ホンダが電気自動車(EV)3車種の開発中止を決めた。開発を取りやめたのは米国で生産予定だった「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の3車種。これら戦略の見直しに伴い、最大2.5兆円の損失を計上する。日本に投入予定だったEV「Honda 0 α」はどうなる?

開発中止の背景

ホンダは新たなEV商品群「0シリーズ」を開発中。同シリーズの最初の2台として世に出る予定だったのが、「Honda 0 SUV」と「Honda 0 Saloon」だ。これらのEVは主に北米(とりわけアメリカ)向けの商品だったのだが、同国では環境規制の緩和、EV補助金の見直しなどの影響でEV市場の成長が鈍化。この状況が「当面は継続する」(以下、カッコ内はコメントは記者会見に登壇したホンダの三部敏宏代表執行役社長)と見たホンダは、このまま両モデルおよび「Acura RSX」の開発を進めていくと「さらに損失が拡大する」と判断、「断腸の思い」でEVの開発を中止した。

  • ホンダ「Honda 0 Saloon」プロトタイプ

    ホンダ「Honda 0 Saloon」プロトタイプ(本稿の写真はジャパンモビリティショー2025で撮影)

  • ホンダ

    ホンダ「Honda 0 SUV」プロトタイプ

  • ホンダ「Acura RSX」

    「Acura RSX」プロトタイプ

三部社長によると、アメリカのEV市場は伸びていくとの見通しがあり、新車販売に占めるEVの割合は2026年に12%、2030年には30%に達すると予測されていたそうだ。ところがここへきて、アメリカではEVに対する消費者マインドが冷え込んでおり、2026年1~2月では上記の割合が5%くらいまで落ちていた。このままの状況が続くと、0シリーズを向こうで発売しても計画台数の達成は難しい。そんな判断から開発中止を決めたという。

2.5兆円の損失には、有形固定資産・無形資産の除却損失および減損損失(例えば金型や専用設備など)やサプライヤーに対する補償などが含まれるという。今期(2025年度、2026年3月期)に最大1.3兆円を計上するそうだ。ホンダは今期の営業利益を5,500億円の黒字と予想していたが、今回の修正で2,700億円~5,700億円の赤字予想となった。

「Honda 0 α」の今後

ホンダはこれまで、0シリーズとして3車種のEVを発表していた。開発中止が決まった「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」と、もうひとつが「Honda 0 α」だ。3つとも日本では2027年度中に発売する予定だった。

このうち「Honda 0 α」については、今後も開発を続けるとのこと。というのも、このモデルは日本、インドなどが主なターゲット市場であるため、アメリカとは市場環境が違うからだ。こちらのEVには、まだ事業性が見込めるということなのだろう。生産国はインドだ。

  • ホンダ「Honda 0 α」

    ホンダ「Honda 0 α」プロトタイプ

  • ホンダ「Honda 0 α」

    ホンダ「Honda 0 α」プロトタイプ

四輪事業全体では今後、急激な事業環境の変化にフレキシブルに対応すべく、戦略枠組みの再整理と競争力の再構築を進めていく。米国でのEV市場拡大スピードの鈍化を踏まえてリソース配分を見直し、ハイブリッド車を強化する方針だ。EVについては収益性や需要動向とのバランスを見ながら、長期的な視点で柔軟に対応していくとする。

0シリーズで提供するとしていた注目の新技術「アシモOS」や次世代ADAS(運転支援システム)については、これまでの開発で得られた知見を活用し、今後の投入を予定する次世代ハイブリッド車などでユーザーに届けたいとのことだった。