Dynabookは1月22日、Panther Lake(開発コード名)ことIntel Core Ultra シリーズ3プロセッサを採用した法人向けPC 2機種を発表した。13.3型プレミアムモバイルノートPC「dynabook X83/PA」と、16.0型大画面ビジネスノートPC「dynabook B86/PA」の2つを、同日から受注開始している。
Panther Lake世代Core UltraでAI性能を大幅強化
Core Ultra シリーズ3プロセッサはIntel 18Aプロセスを適用して製造された最初のプロセッサ製品で、AI処理性能を高めた第5世代NPUを統合している。2機種で選択できるCore Ultra 7 355/5 325/5 322プロセッサは最大49TOPSの演算性能を実現し、いずれもNPU性能40TOPS以上を求めるMicrosoftの「Copilot+ PC」に準拠。ローカル環境でのAI利用に適している。
またグラフィックスも従来から刷新したXe3アーキテクチャによる内蔵GPUを備えており、発表された新製品では内蔵GPUを活かした機能も搭載された。
なお新製品の直販価格等は確定しておらず、パーツ不足・高騰化といった市況も踏まえながら「社内で検討中」の段階という。特にメモリ、ストレージ市況は調達自体が難しい部分もあるが「ユーザーが必要としている分は確保したいと考えている」という。
dynabook X83/PA(13.3型ノートPC)
dynabook X83/PAは、同社“CHANGER”シリーズでお馴染みのセルフ交換バッテリー機構を搭載した13.3型ノートPC。従来モデルの機能を継承しつつ、CPUをCore Ultra シリーズ3に強化し、Wi-Fi 6Eの約4.8倍の速度となる最新Wi-Fi規格のWi-Fi 7に対応した。CPUを高いパフォーマンスで安定稼働させる独自技術「dynabook エンパワーテクノロジー」にも対応する。
特徴であるセルフ交換バッテリーは、バッテリーに起因する不具合時にダウンタイムを削減する狙い。交換機構を組み込みながら重さは約950g、厚みは17.9mmから(構成によって異なる)に抑え、従来モデルの筐体デザインを維持した。
画面はアスペクト比16:10のノングレア13.3型液晶(1,920×1,200ドット)で、タッチパネルあり/なしを選択できる。2機種共通で、サイバー攻撃からPCを保護するNIST SP 800-147/155/193のセキュリティ要件を実装。またオプションで指紋センサーや顔認証を搭載できる。
dynabook B86/PA(16.0型ノートPC)
dynabook B86/PAは16型(アスペクト比16:10)の大画面を備えたビジネス向けノートPC。ディスプレイは180度開き対面での情報共有がしやすく、画面表示の向きを変えるショートカットを用意している。重さは1.8㎏で、エンパワーテクノロジー技術も搭載する。
「人間の代わりにPCを操作」独自のAI機能が進化
Dynabookでは2年前からAI PCを展開している。インテル AI Boost(NPU)を内蔵したCore Ultra 7 165Hを選択できるdynabook RJ74はクラウドでAIを利用する第1世代、Microsoftが提唱するCopilot+ PCに準拠したdynabook X94 CHANGERはローカル生成AIに対応した第2世代と位置付ける。
今回発表されたdynabook X83/PAやdynabook B86/PAは、AIに操作そのものを任せる「AIエージェント時代」を見据えた第3世代のPCという。
「これまではAIに質問したり、尋ねたりする使い方が一般的だった。しかしAIエージェント時代は、AIに指示を出す使い方に変わっていく」と、Dynabook 商品統括部 統括部長の須田淳一郎氏は新製品について説明した。
例えば、これまではAIに「ハンドサイン機能をオンにする方法を教えて」と尋ねると、ユーザーがすべき操作方法を教えてくれていたが、これからはAIに「ハンドサイン機能をオンにして」と言うと、AIがユーザーの代わりに「この機能をオンにしました」と操作する――といった具合だ。
新製品の2機種には、「ローカル生成AIチャットボット」とAIが最適なバッテリー制御をおこなう「AIパワーオプティマイズ」という2つの独自AI機能を搭載。加えてdynabook X83/PAでは、のぞき見を検知する「AIプライバシーアシスト」、PCを操作するハンドサインをAIが認識する「AIハンドコントロール」も備えている。
これらのAI機能は従来の同社AI PCでも搭載されていたが、「ローカル生成AIチャットボット」には新機能が加わっている。
新機能の1つは「PC操作エージェント」で、従来のチャット形式の質問応答に加え、新たに「〇〇を有効にして」と依頼するとAIが自動でPCの設定を完了させるようになった。これにより“ユーザー自身がAIに聞いて操作する”手間が不要になっている。
もう1つの新機能は「AI知識サーチ」。AIが登録された資料から関連情報を探し出して、ユーザーにチャットでわかりやすく説明する機能で、ローカルで動作するため機密性の高い情報も扱える点が特徴だ。
AI知識サーチはIntel Core Ultraプロセッサの高いグラフィックス性能を活用し、省電力のNPUとパワフルなGPUのどちらをAI処理に使うか、スイッチで切り替えられるようになった。例えばバッテリー駆動時はNPU、AC電源を使うときや高速な応答が欲しいときはGPUを、ユーザー側で選択できる。
企業がAIを活用するための新サービスも登場
Dynabookでは、出力結果の正確性やセキュリティリスクといった課題を前に、“生成AIを本格的に業務利用しきれていない”企業が多いと認識している。
そこでマイクロソフトをはじめとしたクラウドソリューションに強みを持つ日本ビジネスシステムズ株式会社(JBS)と協業し、企業ユーザーにおけるAIの活用促進・定着化を目的に、Copilotを無料で学べる新サービス「JBS AI Starter Learning」を、新製品に搭載する。サービスの開始は2026年4月予定。
提供されるのは同サービスの無料版で「Copilot/生成AIスタートガイド」や「プロンプト初級編」などの入門編を中心に13本の動画が視聴できる。より詳細な内容を学びたい場合は有償版のe-learningメニューへステップアップ可能だ。
このほか、独自開発の台帳管理システム「PCアセットモニタリングサービス」に、PC資産のより高度な管理とセキュリティ強化を施した2つの新機能を追加する。
新機能は遠隔データ消去分野で知られるワンビと技術連携し、ワンビの「TRUST DELETE」のモバイルセキュリティ技術を「PCアセットモニタリングサービス」に採用。新たに、遠隔からデータ消去できる「Dynabook リモートセキュア」、ワイヤレスWAN搭載モデルで電源オフ状態から遠隔でデータ消去・ロックできる上位機能「Dynabook リモートセキュア Plus」が用意された。
「JBS AI Starter Learning」および「Dynabook リモートセキュア」、「Dynabook リモートセキュア Plus」は今回発表された新製品を皮切りに、同社の法人向けモデルで提供される。なお「Dynabook リモートセキュア」、「Dynabook リモートセキュア Plus」は「PCアセットモニタリングサービス」利用者向けの機能となる。














