Microsoftは米国時間2024年10月31日、Microsoft 365 Personal/Familyの価格アップを発表した。時期や地域は明示していないが、今後提供対象となるオーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、台湾、タイは新しい価格となるものの、11月9日時点で日本のMicrosoft 365 Personalは14,900円/年、Microsoft 365 Familyは21,000円/年の価格付けで従来と変わりはない。
値上げに至る要因の一つはCopilotだ。現在Microsoft 365 Personal/Familyは有償版のCopilot Proを3,200円/月で提供しているが、これはCopilot ChatやMicrosoft 365 Apps経由でCopilotを使用する。たとえばMicrosoft Wordなら、文章の下書き生成や、アイデアを捉えるための提案、文書を補完する独自の画像生成といった機能を備えていた。また、生成AI(人工知能)による画像生成や加工を行うMicrosoft Designerを含むことで、Copilotの内包化に至ったと思われる。
つまり、Copilot Proの3,200円/月をMicrosoft 365 Personal/Familyに取り込み、AIの利便性をユーザーに浸透させる狙いがあるのだろう。現時点で未発表だが、AI機能を望まない、または必要としないユーザー向けに「Microsoft 365 Classic」が提供される噂もある。このあたりはMicrosoftの柔軟な戦略の一つだが、至るところ同社製品を使う以上はCopilotを避けられないようだ。
ただ、Copilot自体は有用である。「Copilot for Microsoft 365」を契約中の筆者も、原稿執筆時はCopilot Chatを開いて、気になる言い回しや単語を調べて、ソースを確認してから原稿に反映させてきた。おかげでGoogleやBingの使用頻度は著しく低下している。Copilot for Microsoft 365は45,000円/年と高額だが、翌年の契約も継続する予定だ。
とはいえ筆者もMicrosoft 365 Appsはビューアーとして使用しており、Microsoftが提唱するMicrosoft 365 Apps+Copilotの有用性はまだ体感していない。改めて書きかけの本稿をMicrosoft Wordにコピー&ペーストし、Copilot for Microsoft 365でいくつかの質問を投げかけてみたが、入力したプロンプトが適切でないのか、有用と思える回答を得られなかった。
個人/法人問わずMicrosoft 365 Appsの要不要は人によって異なり、使用頻度が低いと述べた筆者もMicrosoft Excelで業務の帳簿や、オンラインバンクのデータをローカルにまとめているため、週に数回は使用している。その際にCopilot for Microsoft 365の機能を使用することはない。このあたりにCopilotの有用性を感じつつも、完全に理解・活用していると確言できない理由だ。
なお、Microsoft 365 Familyの場合、Copilot Pro機能を利用できるのはメインの契約者のみ。他の家族アカウントでは使用できない。一種のセットであるWindowsとMicrosoft 365 Appsだが、Microsoftはその形を少しずつ変えようとしている。気になる方は同社の動向に注目してほしい。