米Mozillaは、7月22日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 141」をリリースした。Firefox 141は、いつも通りFirefox 140から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 140では、2025年6月26日にマイナーバージョンアップの140.0.1が、2025年6月27日にマイナーバージョンアップの140.0.2が、2025年7月8日にマイナーバージョンアップの140.0.4(140.0.3はスキップされたようだ)がリリースされている。140.0.1では、以下の修正が行われた。

  • 一部のダークテーマにおけるサイドバーのテキストコントラストの問題を修正
  • DLLインジェクションにより、一部の環境での起動時のクラッシュ問題の修正

140.0.2では、以下の修正が行われた。

  • 一部の環境で、Windowsが起動時にクラッシュする問題を修正

140.0.4では、以下の新機能の追加と修正が行われた。新機能は、次の通り。

  • QUICスタックを、さまざまな最新のオペレーティングシステム固有の呼び出しを活用するRustベースのUDP I/Oスタックに移行した。HTTP/3のアップロードやダウンロードのパフォーマンスが向上する。

この新機能は、実験的な機能なためすべての環境で実行できるとは限らないない点に注意してほしい。今回は、140.0.4からのアップデートとなる。

Firefox 141のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 図1 Firefox 141へのアップデート

    図1 Firefox 141へのアップデート

アップデート後のFirefox 141は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン141にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 141をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 141のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 141の新機能

続いて、新機能であるが、以下のとおりである。

  • Windows版でWebGPU APIがサポート。WebGLの後継となるもので、Webブラウザ上でより高性能な3Dグラフィックスや計算処理を行うためのWeb APIである。ゲーム、演算、画面効果などで、これまで以上の品質が期待できる。今回は、Windows版のみであるが、今後、Mac版やLinux版などでも実装される予定である。
  • タブの自動整理が導入。ローカルのAIモデルが類似のタブを識別し、自動的にグループにまとめ、グループ名も提案する。すべてはデバイス上で行われ、プライバシーも尊重される。(実験的な機能なためすべての環境で実行できるとは限らないない点に注意してほしい)
  • 図5 タブの自動整理(リリースノートより引用)

1つ追加すると、EdgeやChromeとはちがい、ローカルのAIが行っている点だ。つまり、ここで、使われたWeb情報などが、外部に流れる心配はない。このあたりはFirefoxらしい実装といえるだろう。

  • 垂直タブを利用の場合、サイドバー下部のツールエリアのサイズを調整できるようにな。ツールを減らしてタブの数を増やすには、区切り線を下にドラッグすると、余分なツールがオーバーフローメニューに表示される。
  • 図6 サイズ調整(青のラインが上下する)

  • Linux版:メモリ使用量が少なくなり、パッケージマネージャーによって更新が適用された後に強制的に再起動する必要がなくなった。

この新機能については、Linuxユーザーにとっては、恩恵が大きいだろう。メモリ消費量の削減は、言うまでもない。さらにパッケージマネージャによって更新が適用された場合に、再起動をしないで済むのは、かなり使い勝手を向上させるだろう。

  • ブラジル、スペイン、日本のユーザー向けに住所の自動入力が有効に。
  • Firefoxのアドレスバーが単位変換ツールとして利用できるように。長さ、温度、質量、力、角度の単位変換に加え、タイムゾーンの変換にも対応。変換結果を選択すると、クリップボードにコピーされる。
  • 図7 「now in GMT」と入力

  • バレンシア語のFirefoxビルドには、Firefoxスペルチェッカー用のカタロニア語 (バレンシア語変種) 辞書が組み込まれるように。
  • 現在、以下の言語が翻訳可能。

 アルバニア語
 グジャラート語
 ヘブライ語
 ヒンディー語
 カンナダ語
 マレー語
 マラヤーラム語
 ペルシャ語
 テルグ語

また、変更点としてWinodws 11では、キャプションボタンにシステム提供のフォントアイコンが使用されるようになった。

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで10件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が6件、4段階で上から3番目の「Moderate」が9件、4段階で上から4番目の「Low」が3件となっている。「High」では、

  • JavaScriptエンジンで、スタックに戻り値のみの部分的な書き込み
  • 重大な分岐テーブルで命令の切り捨てにつながる可能性
  • Firefox 141、Thunderbird 141で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox ESR 115.26、Firefox ESR 128.13、Thunderbird 128.13、Firefox ESR 140.1、Thunderbird 140.1、Firefox 141、Thunderbird 141で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox ESR 140.1、Thunderbird 140.1、Firefox 141、Thunderbird 141で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox ESR 128.13、Thunderbird ESR 128.13、Firefox ESR 140.1、Thunderbird 140.1、Firefox 141、Thunderbird 141で修正されたメモリ安全性の問題

が対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。