今年1月に発表され、ついに投入が始まったNVIDIA GeForce RTX 50シリーズ。初出時の発表ではハイエンドからRTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Ti、RTX 5070の順でアナウンスされており、ついに今回最も手に取りやすい「GeForce RTX 5070」の発売が3月5日から行われています。
Blackwellアーキテクチャの新採用やGDDR7メモリの搭載で刷新したほか、NVDECやNVENC、TensorコアやRTコアも更新され、詳細な性能は『「RTX 4090級」の謳い文句は本当なのか。マルチフレーム生成が輝くミドルレンジGPU「GeForce RTX 5070」実力検証』で紹介中。そこで今回は、意欲的な価格設定やBTOパソコンへの搭載で国内でも大きなシェアを誇る、Palitt「GeForce RTX 5070 GamingPro OC」を短期間ながら試すことができたので、紹介しようと思います。
忙しい方向けにまとめておくと、最大でも250W程度のTGPに巨大なトリプルファンクーラーが組み合わされているため、冷却能力は過剰すぎるほど。Palit独自ユーティリティでかんたんに自動オーバークロックを適用できるほか、RGBライティングの制御をWindowsから行うことも可能でした。
全長331.9mm、長さ要注意のPalit「GeForce RTX 5070 GamingPro OC」
今回紹介するPalit「GeForce RTX 5070 GamingPro OC」は、最上位モデルとして君臨するGameRockシリーズに続き、Palit主力モデルとして展開されているGaminProシリーズに属するモデルです。デザインもここ数世代で洗練されてきており、黒を基調として落ち着いた外観を採用。何ならもう好みのファンカバーを自分で設計し、3Dプリンターで作って装着してしまう「Palit MAKER」にも対応しているため、こだわり派はメーカーに依存せず自分だけのグラフィックスカードを作り上げることも可能です。
冷却機構は上位モデルを踏襲する強力なものを採用。ファンは独自の「TurboFan 4.0」が搭載されており、ウィングレットが気流を安定化させることで抵抗と騒音を軽減。騒音と熱の両面で合計33%の最適化を達成するとしています。加えてそのヒートシンクにも適切な角度を設けることで、気流をフィン全体に誘導。騒音低減とエアフロー効率の両面で合計16%の改善を実現するとのこと。コンポジットヒートパイプは溝構造と焼結パウダー構造を組み合わせたもので、巨大なヒートシンクへの熱移動をアシストします。
GeForce RTX 5070 GamingPro OC本体は3スロットを占有する重量級ですが、上位モデルとは異なりサポートステイの類が付属していません。ここはぜひマウスパッドやステッカーよりも、サポートステイを同梱してほしかったところ。
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高密度スポンジから取り出した本体の様子
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「TurboFan 4.0」を搭載します
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ファンカバーは黒い樹脂製。よく見るとパイプのような意匠も
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光るのはこの半透明パーツのみ
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光っている様子。かなり控えめです
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Windowsの個人用設定からも設定できます
ちなみにこのライティング、Palit独自ユーティリティのThunderMasterをインストールすることで、Windowsの設定画面からもRGBデバイスとして認識されるようになります。好みに応じてどちらからでも操作でき、消灯することも可能。どちらのアプリが照明を制御するかも設定画面から選択できました。
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バックプレートの様子。相変わらずGPUコア裏のキャパシタ等が露出しておらず、汚損の心配はありません
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Dual BIOS仕様。パフォーマンスとサイレントの2種類がありますが、大まかにはバックアップ程度に考えておけばよいでしょう
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後端は広く開口部が設けられており、エアフローが通り抜けます
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補助電源端子は16-pin×1。RGB照明を協調動作させるコネクタもありますが、サンプルには同梱されていませんでした
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映像出力端子部。HDMI 2.1b×1、DP2.1b×3
ほぼ黒で統一した外観はシンプルにまとまっており、樹脂製のファンカバーに安っぽさはあまりありません。ただ本体に重量がそれなりにあるので、強度の高いフレームを採用したにしてもぜひサポートステイを同梱してほしかったところ。しかし何より、補助電源コネクタがやや奥まった場所に設置されている点がプラス評価。ケースとの干渉を避けやすく、旧PCへの導入でも障害になりにくいはずです。
トリプルファンは圧倒的、温度と静音性には余裕あり
NVIDIA GeForce RTX 5070の仕様面について振り返っておくと、CUDAコアは6,144個、ブーストクロックは2.51GHz。192bit GDDR7 12GBメモリを組み合わせており、第9世代NVENC、第6世代NVDEC、第5世代Tensorコア、第4世代RTコアを搭載しています。ちなみに5070 Tiとの比較ではCUDAコアの数に3000個近く差があるほか、VRAMも4GB少なく、NVENCも1基のみと結構違いがあります。
今回はOC仕様ということで、Palit独自ユーティリティのThunderMasterを導入してOCを適用しました。画面右下にある「OC SCAN」ボタンを押すだけでよく、自動的に動作周波数を設定してくれるという優れもの。ちなみに筆者の環境だけかもしれませんが、20分近く時間がかかったので、ゲームを楽しんでいる最中に始めない方がいいかもしれません。
性能については『「RTX 4090級」の謳い文句は本当なのか。マルチフレーム生成が輝くミドルレンジGPU「GeForce RTX 5070」実力検証』で詳細に紹介していますが、ここではやはり昨今誰もが試したであろう『モンスターハンターワイルズ』公式ベンチマークを活用しました。ハイエンド志向な4KよりもRTX 5070に向いているであろうアフォーダブルなWQHD解像度で、ウルトラ、高、中プロファイルを試行。もちろんTensorコアの内蔵でDLSS 3.7のフレーム生成にも対応しており、パフォーマンスを引き上げることも可能です。
ベンチマークの様子を見ている限り、WQHDなら「高」でもなんとかプレイできそうでしたが、ベンチマークテストは何もない砂漠を走るシーンが多く、肝心の戦闘シーンやオブジェクトの多いマップが映らないことも考慮に入れておきましょう。実ゲーム環境では「中」プロファイルの方がスタッターを減らして快適にプレイできるはず。「高」ではフレーム生成機能も息切れを起こしており、「中」の方がよりフレーム生成機能の真価を発揮できそうだと思いました。
ビッグサイズで余裕あり、コンパクトなPalit Dualシリーズ展開にも期待
ここまでPalit「GeForce RTX 5070 GamingPro OC」についてみてきた本記事。TGP 250Wのグラフィックカードにしてはかなり大きく、ベンチマーク中も冷却能力に余裕を残しているようでした。ここはPalitが誇るDualシリーズの展開も楽しみなところで、DualシリーズならSFF Readyに準拠したコンパクトかつパワフルな構成にも役立てられるはずです。