TVS REGZAは、既報の通り、2025年春夏向けの薄型テレビ「REGZA」(レグザ)新商品群を発表しました。2025年に発売する商品群の“第1弾”として、4シリーズ10モデルを展開します。

有機ELも本気、液晶も本気という“ツートップ戦略”は2025年も継続。同社取締役副社長の石橋泰博氏は、テレビの新しい使い方を提案し「テレビの復権を目指していきたい」とアピールしました。これと絡め、レグザ初となる高性能4Kレーザープロジェクターも同時発表されています。

  • TVS REGZA取締役副社長の石橋泰博氏。左右に同社初の4Kレーザープロジェクター2製品が並ぶ

4月8日に発表された商品群のラインナップと想定売価は下記の通り。

タイムシフトマシン 4K有機ELレグザ「X9900R」シリーズ

  • 65V型(65X9900R):638,000円前後
  • 55V型(55X9900R):484,000円前後
  • 発売予定日:5月23日

タイムシフトマシン 4K Mini LED液晶レグザ「Z970R」シリーズ

  • 85V型(85Z970R):880,000円前後
  • 75V型(75Z970R):660,000円前後
  • 65V型(65Z970R):495,000円前後
  • 発売予定日:5月23日

4K Mini LED 液晶レグザ「Z770R」シリーズ

  • 75V型(75Z770R):396,000円前後
  • 65V型(65Z770R):308,000円前後
  • 55V型(55Z770R):253,000円前後
  • 発売予定日:4月18日

4K液晶レグザ「Z670R」シリーズ

  • 50V型(50Z670R):198,000円前後
  • 43V型(43Z670R):165,000円前後
  • 発売予定日:4月18日

4Kレーザープロジェクター

  • RLC-V7R MAX:374,000円前後
  • RLC-V7R:297,000円前後
  • 発売予定日:RLC-V7R MAXが4月25日、RLC-V7Rが5月中旬

最新レグザはAIに注目。自然な会話でおすすめ映像を提案

  • 新しいAI機能「レグザ インテリジェンス」が全シリーズで搭載されました(一部機能は上位モデルのみ搭載)

全機種で画質や音質が向上していますが、1番の注目は新しいAI機能「レグザ インテリジェンス」です。

もともと同社のテレビ視聴スタンスは「リラックスして見るもの」。しかし最近の視聴傾向として、YouTubeをはじめとした視聴コンテンツの爆発的な増加を背景に、ユーザーが能動的に動画を探し、“前のめり”でコンテンツを見る視聴スタイルになっているのでは、と想像するようになったそうです。

前のめりの視聴スタイルは同社が前提とする“リラックス”とは異なるもの。同社ではリラックスして映像に没入してもらうため、いわば「原点回帰」として、今回「レグザ インテリジェンス」を開発したといいます。

現時点でレグザ インテリジェンスの基本機能は次の4つ。下記のうち、AIシーン高画質 PROはX9900R/Z970Rのみに搭載される機能となっています。

  • 生成AIと連携して番組や動画・情報を素早く検索できる「AIボイスナビゲーター」
  • ユーザーの視聴履歴や属性に応じたコンテンツを提案する「AIリコメンド」
  • 「AIシーン高画質 PRO」に「ライブステージ」を追加
  • AIが音声や環境音を抽出し、ユーザー好みのバランス調整ができる「AI快適リスニング」
  • レグザ インテリジェンスのうち中核となる機能が「AIボイスナビゲーター」だ

4つの基本機能のうち、中核となるのがGoogleの生成AI「Gemini」と連携する「AIボイスナビゲーター」です。

この機能は、「爽快な気分になれる80年代の映画を探して」や「宇宙で戦うロボットアニメが見たい」といった、あいまいな言葉による音声検索が可能です。レグザと自然に対話しながら、AIがユーザーの意図や文脈を理解し、おすすめのコンテンツを選んでいけることも特徴(対話検索は2025年夏頃のソフトウェアアップデートで適用予定)。発表会ではプロトタイプが試せましたが、ユーザーが話した音声をほぼ完ぺきに聞き取っていたことが印象的でした。

また「AIリコメンド」はユーザーの視聴履歴や属性に加え、同社の番組レコメンドサービス「みるコレ」のキュレーション情報も連携している点が特徴です。生成AIの弱点の1つは、最新情報が弱いことですが、「みるコレ」の情報を統合することで、最新情報を含めた最適なコンテンツ提案ができるとします。

  • レグザ「AIリコメンド」の概要

「AIシーン高画質 PRO」は従来からレグザの上位モデルに搭載されている機能で、AIが夜景、リング競技、アニメや映画といった映像の内容を自動認識し、最適な色調整を行うもの。新たに、ユーザーから多く要望があった「音楽ライブステージ」が判別対象となりました。

「AI快適リスニング」は、エッジAI技術をテレビ内蔵プロセッサでもリアルタイム処理できるよう新開発した機能で、番組内の音声をAIで正確に「人の声」と「環境音」に分離し、ユーザーの好みでそれぞれの音量再生バランスを調整できるものです。例えばサッカーの試合で、観客の歓声を消して実況だけを再生したり、逆に実況を消して歓声だけを楽しめたりします。

石橋氏は「レグザ インテリジェンスにとって今年は始まりに過ぎません。半年後、1年後、2年後、進化をしていくと考えています」と話しました。

  • AIシーン高画質PROの概要

  • AI快適リスニングの概要

  • 全シリーズで新パネルを採用し、画質が向上している。今回最上位となる「X9900R」シリーズは新開発の高輝度広色域 RGB4スタック有機ELパネルを搭載し、従来比約1.3倍の輝度向上、約1.1倍の色域拡大を実現した

  • 左右2画面表示も復活。放送波もしくはHDMI接続映像と、YouTubeや(スマホ接続などによる)ミラーリング再生動画を並べて再生できる

レグザ初の4Kレーザープロジェクターは「設置しやすい大画面」

レグザ初となる4Kレーザープロジェクター「RLC-V7R MAX」と「RLC-V7R」も、レグザ新製品発表会で実機がお披露目されました。実機は約25cm四方の意外と大きな筐体ですが、高い投影性能と可動域を備え、最大輝度約3,000ルーメンという高輝度投影が可能です(RLC-V7R MAXの場合。RLC-V7Rは最大輝度約2,000ルーメン)。

  • 光学ズームに対応したRLC-V7R MAX

  • 光学ズーム非対応のRLC-V7R

2機種ともHDR10、HDR10+、HLG、Dolby VisionといったHDR機能を備え、最大解像度は4K(3,840×2,160ドット)で投影方式はDLP、推奨投影サイズは65~150インチ。OSはGoogle TVを搭載し、Netflix、Prime Video、YouTubeなどの動画配信サービスをアプリから楽しめます。

石橋氏はテレビの視聴が少なくなっている一方、スマートフォンやPCなどのデバイスで映像を見る時間自体は従来より伸びていると、新プロジェクターの投入背景を紹介。同社調査によると、家にテレビ1台のみがある家庭の割合は2024年で32%となっており、2026年には約40%に達する見込みとのこと。

1台しかテレビがない家庭でも大画面による視聴ニーズはあるとし、寝室や自室など、デバイス設置の自由度をあげ、2台目の大画面映像デバイス市場の創造を目指したいとしました。

目黒蓮さんは25年もアンバサダー。2種のキービジュアルを展開

アイドルグループ「Snow Man」の目黒蓮さんは、引き続き「レグザ」のブランドアンバサダーとして、各種プロモーションに出演していきます。新たなテレビCMを6月に公開するほか、デジタル広告や大型の屋外広告も展開予定。

新レグザのキャッチコピーは、レグザ インテリジェンスに注目した「それは、通じ合えるレグザ」。黒を基調とした背景とスーツを着用した目黒さんが、AIをイメージさせる青い目で新たなレグザをアピールします。

加えて今回発表された4Kレーザープロジェクターでも、“テレビと対になる広告”として目黒蓮さんが白のスーツに白のTシャツを着用して微笑むキービジュアルが公開されました。プロジェクターのキャッチコピーは「日常を変える、もうひとつのレグザ」。印象の異なる2つのキービジュアルは、レグザ公式ホームページでも4月8日から公開されています。

  • 薄型テレビ「レグザ」のキービジュアル

  • レーザープロジェクターのキービジュアル。新ロゴを採用

  • レグザAIボイスナビゲーターを試す目黒さんの映像も公開された。テレビ(のAI)と会話しながらおすすめコンテンツを視聴できる体験に「声だけでいろいろ進めていけるのが、シンプルにすごい楽」とコメント