米Adobeは4月24日、デジタルコンテンツの真正性および作者帰属を証明するためのWebアプリ「Adobe Content Authenticity」のパブリックベータ版をリリースした。

PhotoshopやLightroomといったAdobe製品では、クリエイターが自身の作品に「コンテンツクレデンシャル」と呼ばれる来歴情報を記録したメタデータを付与することができる。これには、作品の出どころや加工履歴などの情報が含まれる。今回発表されたContent Authenticityは、Adobe製品以外のツールで制作されたデジタル作品にも、このコンテンツクレデンシャルを付与できるようにするWebアプリである。2024年10月に発表され、これまで限定的なベータ提供にとどまっていた。

生成AIの急速な普及により、画像や映像の出所や加工状況の判別が困難になる中、コンテンツに作成・編集の履歴情報を埋め込むことは、クリエイターの権利保護およびコンテンツの信頼性確保につながる。Adobeは、コンテンツクレデンシャルを通じて、誰がどのようにコンテンツを作成・編集したかを示すことで、デジタルエコシステムにおける透明性の向上を目指している。

現時点でContent Authenticityが対応するファイルはJPEGおよびPNGで、最大サイズは20MB。最大50ファイルの一括処理が可能である。 Adobeによれば、ビデオファイルやオーディオファイルなど、より大容量の他のメディアタイプへの対応も近日中に予定している。

コンテンツクレデンシャルは、LinkedInの本人確認機能「Verified on LinkedIn」と連携し、検証済みの名前をクレデンシャルに添付することで、信頼性を高めることが可能である。 クリエイターは、デジタル作品にどの帰属情報を付与するかを選択でき、Behance、Instagram、LinkedIn、X(旧Twitter)などのソーシャルメディアアカウントへのリンクも追加可能である。これにより、オーディエンスがクリエイターの他の作品を見つけやすくなる。

また、Content Authenticityアプリには「生成AIのトレーニングと使用に関する設定 (Generative AI Training and Usage Preference)」機能があり、クリエイターは自身の作品をAIモデルの学習データとして使用されたくないという意思を、コンテンツクレデンシャルを通じて表明できる。