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スズキ初の電気自動車「eビターラ」は目標以上の売れ行き! それも当然と思える理由

JAN. 29, 2026 12:28
Text : 藤田真吾
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スズキ初の電気自動車「eビターラ」(e VITARA)が「(スズキの社内)目標」以上の売れ行きとなっている。乗ってみるといいクルマだし、そもそもスズキはEVを売りやすい会社だと思えるので、その結果にも納得だ。

  • スズキ初の電気自動車「eビターラ」

    スズキ初のEV「eビターラ」は売れている?

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価格競争力は高い?

eビターラはスズキ初の量産EVだ。いわゆる「Bセグメント」に分類されるコンパクトなSUVで、バッテリー容量は49kWhと61kWhの2種類から選べる。フル充電での走行可能距離は49kWh(2WD)が433km、61kWhの2WDが520km、61kWhの4WDが472km。この車格で4WDを用意しているEVは、かなりレアな存在だ。

価格は399.3万円~492.8万円。ここから「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(EV購入に関する国からの補助金)の127万円を引くと、エントリー価格は270万円くらいになる。さらに、住んでいる自治体からも補助金が獲得できる場合、eビターラはハイグレードな軽自動車と同じような価格で買えるクルマになるし、同じくBセグメントの人気コンパクトSUVであるトヨタ自動車「ヤリスクロス」と比べても競争力のある価格になる。

  • スズキ初の電気自動車「eビターラ」

    「eビターラ」はスズキがEV専用に新開発したプラットフォーム「HEARTECT-e」を採用したSUV。ボディサイズは全長4,275mm、全幅1,800mm、全高1,640mm、ホイールベースは2,700mm

販売目標台数と販売状況を聞く

eビターラの日本発売は2026年1月16日。国内での発表は2025年9月だった。スズキでは発表後すぐにeビターラの受注を開始していたという。

それでは、実際のところ売れているのだろうか。スズキ広報によれば「社内で設定した目標販売台数は毎月、超えている状況です」とのことだ。

スズキでは従来、新車を発売する際には「目標販売台数」(月間販売の目標値)を発表するのが通例だった。ただし、今回のeビターラについては、目標数値を公表していない。

というのも、EVの販売台数は「社会情勢、市場状況によって、どう変わるかわからない」し、まだEV市場は成熟していないため、「EVの販売台数はガソリン車に比べると、どうしても見劣りしてしまう」ことから、その数字を見た人たちに「売れていないという間違ったイメージ」を持たれてしまうのを避けたい、という考えもあったそうだ。

なので、スズキがeビターラの月間販売目標を何台に設定しているのか、100台なのか1,000台なのか、もっと少ないのか、そのあたりについては不明なのだが、少なくとも社内目標を上回る数字で推移しているのは間違いなさそうだ。

  • スズキ初の電気自動車「eビターラ」

    写真は「Zグレード」の4WD。ボディカラーは「スプレンディッドシルバーパールメタリック ブラック2トーンルーフ」

スズキのEVが普及しそうな理由

台数のはっきりしたところはわからないが、スズキのEVが売れていると聞いても、そこまで驚きはなかった。というのも、スズキは他のメーカーに比べて、EVを販売する上で有利な立場にいるのではないかと思っていたからだ。

EVを買う場合、重要なのは「自宅にEVの充電設備があるかどうか、設置できるかどうか」だ。マンションなどの集合住宅だと、個人の意思で駐車場に充電設備を導入するのは難しいと聞く。

スズキは軽自動車を得意とするメーカーであり、いわゆる「地方」には、たくさんのスズキ軽ユーザーがいる。そうしたユーザーは、都市部の自動車ユーザーよりも、戸建て住宅に住んでいる可能性が高い。戸建て住宅であれば、充電設備は設置しやすい。住んでいる人たちの意思だけで決められるからだ。

例えば、地方の戸建て住宅に住んでいて、スズキの軽自動車を所有しているという家庭があった場合、スズキとしては、「次のクルマはEVにしてみたら」と勧めやすいはず。だとすると、スズキはEVを普及させるうえで有利なポジションなのでは、と思った次第だ。

  • スズキ初の電気自動車「eビターラ」

    インテリアはセンターディスプレイ(10.1インチ)とメーターディスプレイ(10.25インチ)が一体となった「インテグレーテッドディスプレイシステム」の存在感が大きく、先進的な雰囲気。シートは3種のシート表皮を組み合わせてあり、「Z」グレードだと「運転席10WAYパワーシート」が標準装備となる

そのあたりについてスズキの商品企画担当者は、「充電設備の設置のしやすさ、スズキの販売網、軽ユーザーの多さという点で、地方にチャンスがあるのはおっしゃる通り」と認めつつ、その地方で獲得可能な「補助金の額(有無)に左右される」側面があるとの見方を示した。

例えば東京都であれば、国からの補助金に加えて45万円の補助金を取得できるが、スズキのお膝元である静岡県ではEV購入の補助金が出ないそうだ。

EVで比べた場合、eビターラの価格競争力が高いのは間違いない。とはいえ、スズキ車のラインアップの中では高い(日本の商品構成の中では、おそらく最も高い)クルマになる。国からの補助金だけでも、実質的な販売価格はかなり下がるものの、そこに追加で自治体からの補助金が乗るかどうかは、eビターラが普及するかどうかにとって重要な要素となりそうだ。

スズキとしては、野心的な販売目標を公表して、それを追うがあまり無理にEVを販売した結果、ユーザーにEVのネガティブなイメージが広がることは絶対に避けたい、という思いがあるらしい。ライフスタイル(クルマの使い方)にEVがマッチする顧客にしっかりとクルマを届けて、まずはEVをポジティブに使ってもらうことが重要、という考え方だ。これだとセンセーショナルな販売台数を記録するのは難しそうだが、着実かつ真摯な販売方法であることも、また事実だと思う。

【フォトギャラリー】スズキ初のEV「eビターラ」


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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