モデムとは、デジタル信号とアナログ信号を相互変換する装置のこと。かつて固定電話(アナログ)回線を使いデータ通信していた時代、デジタルデータはアナログ信号に変換してから送出し、反対に受信する場合はアナログ信号をデジタルデータに変換する処理を必要としましたが、それを担っていた機器がモデムです。
携帯電話/スマートフォンの時代になると、モデムは各種セルラー通信方式に対応するという役割を担うようになり、IC1つに収まるほど小型化され「モデムチップ」と呼ばれるようになりました。モデムチップはワイヤレス通信において重要なポジションにあり、通信性能のみならず消費電力にも大きく影響する重要なICです。
歴代のiPhoneにはサードパーティー製モデムチップが使われてきましたが、2025年2月発表のiPhone 16eには自社設計の「Apple C1」が採用されています。「iPhone史上最も電力効率に優れたモデム」であり「従来比25%の消費電力削減」とうたわれていることからすると、省電力性能の高さが特長といえそうです。同じくAppleが設計したSoC(A18)やiOSとの連携により効率的な制御が可能になることも、省電力性能にはプラスに作用します。
C1には、4G/5Gのセルラー回線のみならず衛星通信やGPSとの通信機能も統合されています。ただし、iPhone 16eではmmWave 5G(ミリ波5G)やWi-Fi 7がサポートされないなど、機能を取捨選択した様子も伺えます。
Appleはチップの内製化を進めることで、iPhoneの消費電力低減やシステム効率化を進めてきました。自社製チップの採用は、セキュリティ面でも有利に働くはずです。C1の投入はそれらの取り組みを強化する一環と考えられ、今後登場するiPhoneにもC1およびその後継チップが採用されることが予想されます。