スズキ初の電気自動車(BEV)「eビターラ」の試乗会で開発責任者の小野純生チーフエンジニアは、「実は、鈴木修相談役がわざわざ私を呼んで、このeビターラに『大いに期待してるよ、頼んだよ』と声をかけてくれたんです」と打ち明けてくれた。
同クラスではレアな4WDを設定
スズキは2026年1月16日、同社初のバッテリーEV(BEV)「eビターラ」を発売した。試乗会では4WD車と2WD車に乗り、開発責任者の小野さんに話を聞いた。
スズキといえば、日本の軽自動車を育て上げ、海外ではインドに先行進出して圧倒的な生産・販売力を確立させたカリスマ経営者の鈴木修氏が知られる。40年以上にわたりスズキを引っ張ってきた鈴木修氏は、2021年6月に会長から相談役となり、経営の第一線から退いたものの、相談役になっても「競え、闘え、未来を開け」の信条を貫き、スズキ初のBEVに「最後の“推し”」としての期待をかけていたそうだ。
2024年12月末、鈴木修氏は94歳で逝去された。同氏の“最後の推し車”だったeビターラは、2025年1月にインドで公開され、8月からインド生産で出荷を開始し、スズキのBEV世界戦略車として日の目を見ることになったのだ。
その「eビターラ」だが、スズキは1月16日、満を持して日本国内で発売した。Bセグメントの小型SUVで、2WDに加えて、このクラスには少ない電動4WDを設定したのが特徴だ。
「エモーショナル・バーサタイル・クルーザー」という商品コンセプトの通り、4WDも2WDも快適な乗り心地だった。小野チーフエンジニアに「四駆と二躯の違いですが、高速道の走りでは四駆のほうが安定性があるかな、という程度でしたね」と伝えると、「やはり、ワインディング走行などで電動4WDモーター駆動の『オールグリップ-e』が明確になるんですね」との回答。先行して発売している欧州では、「国ごとに反応が違いますが、イギリスなどで好評ですし、特にEV先進国のノルウェーでは、eビターラの4WD車が圧倒的に受け入れられており、同国でのスズキのシェアが伸びそうです」とのことだった。同モデルは欧州で好調な滑り出しを見せているようだ。
BEVの心臓部であるバッテリーは、中国・BYDのリン酸鉄リチウムイオン(LFP)を採用。モーターのeアクスルは、デンソーとアイシンが45%ずつ出資し、トヨタが10%を出資する「ブルーイーネクサス」製を現地インドで調達する。4WDには、前後に独立した2つのeアクスルを配置している。
BEV専用プラットフォーム「HEARTECT-e」はトヨタとの共同開発だ。eビターラはトヨタにOEM供給を実施。トヨタブランドでは「アーバンクルーザー」の名で、インドを皮切りに欧州、日本でも発売予定とのことだ。
つまりスズキ初のBEVは、トヨタおよびトヨタグループのメガサプライヤーと連動し、バッテリーは世界トップのBYDから調達して、インドで世界品質基準をクリアした世界戦略車として登場したわけだ。
日本では2025年9月の発表後に受注活動を開始し、順調な受注状況を示しているという。筆者の身近な友人の経済評論家が、ボルボのBEVからeビターラに買い替えたという話も聞いた。友人によると、近く納車になるそうだ、
スズキは小型SUVのBEV第1弾に続き、次の軽BEVの発売につなげることになる。

























