口にした言葉をそのまま書き留める「口述筆記」は、手の不自由な人が文章を綴るときに、忙しい人が時間を節約するために用いる手段として知られています。しかし、考えながらキー入力で文章を綴るより勢いで話したほうが自然な文章になる、といった口述筆記ならではのメリットがあることも確かです。
iPhoneでは、「設定」→「一般」→「キーボード」画面で「音声入力を有効にする」スイッチを有効にしているとき、ソフトウェアキーボード右下のマイクボタンをタップすると、口述筆記が可能になります。メモアプリの場合、カーソル位置にマイクと「あ」が表示されていれば、話し言葉が日本語という前提で分析が行われ、かな漢字交じりの文章がカーソル位置に入力されていきます。口調によって句読点や疑問符も自動挿入されるため、自然な文章に仕上がります。
この方法がもっともオーソドックスな日本語の口述筆記スタイルですが、音声データが残らないという難点があります。一気呵成に話すと誤変換が混じりがちなため、音声データを残しておき話した内容をあとで確認したほうが口述筆記の精度も高まります。
iOS 18.4で日本語対応を果たした「Apple Intelligence」の機能を使うという手もあります。メモアプリでクリップボタンをタップし、「オーディオを録音」を選択しましょう。すると、新規録音画面が表示されるので、文章にしたいことをそのまま口にして、キリのいいところで録音を停止すればOKです。これで、口にした言葉をテキストに変換(文字起こし)すると同時に、音声データとしてメモアプリに記録できるのです。
この方法のメリットは、改行/改段落に相当する位置に「#」が付くこと。タップすると、音声データの該当位置から再生が始まるため、要修正箇所が録音データの何分何秒なのかを調べる必要はありません。録音と文字起こしが同時に行われるので一石二鳥、しかも要所要所に「#」が付くから聞き直しもかんたんというこの機能、iPhoneでベストな口述筆記術ではないでしょうか。