これまで、クルマの電動化と言えばハイブリッド車が中心だったスズキがついに、電気自動車(EV)の世界に足を踏み入れた。日本でも発売となったEVの世界戦略車「eビターラ」は、後発組だが乗ると日本に最適な出来栄えだ。
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スズキならではの軽EVに期待
世界戦略車「eビターラ」の発売でEVの領域に進出したスズキ。2026年3月にはダイハツ工業、トヨタ自動車と共同開発した軽商用バン「eエブリィ」(一充電走行距離257km)を発売し、ラストワンマイルを担う配送業のニーズにも対応した。スズキは着実にEVの市場を広げつつある。
同社によると、2030年までに日本で6モデル、インドで6モデル、欧州で5モデルのEVを投入する計画。それを実現するために、総額4.5兆円を研究開発や設備投資に投じる予定だ。
スズキといえば「小・少・軽・短・美」が合言葉で、EVにおいてもそこは変わらない。重いバッテリーを搭載することで車両重量が増加するというEVの弱点を改善するため、「車両重量100kg軽量化」を掲げ、既存のプラットフォームを磨き上げる研究に余念がない。
一方で「マルチパスウェイ」も忘れておらず、インドをはじめとする新興国向けには、牛糞由来の「バイオガス」やエタノール燃料などを使用するICE(内燃機関)の開発を続ける。地域ごとのカーボンニュートラル実現のため、技術を研鑽中だ。
さらにスズキといえば、手の届きやすい価格帯のクルマを望むユーザーも多いはず。「アルト」や「ワゴンR」などで開拓してきたスズキ車の顧客に向けて、100万円台で手に入るEVの軽自動車が登場したら、シェア拡大に更なる追い風となるかもしれない。
eビターラは「ちょうどいい」EV
eビターラはスズキのBEV世界戦略車の第1弾であり、その出発点だ。商品コンセプトは「エモーショナル・バーサタイル・クルーザー」で、EVのイメージである洗練や先進性、多機能性を併せ持つSUVを目指して開発したという。ボディは全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,640mm、ホイールベース2,700mm。
特徴は4つ。デザイン性と先進性を備えたBセグメントSUVであること、eAxleとリン酸鉄イオンバッテリーによる電動パワートレイン、電動4WD「オールグリップ」、新開発のEV専用プラットフォームによる空間の確保だ。BセグメントのEVで四輪駆動モデルを選ぼうとしても、ほかに選択肢が(ほとんど)ないというところは特筆すべき点で、eビターラは貴重な存在となっている。
4WDが搭載するパワートレインは強力。前128kW/189Nm、後48kW/111Nmのモーターを積んでいて、システム合計で135kW(184PS)/300Nmを発生する。バッテリー容量は61kWh、航続距離は472kmだ。
2WDモデルはフロントに128kWのモーターを搭載する。航続距離は520km(40kWhバッテリーのXグレードは433km)だ。
試乗したのは4WDのZグレード。欧州で認められるべくデザインしたというエクステリアは、ぎゅっと詰まった凝縮感があって独特の存在感がある。インテリアはブラックとブラウンの2トーンで、クラスを超えた上質感を提供している。
走りについては、シフトダイヤル周りで選べるドライブモード、トレイル、ヒルディセント、ワンペダルなど、路面や交通状況に最適に対応する駆動力や快適性が発揮できる選択肢の多さが自慢で、なかなかいい。
アップダウンや大小のコーナーが連続するテストコース(日産自動車のグランドライブで開催された「メーカー合同EV取材会」で試乗)でも、過激過ぎないモーター出力やオールグリップによるバランスの取れた動きがドライバーに伝わってきて、とても運転しやすい。コンパクトなボディは日本のさまざまな道に対応できそうだし、その正確なボディコントロールぶりは、欧州の狭く曲がりくねったカントリーロード(特にドイツのそれは制限速度100km/h)で本領を発揮しそうだ。
eビターラの価格はZグレードで4WDが492.8万円、2WDが448.8万円。スズキ初のEVということで顧客からの問い合わせは結構あるという。他メーカーのユーザーでEVに乗り慣れている人からも、興味があると連絡があるそうだ。eビターラ、オススメです。














