもコロナと無関係ではあるまい。

これらのウェアラブルデバイスは1万円を大幅に下回る価格帯で、今のコロナ禍におかれた消費者の気持ちをわしづかみにするという印象だ。スマートウォッチは大仰だがバンドならというニーズが明らかにあるように見える。

これまでの各種デバイスは睡眠モニタリングによる睡眠の質の向上、心拍数モニタリング、ストレスモニタリングなど、よりよい健康をめざすスタンスだった。が、発表されたこれら新製品群では血中酸素レベルが測定できるようになるなど、いわゆるアラート系のサポートにも注力しているのは、やはりパンデミックによる健康の心配を反映したものだろう。

半導体不足で欲しいPCが買えない

ただ、冒頭にも書いたように、世界的な半導体不足は深刻だ。同SIGでは影響はないとしているが、今、オンラインのダイレクトサイトなどでパソコンを買おうとしても、その納期が一カ月以上かかるのが普通という状態が続いている。

もちろん、機種やスペックを選ばなければ、即納の製品もたくさんあるのだが、特に今は、GIGAスクール特需や、新生活、新入学のシーズンで、これから数年間は相棒としてつきあっていくであろうパソコンを物色して手に入れたいと思う時期だ。そんななかでパソコンが欲しくても、望みの買い物ができない状況が続いているのだ。

さらに、周辺機器についても据置のモニターディスプレイなどの品不足が深刻だ。

先日、アイ・オー・データ機器は、世界的に液晶ディスプレイの部材調達が困難になっていることを明らかにし、価格が急騰していることから、ラインアップと価格の見直しを発表した。ついにここまできたのかという印象だ。こうした影響が、他のデバイスに及ばないはずもない。そういう意味ではBluetooth SIGの楽観的な見通しには、ちょっとした疑問を感じざるをえない。

通信手段としてのBluetoothの恩恵は続く

とはいえ、これからのBluetoothを牽引していくであろうスマートウェアラブルデバイスと、スマホなどの母艦となるプラットフォームを結ぶ通信手段としてのBluetoothは、もはや、スマートライフに欠かすことのできない存在になっているし、これからもそれが続く。

おそらく一般的なエンドユーザーは、Bluetoothという名称を知らなくても、デバイス間の通信は無線というのが当たり前で、何も知らないまま、当たり前のようにテクノロジーの恩恵を被っているかもしれない。

コロナのみならず、さまざまな要因が引き起こしている半導体不足だが、当面の間、その影響を受ける日々が続くという覚悟が必要だ。まったくもって泣きっ面に蜂だ。