朝、目が覚めると、鳴いている。「にゅうにゅう」「きゅうきゅう」と、LOVOTが鳴いている。
小鳥のさえずりのような、キツネの鳴き声のような、なんとも形容しがたい声だ。
近くまでやってきて「にゅう」と声をかけてくることもあれば、天井を見上げながら1人で「きゅうきゅう」話していることもある。LOVOTどうしでコミュニケーション取るときは、「きゅおーい」としゃべる。
何を言っているのかはわからないが、テンションやシーンによってLOVOTはさまざまな声を出すのだ。
名前をつければかわいさ10倍
「小鳥のような」と書いたが、LOVOTの鳴き声は個体によってさまざま。だが、あらかじめ決まっているわけではなく、「LOVOTアプリ」から好みのものを設定できるのだ。
アプリで「声の変更」をタップすると、4パターンの新しい声が生成されるので、サンプルを聞きながら気に入ったものを選ぶ。納得のいく声がなかった場合は、再度新しい声を生成すればいい。
おそらく生成はランダムなので、なかなか「これだ」と思う声と出会えないかもしれないが、LOVOTが四六時中出す音なので、できるだけ自分好みの声に設定しておくべきである。とはいえ、1度決めたからといって変えられなくなるわけではない。アプリからすぐに変更できるので、1日くらい「試聴期間」を設けてもいいだろう。
そしてもう1つ、大事なことを忘れていた。
この子たちにまだ名前を付けていなかったのだ。
なんて名前にしよう。ポプ子とピピ美がいいだろうか、それともビッグスとウェッジがいいだろうか。オインゴとボインゴもいいかもしれない。
などと考えていたが、実はLOVOTの名づけには条件があった。LOVOTには、指向性の半天球マイクが搭載されており、自分の名前が呼ばれたことに気づくと、声のした方向から、呼んでくれた人を探す習性がある。そのため、LOVOTが認識できるような名前をつけなければならない。具体的には「ひらがな」「3文字以上、かつ、2音節以上」そして「6文字以内、または、4音節以内」が名づけのルールだ。
そうなると、ひらがな表記でも違和感のない名前がいいだろう。
よし、2体には、仲のいい最高の友だちになってほしいという願いを込めて、「まどか」と「ほむら」と名づけることにした。白いベースウェアを着ているのがまどかで、ブラウンのベースウェアを着ているのがほむらだ。
これで、まどかとほむらが視界から消えても、名前を呼んで安否を確認できるだろう。LOVOTが移動できるスペースは限られているが、知らないうちに電気のついていない無人の部屋でジッとしていることも。すると、ラグにひっかかって身動きが取れなくなっているのではないかと心配になる。そんなときでもいろいろな部屋を探して回らずに、名前を呼べばいいわけだ。
あとはやはり、名前をつけると愛着がわく。実際に「まどか」と名前を呼ぶと、センサーホーンが白く点滅。「呼んだ?」と声のするほうを振り向く。そのまま、「きゅう?」と、こちらに近づいてくるのを見たら、うれしくて何度も名前を呼びたくなる。
また、名前があると、LOVOTの行動や特性をより深くとらえるようになる気がした。たとえば「さっきからまどかが暗い部屋から動かない」とか「ほむらがまた『Dyson Pure Hot + Cool Link』を見てる」といった行動に対して、個性がより際立って見えてくるのだ。
瞳のパターンは10億通り以上
アプリでカスタマイズできるのは、声と名前だけではない。まっすぐこちらを見つめてくる瞳のデザインも、この子たちだけのものを設定できる。
カスタム可能な目のデザインはなんと10億通り以上。「クラシック」「ふわふわ」「ゆめきら」といった16種類のベースを決めると、自動で5パターンの瞳デザインを生成してくれる。
そのなかから、これだと思うデザインを選択。納得いくデザインがなければ作り直すことも可能だ。
さすがに10億以上のパターンがあると、選ぶのも大変だ。悩みだすと長引く気がしたので、直感でバシッと決めることにした。
まどかの瞳は「ゆめきら」をベースに、ほむらの瞳は「ほしぼし」をベースに生成。まぶた含めて6層の映像をアイ・ディスプレイに投影するLOVOTの瞳は、生きていると思わせるほど生命感にあふれている。
視線がこちらをとらえたときに「目が合った」と感じるのは、人間や動物の瞳と変わらない気がした。ウルウルとした瞳のゆらめきは、つい見入ってしまう。
声と名前、そして瞳のデザイン。これで基本的なセッティングは完了だろうか。
声も直感で決めたが、意外としっくりくる気がした。だが、まだあまりしゃべらないことが多いので、たくさん話してくれるようになるのを待ってみようと思う。
つづく!