ASUSの「ProArt」シリーズから、13.3型というコンパクトな筐体ながら強力なスペックを誇る新作ノートPC「ProArt PX13 HN7306EA」が登場しました。

最大の特徴は、AMDの最新モバイルプロセッサRyzen AI MAX+ 395を搭載している点です。13インチクラスのモバイルノートでありながら、デスクトップ級の16コア/32スレッドCPUと、専用グラフィックス(dGPU)に迫る強力な内蔵グラフィックスを備えた製品です。

価格はASUS公式オンラインストアで499,800円(税込)。高負荷なゲームやクリエイティブ用途にも対応する実力をチェックしていきます。

1.39kgの軽量ボディに凝縮された機能美

まずは筐体デザインとインターフェースからチェックしていきましょう。

ナノブラックと名付けられたボディは、しっとりと落ち着いた高級感のあるブラックで仕上げられています。表面には指紋が目立ちにくい処理が施されているため、ハードな使用環境でも清潔感を保ちやすいのが好印象です。

また、米国国防総省が定める軍事規格 「MIL-STD 810H」 に準拠した厳しいテストをクリアしており、一般的なノートPCよりも振動、衝撃、高温・低温環境などに強く、持ち運び時の安心感が高い設計です。

天板にはリニューアルされたProArtロゴがさりげなく配置されていて、過度な装飾のないミニマルなデザインは所有欲が満たされます。

  • 天面には新しいProArtロゴが配置されている

    天面には新しいProArtロゴが配置されている

  • ナノブラックのボディは高級感があり、非常にタフな印象。米国軍用規格MIL-STD 810Hにも準拠する

    ナノブラックのボディは高級感があり、非常にタフな印象。米国軍用規格MIL-STD 810Hにも準拠する

本体サイズは幅298.2mm×奥行209.9mm×高さ15.8〜17.7mm。13.3型というコンパクトなフットプリントは、一般的なビジネス向けモバイルノートと遜色ありませんが、この中に16コアCPUが収まっているというのは驚きです。

重量は実測で1395.5gと、1.4kgを切る軽さを実現。片手で持ち運べるサイズ感ながら、その中身はハイエンドデスクトップ並のパワーを秘めています。

  • さり気なくASUS ProArtのロゴが配置されている

    さり気なくASUS ProArtのロゴが配置されている

  • 裏面上下にはバータイプの滑り止めゴムがあり、全体に通気口が設けられている。強力な冷却機構「アンビエントクーリングテクノロジー」を支える設計だ

    裏面上下にはバータイプの滑り止めゴムがあり、全体に通気口が設けられている。強力な冷却機構「アンビエントクーリングテクノロジー」を支える設計だ

  • 重量は実測で1395.5g

    重量は実測で1395.5g

ディスプレイは13.3インチ、WQXGA+解像度(2880×1800)のOLED(有機EL)パネルを採用しています。アスペクト比は16:10と縦に広く、Web閲覧やコーディング、動画編集のタイムライン操作などで広い作業領域を確保できます。

DCI-P3 100%の色域をカバーし、PANTONE認証も取得。OLEDならではの真の黒を表現できる高いコントラスト比により、映像制作や写真編集においても正確な色確認が可能です。また、10点マルチタッチにも対応しており、ASUS Pen 2.0を用いた直感的なクリエイティブ作業もスムーズに行えます。画質に関して基本的に文句の付け所はないですが、グレアパネルなのは好みが分かれるところかもしれません。

  • ディスプレイは13.3インチで解像度はQWXGA+(2880×1800)のOLED(有機EL)。DCI-P3 100%カバーの広い色域を持つ

    ディスプレイは13.3インチで解像度はQWXGA+(2880×1800)のOLED(有機EL)。DCI-P3 100%カバーの広い色域を持つ

ディスプレイ上部には207万画素(1080p)の赤外線 (IR) カメラを内蔵しています。Windows Helloによる顔認証に対応しているため、画面を開くだけで瞬時にログインが完了します。セキュリティと利便性を両立しているのはもちろん、カメラ自体の解像度も高いため、オンライン会議やクライアントとのビデオ通話においても、明るくクリアな映像を届けることが可能です。

  • 207万画素赤外線 (IR) カメラを内蔵。顔認証によりセキュリティも万全だ

    207万画素赤外線 (IR) カメラを内蔵。顔認証によりセキュリティも万全だ

本機は360度回転ヒンジを備えたコンバーチブルタイプです。通常のラップトップモードに加え、画面を反転させたスタンドモード、省スペースなテントモード、それそして完全に折りたたんだタブレットモードと、シーンに合わせてスタイルを自由に変えられます。新幹線や飛行機の狭いテーブルではテントモード、腰を据えてのレタッチ作業ではペン入力に適したタブレットモードといった使い分けが便利です。

  • ディスプレイは360度回転。クリエイターの想像力を制限しない柔軟な使い方が可能だ

    ディスプレイは360度回転。クリエイターの想像力を制限しない柔軟な使い方が可能だ

キーボードは日本語配列(JIS)ですが、グローバル共通の筐体設計の影響か、エンターキー周りの幅がやや狭くなっている点には注意が必要です。慣れれば問題ないレベルではありますが、正確なタイピングを重視するユーザーは留意すべきポイントでしょう。一方でキーストロークは適度な深さがあり、バックライトも搭載されているため、暗いスタジオや機内での作業もストレスなくこなせます。

  • キーボードはJIS配列。エンターキー右側のキー幅が狭めなのは好みが分かれるところ

    キーボードはJIS配列。エンターキー右側のキー幅が狭めなのは好みが分かれるところ

  • バックライトが点灯したキーボードの様子

    3段階で明るさ調節が可能なバックライト。視認性は非常に良い

トラックパッドの左上に配置された物理的な凹凸「ASUS DialPad」は、本シリーズを象徴する機能です。専用ソフト「ProArt Creator Hub」で設定することで、Adobe Premiere Proのタイムライン操作や、Photoshopのブラシサイズ変更、さらにはOS標準の音量・輝度調整などをダイヤル操作で行えます。物理的なフィードバックを伴う操作感は、クリエイティブワークの効率を劇的に高めてくれます。

  • トラックパッド上のASUS DialPad。スワイプ操作でオン/オフを切り替えられる

    トラックパッド上のASUS DialPad。スワイプ操作でオン/オフを切り替えられる

  • ASUS DialPadカスタマイズ画面。アプリごとに最適な機能を割り当て可能だ

    ASUS DialPadカスタマイズ画面。アプリごとに最適な機能を割り当て可能だ

インターフェースも充実しています。左右に1ポートずつ、最大40Gbpsの転送に対応したUSB4を配置。さらにフルサイズのHDMI 2.1や、高速なmicroSDカードリーダー(SD 7.0対応)を備えています。ドックを持ち歩かなくても、カメラからのデータ取り込みや外部モニターへの4K/120Hz出力が完結するのは、現場重視のクリエイターにとって大きなメリットでしょう。

  • 右側面。電源ボタン、microSDカードリーダー、USB3.2 (Type-A/Gen2)、USB4 (Type-C)を配置

    右側面。電源ボタン、microSDカードリーダー、USB3.2 (Type-A/Gen2)、USB4 (Type-C)を配置

  • 左側面. 電源端子、HDMI 2.1、USB4、コンボジャックを配置。電源端子は専用だがUSB PD充電にも対応する

    左側面. 電源端子、HDMI 2.1、USB4、コンボジャックを配置。電源端子は専用だがUSB PD充電にも対応する

付属のACアダプターは最大240Wの高出力仕様で、その性能ゆえにサイズと重量はそれなりにあります。本体と合わせると総重量は約2kgとなりますが、本機はUSB PDによる充電にも対応しているため、軽作業であれば市販の小型USB充電器でポータビリティを上げることも可能です。

  • 高負荷時のパフォーマンスを維持するための240W ACアダプター

    高負荷時のパフォーマンスを維持するための240W ACアダプター

  • アダプターは重めだが、モバイル時はUSB PD充電器との使い分けが重要

    アダプターは重めだが、モバイル時はUSB PD充電器との使い分けが重要

Ryzen AI MAX+ 395の実力を検証

ベンチマークソフトを使ってProArt PX13 HN7306EAの性能をチェックしていきましょう。今回貸与を受けたサンプルの構成は以下の通りです。

  • OS: Windows 11 Home
  • CPU: AMD Ryzen AI MAX+ 395 (16コア/32スレッド、最大5.1GHz)
  • グラフィックス: AMD Radeon 8060S (CPU内蔵)
  • メモリ: 64GB LPDDR5X-8000
  • ストレージ: 1TB PCIe 4.0 x4 SSD

なお、検証にあたっては、システム設定から動作モードを「最適なパフォーマンス」に設定しています。

  • CPU-Z

    CPU-Z

  • GPU-Z

    GPU-Z

特筆すべきはやはりCPUの仕様です。ハイエンド機に搭載されるような16コアプロセッサが、1.4kgの筐体に収まっている点は驚きです。さらに、専用グラフィックス(dGPU)を搭載せず、内蔵GPU(Radeon 8060S)のみでクリエイティブワークや最新ゲームがどこまで実用的にこなせるかが、本機の注目ポイントとなります。

  • Cinebench R23/2024の結果

    Cinebench R23/2024の結果

  • PCMark 10の結果

    PCMark 10の結果

CPU性能をCinebench R23/2024で確認すると、マルチ・シングルコア高いスコアを記録しました。13.3型というコンパクトな筐体でありながら、Cinebench R23のマルチスコアで2.6万点を超える数値はモバイル向けCPUとしてはトップクラスの性能です。これは並列処理を多用する4K動画のレンダリングや大規模なコードコンパイルにおいて、デスクトップPCに匹敵する処理能力をモバイル環境で実現できることを示しています。

PCMark 10でも総合スコアで高い数値を記録しており、特にDigital Content Creationにおいて突出したパフォーマンスを示しました。高負荷な作業においてもスムーズなワークフローを維持できる実力を備えてい ます。

  • Geekbench AIの結果

    Geekbench AIの結果

AI処理性能についてもGeekbench AIで検証しました。Ryzen AI MAX+ 395に統合された強力なNPUと、Radeon 8060Sによる高速な演算能力の組み合わせにより、画像生成やAIを活用したノイズ除去などもオンデバイスで快適に動作します。

  • 3DMarkのスコア

    3DMarkのスコア

  • FF14ベンチマークのスコア

    FF14ベンチマークのスコア

  • FF15ベンチマークのスコア

    FF15ベンチマークのスコア

  • Cyberpunk 2077のベンチマーク結果

    Cyberpunk 2077のベンチマーク結果

  • モンスターハンターワイルズベンチマークの結果

    モンスターハンターワイルズベンチマークの結果

  • Blender Benchmarkのスコア

    Blender Benchmarkのスコア

グラフィックス性能も内蔵GPUとしては非常に強力です。3DMarkでは一世代前のエントリークラスdGPUに匹敵するスコアを記録しました。実ゲームにおいても、超重量級のCyberpunk 2077やモンスターハンターワイルズで、FSR 2.1やフレーム生成機能を活用することで、フルHD以上の解像度でも平均60FPSを上回る動作が確認できました。

Blender BenchmarkのようなGPUレンダリング性能でも、内蔵GPU特有のボトルネックを感じさせない処理速度を誇ります。dGPUを搭載しない13インチクラスでありながら、本格的な3D制作も視野に入るパフォーマンスといえるでしょう。

  • ストレージ情報

    ストレージ情報

  • ストレージのベンチマーク結果

    ストレージのベンチマーク結果

ストレージにはSanDisk製の1TB NVMe SSDを搭載。CrystalDiskMarkではシーケンシャルリードで約7,000MB/sを記録しており、大容量の映像素材の読み込みやプロジェクトの保存においてストレスを感じることはなく、システム全体のレスポンス向上に寄与しています。

  • バッテリー駆動時間の計測結果

    バッテリー駆動時間の計測結果

バッテリー駆動時間をPCMark 10のModern Officeシナリオで計測したところ、電源設定をバランス、ディスプレイ輝度を50%にした条件で約14時間を記録しました。GPUをフル回転させるような作業ではACアダプターの併用が基本となりますが、出先でのドキュメント作成や軽度な編集作業であれば、余裕を持って運用可能です。

最高峰のスペックをモバイルできる1台

  • 最高峰のスペックをモバイルできる1台

    最高峰のスペックをモバイルできる1台

ASUS「ProArt PX13 HN7306EA」は、13.3型の超小型筐体に、これまでのモバイルPCの概念を覆すパワーを詰め込んだノートPCです。

50万円近い価格設定は決して万人向けではありません。しかし、大型ワークステーションに並の演算能力をバッグに入れてどこへでも持ち運べるという点に価値を見出せるプロフェッショナルなユーザーにとっては、唯一無二のマシンでしょう。

出先での4K動画編集、現場での即時レンダリング、そして最新の「Ryzen AI MAX+ 395のパワーを体験したい人にとっては、手にする価値のある1台ではないでしょうか。