画面上を操作するとき使うのはマウスかトラックパッド、Macに限らずパソコンユーザの多くはそんな使い方をしています。それはそれで問題ありませんが、キーボードを駆使したほうが操作効率を改善できることも確かです。今回は、あまり知られていない「ショートカットキー」を身につけることで、Macの作業効率UPを図りましょう。
「知られざるショートカットキー」とは
Macのアプリには、複数のキーを同時押しすることで特定の機能を発揮する「ショートカットキー」を設けることができます。システム側で定義されているものもあり、代表的なところではコピーの「Command + C」、ペーストの「Command + v」などがあり、共通のショートカットキーとして知られています。ショートカットキーを体得し、Macの基本操作術として活用しているユーザも多いのではないでしょうか。
アプリで利用できるショートカットキーは、メニューバーで確認できます。「ファイル」や「編集」といった項目をクリックすると下方向に伸びるメニューの右側に、「クローバー + O」や「クローバー + S」といった文字列が表示されている場合、同じ行の命令をそのショートカットキーで代用できることがわかります。
大半のショートカットキーはメニューバーで確認できますが、macOSにはそれ以外にも多くのショートカットキーが用意されています。すべてのアプリで利用できるわけではなく、「AppKit」という開発フレームワークを使用したものに限られますが(開発ツールに通じていなければ見分けようがありません)、Safariやメール、テキストエディット、メモなどmacOS標準装備のアプリはもちろん、PagesやKeynoteなどのアプリでも利用できます。
そのメニューバーに表示されないショートカットキーは、「Emacs(イーマックス)」というUNIX系OSで長く利用されているテキストエディタで用いられていたものです(歴代のmacOSにもターミナルで利用するタイプのEmacsが標準装備されています)。とはいえ、Emacsユーザだけの機能にしておくのは惜しいほど便利に使える、例を挙げつつ具体的な使い方を紹介してみましょう。
macOSで利用できるEmacs由来のショートカットキー(C=Controlキー) | |
C-a | カーソルを行頭へ移動 |
C-b | カーソルを1つ左へ移動(1つ戻る) |
C-e | カーソルを行末へ移動 |
C-d | カーソルの右の文字を削除 |
C-f | カーソルを右に移動(1つ進む) |
C-h | カーソルの左の文字を削除 |
C-k | カーソル位置から行末まで削除(バッファに登録) |
C-l | カーソルが画面中央に来るようウインドウをスクロール |
C-n | カーソルを1行下へ移動 |
C-p | カーソルを1行上へ移動 |
C-t | カーソルの左右の文字を入れ替え |
C-y | C-kでバッファに登録した内容をペースト |
C-v | 1ページぶん下へ移動 |
「知られざるショートカットキー」ですばやく作業
- 行やセルをすばやく編集(C-a、C-e)
編集対象が「行」または「セル」(Numbersや「メモ」アプリの表)の場合、気になる部分を削除/訂正する場合どうしていますか? マウス/トラックパッドでその位置をクリックするか、キーボードのカーソルキーを押し続けるのが一般的なスタイルですよね。
しかし、C-a(Controlキーを押しながらAキー)を押すと、一瞬でカーソルが行頭(作業中のセルの先頭)にジャンプしますから、クリックする位置を誤ったりカーソルキーを何度も押したりというストレスがありません。行末になにか追加したいときも同様に、C-e(Controlキーを押しながらAキー)を押して行末へジャンプすればOKです。
- 前後の文字をすばやく入れ替え(C-t)
文字の順序を間違えてしまうことはありませんか? たとえば、「それは、」と入力するつもりが「それ、は」としてしまったり、英語では「ea」とすべきところを「ae」にしてしまうなど、スピードにのってキー入力するときに起こりがちです。
そんなときは、問題の2文字のうち後ろの文字にカーソルを移動してC-t(Controlキーを押しながらTキー)を押します。前述した「それ、は」の場合「は」の直前に、「ae」の場合「e」の直前にカーソルを移動させてC-tを押せばいいのです。すると、カーソルの直前の文字と直後の文字が入れ替わり、1回のキー操作でミスを修正できます。deleteキーで削除したあとにタイプし直すことを思えば、かなりのスピードアップになります。
- すばやくカット&ペースト(C-k、C-y)
macOSでカット&ペーストというと、マウス/トラックパッドで範囲指定してからカット(Command-X)、その後貼り付けたい場所にカーソルを移動してペースト(Command-V)という手順ですが、C-k(Controlキーを押しながらKキー)でカット、C-y(Controlキーを押しながらYキー)という方法も利用できます。カット範囲は必ずカーソル位置から行末までとなりますが、範囲指定が必要ないぶんスピーディーに作業できます。C-aで行頭にカーソルを移動させてからC-kを押すと行全体をカットできるので、Pagesのようなワープロアプリでの作業に重宝します。
ただし、C-kとC-yを利用したカット&ペーストは、アプリ間でデータを共有できません(クリップボードに保存されない)。アプリAでC-kによりカットしたデータは、異なるアプリBでC-yしてもペーストできないため、同じアプリA内でのみ利用することになります。