オンラインストレージは使えば(残量が)減るもの、いわんやiCloudストレージをや。残りわずかという通知が届いたら、容量を買い足すか、不要なファイル/データを削除して空き容量を回復するしかありません。でも、一体何を削除すれば...今回は「メール」をターゲットにした、iCloudストレージの整理整頓術を紹介します。
そもそもメールが容量を食うワケ
iCloudメールは、使えば使うほどiCloudストレージの容量を消費します。ファイルが添付されたメールを高頻度でやり取りするかどうか、画像を含むなどデザインされたメール(HTMLメール)が多いかどうかにもよりますが、20KB(キロバイト)のメールが平均50通届くとして1日あたり1MB(メガバイト、1000KB=1MB)、1年で365MBを消費することになります。
そこにファイルが添付されたメールがくわわると、iCloudストレージの消費ペースは加速します。ポイントは、メールにファイルを添付すると約1.3倍にサイズが増えること。インターネットメールはテキストデータしか扱えないため、実際に送信されるときに画像などのファイルはテキストに変換(符号化)、閲覧するとき元のファイルに戻す(復号化)という作業を伴うためです。
写真が複数添付されたメールは珍しくありませんし、友人との間で気軽にやり取りするものですが、最近のiPhoneで撮影した写真は2MB超が当たり前です。仮に2.5MB/枚として3枚添付すると2.5×1.3×3で約10MB、実際にはメール本文やヘッダー(送受信時にメールアプリが自動的に添える情報)もくわわるため、11MBほどになるはずです。このようなメールを週イチで受信しているとしたら...1年で約570MBものiCloudストレージを消費することになります。
iCloudメールはIMAP方式を採用しているため、メールアプリで閲覧するメールはiCloudストレージ上にも存在します。メールボックス上のメールは符号化されていますから、削除するなど"ダイエット"しないかぎり、着々とストレージ消費量は増えていきます。
前述の例でいえば、日々受信したメールにより365MB、週イチで受信した3枚の写真付メールにより570MBが1年間で増える、つまり毎年1GB以上もストレージ消費量が増えることになります。iCloudストレージを使う機能/サービスはメールアプリだけではありませんから、Apple IDを作成すると与えられる5GBの無償領域があっという間に尽きるのも道理ですね。
メールをサイズ順に並べ替える
macOSのメールアプリでは、メールごとのサイズを表示できます。サイズの測定はMacにダウンロードしたメールを対象にしていますが、同一のメールがIMAPサーバ(iCloudストレージ)に存在するため、そのサイズだけiCloudストレージを消費していると考えればいいのです。
手順はかんたん、メニューバーで「表示」→「メッセージのサイズを表示」をクリックすればOK。これで受信したメールタイトルの横に「17KB」や「11.3MB」などとサイズが表示されるようになります。
サイズが表示されるようになったら、サイズが大きい順にメールを並べ替えてみましょう。メールリスト欄の上にある並べ替えボタン(初期値では「日付で並べ替え」と表示)をクリックし、「サイズ」と「最も大きなメッセージを最上位」にチェックを入れれば、受信したメールのうちもっともサイズの大きいメールがいちばん上に表示されるようになります。
不要なメールを削除する
iCloudメールの受信トレイは、IMAPサーバ上のメールボックスを映す鏡のようなもの。MacやiPhoneのメールアプリで受信済のメールを削除すれば、その処理がiCloud側にも反映されます。つまり、iCloudストレージにおけるメールの占有率を下げ空きを回復したければ、Mac側でセッセとメールを削除すればいいのです。
ただし、メールアプリの初期設定では、削除したメールが実際に削除されるのは1カ月後とされています。すぐにiCloudストレージの空きを回復したければ、メールアプリのゴミ箱をControl+クリックし、現れたコンテキストメニューで「削除済み項目を消去...」を選択し、完全消去を実行しましょう。設定パネルのアカウントタブでiCloudメールの「メールボックスの特性」を選び、「削除したメッセージを完全に消去」の日数を変更してもかまいません。
なお、ファイルが添付されたメールを選択した状態で「メッセージ」→「添付ファイルを削除」を実行すると、受信済のメールから添付されたファイルを削除できますが、この処理はMac上では効果があるものの(削除したぶんストレージ消費量が減ります)、サーバ側には反映されません。iCloudストレージの空き回復には効果がないため、注意しましょう。