その多くが廉価であるにもかかわらず写りがよく、造りの精度も高い中国や韓国ブランドのレンズたち。為替が以前よりも円安となった現在でも大きな価格変動がないこともあり、相変わらず高い人気を誇ります。
これまでのCP+では、そのようなメーカーが小規模なブースを出すことは特段珍しいことではありませんでしたが、今回はそれに加え日本で多くの中国レンズメーカーの代理店を務める焦点工房がブースを設けたため、より賑やかになったように思えました。日本のカメラメーカーやレンズメーカーのなかには脅威に感じたところもあったかもしれません。
毎度のことですが、CP+は出展するメーカーや代理店がよく知られたところから、日本ではまったく無名な海外のところまで、まさに玉石混交と述べてよいものです。そこがこの展示会の面白さでもあるのですが、特に中国製のレンズに限って言えば、日本では知られてはいないメーカーの場合、三脚やスタンドなど他の展示物が置かれている片隅にレンズがちょこんと鎮座している、といったようなことも少なくありません。見落としてしまうことも多々あり、漏れのない取材を心がける私にとってある意味冷や汗ものとなっています。
今回もひととおり取材が終わり、会場内をブラブラしているときに偶然そのようなブースと出会ってしまい、急遽取材したレンズもありました。ここではCP+に出展していたメジャーどころからマイナーどころまで、中国・韓国ブランドの最新注目レンズを紹介します。
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【七工匠(しちこうしょう/7Artisans】中国、七工匠の新しいレンズシリーズ。焦点距離25mm、開放F1.8のレンズとなります。APS-C専用で、AFに対応。コンパクトに仕上がった鏡筒も魅力です。中国では3月発売ですが、日本での発売は現時点で価格も含め未定とのことでした
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【七工匠(しちこうしょう/7Artisans】25mmと同じシリーズのレンズで、焦点距離35mm、開放F1.8としています。同じくAPS-C専用で、AFに対応しています。こちらも中国では3月発売の予定ですが、日本での発売は現時点で価格も含め未定
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【七工匠(しちこうしょう/7Artisans】こちらはフルサイズ対応のAFレンズ「7Artisans 85mm F1.8 AF」。すでに発売済みで、同じシリーズとしては本レンズのほかに「7Artisans 50mm F1.8 AF」もラインナップしています。対応マウントはソニーEおよびニコンZとなります
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【中一光学(ちゅういちこうがく)】中国の光学メーカー、中一光学の目玉は中判デジタルの富士フイルムGマウントとハッセルブラッドXマウントに対応する大口径MFレンズ2本。左は「SPEEMASTER 80mm F1.6」で価格は134,000円、右は「SPEEMASTER 65mm F1.4」で価格は135,000円。いずれも発売済みです
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【Kase(カセ)】Kaseも中国のブランド。写真は「Kase REFLEX 200mm F5.6」で、焦点距離200mmのミラーレンズです。おそらくこれまで市販されたミラーレンズとしては最も焦点距離の短いものとなります。すでに大手量販店では扱いが始まっており、価格は138,000円より。ソニーE、キヤノンRF、ニコンZ、フジG、フジX、キヤノンEFの各マウントが用意されています
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【Kase(カセ)】こちらは中国より届いたばかりだという「Kase AF35mm F1.4」のモックモデル。フルサイズに対応しAFでの撮影が可能であるほか、絞りリングのクリックの有無も選べます。マウントはソニーEとニコンZを予定。現時点では発売日および価格とも未定とのことでした
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【LAOWA(ラオワ)】「12-24mm F5.6 Zoom Shift CF」は、その名のとおり珍しい超広角ズームのシフトレンズ。APS-C専用で、構造物や建築物のほか風景撮影などで活躍しそうです。対応マウントは、フジX、キヤノンEF-M、ソニーE、キヤノンRF、ニコンZ、Lマウントとなります。すでに発売済みで、価格は137,000円前後となります
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【LAOWA(ラオワ)】パンケーキではなく“クッキー”と名づけられた「15mm F5 Cookie FF」は、フルサイズ対応の軽量コンパクトな超広角単焦点レンズ。対応マウントは、自動絞りに対応するソニーE、ニコンZ、手動絞りとなるキヤノンRF、ライカM、Lマウントとなります。こちらも発売済みで、価格は79,000円前後です
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【LAOWA(ラオワ)】フルサイズ対応ながら焦点距離10mmを実現した「10mm F2.8 Zero-D FF」。レンズ銘の“Zero-D”とは、歪曲(ディストーション)がゼロであることから名づけられたものです。フォーカスはAFとMFがあり、前者はソニーEとニコンZ、後者はキヤノンRFとLマウントとなります。価格は148,000円前後となります
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【LAOWA(ラオワ)】参考出品の「35mm F2.8 Tilt-Shift 0.5x Macro」。フルサイズ対応のシフトレンズでありながら、ハーフマクロ撮影も可能。発売日、価格とも現時点では未定です
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【LAOWA(ラオワ)】フルサイズ対応で超広角のハーフマクロレンズ「15mm F4.5 0.5x Wide Angle Macro」となります。レンズ先端からの最短撮影距離は3.6cmを実現。こちらも参考出品で、発売日、価格とも未定です
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【LAOWA(ラオワ)】魚眼ズームレンズ「8-15mm F2.8 Zoom Fisheye FF」。こちらも参考出品で、展示されたモックを見る限りAFが可能なようです。フルサイズ対応で、おそらくズーミングにより全周魚眼と対角線魚眼の写りが得られるものと思われます。参考出品で、発売日、価格とも未定となります
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【LIGHT LENS LAB】LIGHT LENS LABは、おもにライカなど古いレンズを復刻するメーカー。レンズ構成や用いるガラス材、描写特性までオリジナルに迫る製品をリリースしています。「M APO 35mm F2 ASPH.」は、それまで打って変わって新しい光学設計でライカの「ズミクロン-M f2/35mm ASPH.」の写りを再現するレンズとなります。参考出品で2025年中に発売予定です
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【LIGHT LENS LAB】「M 50mm F1.5 Z21」はフランスの「Angenieux 50mm F1.5 Type S21」をベースとしたレンズ。最新の光学技術を採用することで、より現代的な写りの得られるレンズとしています。こちらも参考出品で2025年中に発売予定です
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【SAMYANG(サムヤン)】2024年にドイツのシュナイダー・クロイツナッハと業務提携を締結した韓国SAMYANGですが、本レンズはその最初のレンズとなります。焦点距離は14-24mmの広角ズーム、開放値はF2.8となります。USB端子を備えているのも見逃せない部分です。対応マウントはソニーEで、発売は今年の夏ごろを予定しているとのことでした
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【SAMYANG(サムヤン)】左端のレンズは、大きさの比較のために置いた「SAMYANG AF 35mm F1.4 P FE」となりますが、中央と右端は係員も分からないというスペック不明の謎のモックモデル。おそらく中央は焦点距離24mmもしくは28mmの単焦点レンズ、右はフードの深さなどから85mmの同じく単焦点レンズではないかということでした。メーカーの発表が待たれるところです
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【AstrHori(アストロリ)】AstrHoriはユニークなレンズをメインに展開する中国のブランド。「6.5mm F2.0 Fisheye APS-C」は大口径の全周魚眼レンズ。対応マウントは、ソニーE、フジX、ニコンZ、キヤノンRF、マイクロフォーサーズとなります。価格は23,000円となります
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【SG-image(エスジーイメージ)】SG-imageは中国深センのブランド。日本国内での展開はまだ日が浅く、これからの展開が期待できそうです。写真の「50mm F1.8 Funtom Lens」は、世界初とうたう形状可変絞り機構を内蔵するフルサイズ対応の標準単焦点レンズ。ハート/雪/オーバル/星の4つの絞りプレートを内蔵しています。夜景など点光源を背景にした撮影では効果がありそうです。対応マウントは、ソニーE、フジX、ニコンZ、キヤノンRF、Lマウント、マイクロフォーサーズで、32,000円で発売中です
【SG-image(エスジーイメージ)】「50mm F1.8 Funtom Lens」の形状可変絞り機構の様子。写真左は「ハート」、右は「雪」となります。通常の絞り羽根による絞り機構は搭載されていません
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【SG-image(エスジーイメージ)】先行して発売された「18mm F6.3 ウルトラシンレンズ」のフルサイズ判「24mm F6.3 ウルトラシンレンズ」となります。対応マウントは、ソニーE、フジX、ニコンZ、キヤノンRF、Lマウントで、16,000円で発売予定。レンズ前面のグラフィックはデモ用のため、市販品とは異なるとのことでした
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【VILTROX(ビルトロックス)】VILTROXも中国深センのブランドとなります。左は「AF 85mm F1.4 FE」で発売日等未定、右は「AF 35mm F1.2 FE」で日本での発売は本年4月を予定しています。いずれも現状では価格は未定。そのつくりのよさから、写りや操作性など大いに期待できそうです
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【YONGNUO(ヨンヌオ)】左より「YN 11mm F1.8S DA DSM WL」「YN 23mm F1.4Z DA DSM WL Pro」「YN 33mm F1.4S DA DSM WL Pro」となります。いずれもAPS-C専用で、マウントは11mmがソニーE、23mmがニコンZ、33mmがソニーEとニコンZとなります。発売日は未定ですが、いずれも45,000円前後になるとのことでした