アレイ・ネットワークスの「Array APVシリーズ」は、ワールドワイドで5,000社以上の導入実績を誇っている。Array APVシリーズを採用している企業は、導入によってどのような課題解決を実現しているのだろうか。アメリカでの先端企業2社の事例から、クラウドにおけるArray APVシリーズの優位性を検証していこう。

IaaSプロバイダでのArray APVシリーズ導入事例

アレイ・ネットワークス 代表取締役 岡本恭一氏

まず、テキサス州に拠点を構えるIaaSプロバイダでのケーススタディだ。同社は世界140カ国、25,000社以上の顧客に向けて、SaaSやPaaSの基盤となるIaaSを提供している。同社のデータセンターは15カ所にあり、10万台を超えるサーバが稼働していた。

同IaaSプロバイダは、アプリケーション・デリバリとセキュアアクセスの標準化を目指し、Array APVシリーズ(「APV2600」、「APV6200」、「APV6600」を含む)184台と、ArrayのSSL-VPNセキュアアクセスゲートウェイであるArray AGおよびSPXシリーズを25台導入した。

「このIaaSプロバイダがArray APVシリーズを選定したのは、導入の容易さと、Cloud OSの統合や高いSSL性能がポイントになった」と、アレイ・ネットワークス代表取締役の岡本恭一氏は語る。

「LBaaS(Load Balancing-as-a-Service)サービスの標準ロードバランサとしてのArray APVシリーズと、管理用SSL-VPNアクセスゲートウェイとしてのArray AGシリーズを組み合わせることで、IaaSプロバイダの顧客に対し、セキュアアクセスとビジネス上の価値を提供することができました。導入の手軽さに加え、プロビジョニングの自動化でお客さま自ら負荷分散サービスの管理が可能な点を評価いただいています」(岡本氏)

標準製品としての Array

200台近いArray APVシリーズの導入によって、同IaaSプロバイダは、アプリケーション・デリバリ・コントローラ(ADC)とArray AGシリーズ セキュアアクセスゲートウェイの組み合わせによるLBaaSを実現した。さらに、コスト面での要件を大幅に満たしながら、スケーラビリティやパフォーマンス、可用性の向上に成功している。また、セキュアアクセスゲートウェイにより、プロバイダのデータセンタ内部にあるアプリケーションサービス環境に対して、顧客自身によるセキュアな遠隔管理も実現できたという。

SaaS電子カルテプロバイダにおける導入事例

次は、SaaSの事例を紹介しよう。マサチューセッツ州のeClinicalWorksは、電子カルテや症例管理、個人健康管理や医師向けポータルなどの医療情報サービスを提供している、アメリカ最大のSaaS電子カルテプロバイダだ。同社の医療情報サービスの登録利用者数は、医師が85,000人、患者が545,000人以上に上り、売上は2012年時点で2億5000万ドルに到達している。

eClinicalWorksの課題は、電子カルテアプリケーションに求められるセキュアなトランザクションの実現と、HIPAA法(医療保険のポータビリティと説明責任に関する法律)への対応にあった。HIPAA法順守にはSSLが必須となるため、ネットワークの性能と可用性の確保を目的に、同社はArray APVシリーズの「APV1200」、「APV5600」、「APV10650」を含む60台のADCを導入。サーバのフロントエンドにAPVを置くことで、リクエスト処理負荷を低減し、コストを抑えつつ可用性を向上させた。

Array APVシリーズの導入によって、eClinicalWorksの電子カルテや症例管理アプリケーションの処理速度は全体的に150%から200%高速化したという。さらに、サーバ側のコネクション数を1/15に削減し、サーバとネットワークの負荷を大幅に低減した。SpeedCoreソフトウェアアーキテクチャにより、クラウドでも高い性能と可用性を保ち、顧客に24時間・365日のサービスを提供することが可能になった。

「eClinicalWorksさまには、以前から当社のSSL-VPN製品をご利用いただいていたことが、Array APVシリーズを採用いただいたきっかけです。SSL-VPN製品のパフォーマンスやコスト面が評価され、Array APVシリーズの導入につながりました。その後も弊社のADCを追加導入され、現在では100台近くご利用いただいています」(岡本氏)

こうしたネットワークへの投資によって、eClinicalWorks は現在、100万人を超える登録患者を擁する、世界最大の電子カルテSaaSプロバイダに成長した。3年間で登録患者数は100万人に急増し、売上は3億ドルから10億ドルへと発展している。

eClinicalWorksのサービス(医師側)

eClinicalWorksのサービス(患者側) Web

eClinicalWorksのサービス(患者側) モバイルアプリ

Stratecastが提唱するクラウド基盤の4つの要件

アメリカの調査会社であるStratecast (Frost & Sullivan)は、2013年3月に発表した調査レポートの中で、クラウド基盤には、「パフォーマンス」、「安全性」、「価格」、「柔軟性」の4つの要件を満たすことが必要であると提唱している。アレイ・ネットワークスのArray APVシリーズは、これら4つの要件をすべて満たしたADCだ。独自のコア技術に裏付けられたパフォーマンスとセキュリティ機能、業界をリードする価格性能比、そして最新のハードウェアを最大限に活用できる拡張性。こうしたArray APVシリーズならではの優位性に加えて、手厚いサポートも同社の特徴の一つである。

「会社が小さいこともあり、小回りの利いたサポートの対応力を自負しています。アレイ・ネットワークスは一次代理店さまへのサポートをメインに行っていますが、どの代理店さまにもわれわれのサポートは高く評価していただいています。Array Networksのサポート拠点はアメリカ、ヨーロッパ、中国、日本とグローバルに展開しており、それぞれが連携して代理店さま、エンドユーザさまへの技術サポートを行っています」(岡本氏)

ネットワークそのものが、いつでも完全に動いていることが当たり前のように求められる現在、ネットワークの可用性と適切なセキュリティ、高いパフォーマンスを同時に実現する“アプリケーション・デリバリ・ネットワーキング(ADN)”をアレイ・ネットワークスは掲げている。

社内システムやクラウド環境におけるネットワークに、可用性、セキュリティ、パフォーマンスの全てを求めるユーザは、ぜひArray APVシリーズを検討してみてはいかがだろうか。