インターネットが普及した現在、パソコンやスマートフォンを使う最大の理由は「情報の入手」ですが、かつては「計算」。しかし、その重要性自体は変化していません。今回は、Macのもっとも基本的なツールのひとつ「計算機」を利用した便利機能を紹介します。

いろいろある「計算機」

Macで"計算"する手段は、数え切れないほど存在します。パッと思いつくのはアプリケーションフォルダにあるmacOS付属のアプリ『計算機』ですが、通知センターに表示するウィジェットの「計算機」も存在します。Dashboardに付属の「計算機」もありますね。Spotlightに数式を入力することも、立派な計算機能のひとつです。ターミナルで「bc」コマンドを利用しても計算できますし、WEBブラウザの検索バーを使う方法(Googleの検索サービスを使用)もあります。

結局どれがいいかという質問には、好みの方法/アプリを使えばいいという答えになりますが、使いやすさと多機能さのバランスでいえば、アプリケーションフォルダにある『計算機』アプリ(以下、『計算機』アプリ)が筆頭に挙げられます。意外に知られていない機能もたくさんありますから、たかが電卓と結論づけるのはもったいないですよ!

  • Dashboardや通知センターにも"計算機"が用意されています

  • Spotlightに数式を入力して計算する方法もあります

機能モードを切り替える

いわゆる電卓の多くには、計算結果を記録するためのメモリ機能が装備されています。デスクトップ上に存在するバーチャルな電卓という位置付けの『計算機』アプリにも用意されていますが、画面にはメモリに登録するための「m+」キーも、登録した内容を呼び出すための「mr」キーもありません。

メモリ機能を利用する場合には、『計算機』アプリの表示モードを初期設定の「基本」から「科学計算」に切り替えます。手順はかんたん、Commandキーを押しながら「2」を押すだけです(またはメニューバーで[表示]→[科学計算]を選択)。「基本」に戻したい場合は、Commandキーを推しながら「1」を押せばOKです。

  • 科学計算モードに切り替えると、メモリ機能や各種関数を利用できます

計算結果を記録し、振り返る

電卓に慣れたユーザにとってメモリ機能は便利なものですが、そうでない人にとっては直感的でない機能に映るようです。直前の計算ではなく、数種類の計算を試してそのうち1つを呼び出したいときなど、選択肢を残せないという点で使い勝手がよくない、という意見もあるようです。

そんなときには、Commandキーを押しながら「T」を押してみましょう。「計算記録」というウインドウが現れ、計算の履歴を確認できます。括弧を利用した計算(優先順位のある計算)を行いたい場合、メモリ機能を使うより混乱がないはずですよ。

  • Command-Tを押すと、計算結果の履歴を確認できます

時間の単位を気にせず計算する

60秒で1分、60分で1時間、24時間で1日……当たり前のことですが、これを計算するとなると若干手間がかかります。たとえば、毎分1.5kgの石炭を消費する蒸気機関車の2.3日分の燃料を求めるには、1.5×60(分)×24(時間)×2.3(日)という計算を行うことになりますが、分から時間、さらに日と単位変換することになるため、いかにも面倒です。あとでまとめて単位を変換(1.5×2.3×60×24)するにしても同じことです。

そんなときは、『計算機』アプリの単位変換機能を利用します。手順はかんたん、1.5×2.3の答えを出したあと(画面には「3.45」と表示)、メニューバーから「換算」→「時間...」を選択し、換算前の単位に「日」を、換算後の単位に「分」を指定すればOKです。

なお、換算メニューには「速さ」や「体積」、「通貨」などの単位が用意されています。「通貨」はデータが最新の状態にアップデートされるため、最新(に近い)レートで変換できることがポイントです。

  • 単位変換機能を利用すると、分/時/日が関わる計算もラクに行えます

Unicode文字を確認する

『計算機』アプリは、計算するためだけのツールではありません。ソフトウェア開発者向けに用意されている「プログラマ」モードには、演算に論理和(OR)や排他的論理和(XOR)を用いることができるほか、Unicode文字を確認する機能が用意されています。

Unicode文字は、先頭が「U+」で始まる16進数で表現されます。たとえば、ひらがなの「う」は「U+3046」、1文字で表現される「株式会社」は「U+337F」、絵文字のイヌの顔は「U+1F436」となります。

Unicode文字は、macOSの「日本語入力プログラム」に付属する文字ビューア(絵文字と記号)などのツールを利用すれば16進数で入力できますが、同じ機能は『計算機』アプリで代用できます。プログラマモードで「Unicode」と「16」を選択しているとき、「337F」や「1F436」と入力してみましょう。小さいながらも、画面左端に文字が表示されるはずです。

  • プログラマモードを使えば、Unicode文字をコードで確認できます