NECパーソナルコンピューターは12月某日、メディア関係者を対象に群馬県太田市にある群馬事業所の見学会を実施しました。「米沢生産」で知られる山形事業所は同社、同グループにおける生産の拠点ですが、群馬事業所は修繕の拠点です。
筆者自身、過去にThinkPadを使用していて修理に出した際に「群馬から返送されてきた」という経験があり、生産拠点とは違う修理拠点が関東圏にあることをそこで初めて知りました。今回はそんな修理拠点である群馬事業所の見学会を通じ、NECパーソナルコンピューターの修理やサポートへの取り組みについてご紹介していきます。
預かったPCの95%は「1日で修理、返送」を実現する工夫
PCにトラブルが発生し修理を依頼することになると、特に「修理に何日かかるのか」が気になるはず。これはNECパーソナルコンピューター側も「故障してもすぐに戻してほしい、確実に修理してほしいという声が多い」と、ユーザーが迅速かつ確実な修理を望んでいることをしっかりと把握しています。
そうしたユーザーの声に応えるため、群馬事業所では「到着から24時間以内に、修理完了率95%」を目標に掲げ、取材時点で95%もの修理依頼で達成しています。この驚異的な数字を達成するための工夫が群馬事業所内には多数設けられていました。
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修理依頼から実際の修理、そして返送までの流れ
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届いた・修理が完了したPCは1台ずつ、丁寧に検品が行われていました
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実際の故障部品の交換の様子。慣れた手つきで次々に小さな部品を取り換えていく様子は職人技です
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故障個所の判定には2023年度よりAIを活用しています
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AI活用の結果、生産性は右肩あがりで向上しています
群馬事業所の修理エリアに着荷した製品は、開梱や検品を終えると即座に故障診断が行われます。故障診断や実際の修理作業には、これまでに販売してきた70万機種以上が対象になるため、ナレッジに加え2023年度に導入した「故障部品特定用診断AI」を活用し、修理が必要な個所や必要な部品のピックアップが行われます。交換が必要な部品は群馬事業所内に専用の倉庫を持ち、修理作業担当者からのリクエストに対し、13分以内に倉庫から修理担当者に部品を届けることで、1台あたりの修理時間の短縮に繋げているそうです。
修理作業は診断から検査、そして修理までを一人で行う「一人完結方式」と、部品交換だけを専任者が行う「分業方式」の二つの方法を採用しています。一人完結方式は複数の診断、修理を同時に進行できますが、複雑な部品交換では分業方式で、専任スタッフが行った方が早く修理できます。どちらかの方式ではなく、両方の方式をとっているのも、これまで多数の修理を手がけけて来た同社ならではといえるでしょう。
部品交換を終えたPCへのOS・ソフトウェアのインストールも効率化されていて、ネットワークを通じて複数台へ同時にインストールできるようにしています。また、アナログながら確実な方法として、そのPCがいつ修理のために運び込まれたものか、色分けした看板で「預かって何日が経過しているか」「今日、修理を終えて返送しなければならない」といった情報を、ひとめでわかるような工夫も行われています。
群馬事業所は1984年に「群馬日本電気」として設立された拠点で、PC-9800シリーズのデスクトップPCの生産を開始。そして2002年からは現在の修理とサポートとの拠点に変わった歴史を持っており、約40年の間、PCを組み立てる、修理することに長けた拠点といえます。「到着から24時間以内に、修理完了率95%」も2020年3月に達成して以降維持しているとのことで、約40年で蓄積されたノウハウがあってこそ、実現できた修理完了率といえます。
ちなみに残り5%については、「ユーザーから申告のあった不具合の再現に時間がかかった」「修理がキャンセルになった」ものが多く、群馬事業所で修理するほとんどのケースは24時間以内に修理が完了できると考えてよいでしょう。
そしてユーザーから申告のあった不具合の再現のために、0~40℃を設定できる「恒温槽」や、ブラックライトによる液漏れ診断、さらにソフトウェア起因の不具合であればパーツベンダーと協力し、新しいバージョンのドライバを導入してのテストを行うなどし、完璧に修理をした状態でユーザーに戻せるような取り組みも行われています。
特定条件下で発生する不具合や、複数回の修理が必要になった場合は、その情報を修理だけでなく開発にもフィードバックを行い、さらなる修理品質や、製品品質の向上にも努めているとのことです。
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AI診断では申告のあった不具合や、確認できた不具合を入力します
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すると故障が疑われる箇所が細かく結果として表示されます
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1万アイテム以上、100万個以上の部品が群馬事業所内には常にストックされています
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CPU交換などシステムボードの修理も群馬事業所内で行えるようにし、修理スピードを早めています
修理だけじゃない、法人向けサービスの重要拠点になった群馬事業所
法人向けの「CFS(カスタムフィルメントサービス)」と「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」においても、群馬事業所は重要な役割を担っています。 CFSでは顧客の要望に応じ、カスタムしたOSイメージ(マスターイメージ)の作成やそれらの一括導入を行っています。
法人向けのカスタマイズとなると顧客のネットワークに繋がった状態でないと設定できないものもありますが、群馬事業所と顧客ネットワークをVPNで接続し、顧客毎の特殊な要望にも対応しています。さらにLCMサービスでは、CFS以上の顧客毎のカスタマイズ、キッティングに対応しています。製品へのラベルの貼りつけや、周辺機器まで含めたキッティングやアプリケーションの設定なども行っています。
キッティングの際にハードウェア不良が起きた場合でも、修理拠点が同一の場所に存在することで即座に修理を行うことができ、顧客要望に対し出荷の遅延なども起きづらい点は群馬事業所ならではのメリットといえます。また、広大な敷地の中には顧客から預かった予備機の保管も行っており、修理に際しては予備機があれば先に送付することで業務のダウンタイムを極限まで減らすこともできます。
リモートワークやGIGAスクールなど、組織で一人一台のPC需要が高まる中、まとまった台数の設定、修理といった需要に対応できる仕組みが構築されており、今後さらなるニーズの高まりにも対応できるよう、フロアやラインの増床も積極的に行われています。
目指すは「サービスマザーサイト」 CX工場の要になる
群馬事業所では今回取材を行った修理の様子や、CFS、LCMサービスの取り組みだけでなく、同事業所にはコールセンターも有しています。いわばユーザーの「困った」に対し、密接に関係する拠点が群馬事業所であり、オフィス棟の入り口に掲げられた「サービスマザーサイト」の通り、顧客体験を製品の価格や性能以外の部分で支える重要拠点でした。



