スマートフォン全盛時代にあえて逆らうように登場したHMDの「Barbie Phone(バービーフォン)」が海外で大きな話題になっています。通話とメッセージ、簡単なアプリしか使えない単機能なケータイですが、スマートフォンに日々追われる生活から逃れられ、自分の時間を取り戻せる製品でもあるのです。
Barbie Phoneは米マテルのヒット商品であり、現在も販売されている着せ替え人形のバービーをモチーフにした製品です。一昔前のフリップ式のケータイで、閉じたときにはミラーにもなる1.77インチの外ディスプレイを搭載。本体を開くと2.8インチのメインディスプレイが現われます。カメラも搭載していますが、性能は30万画素とかなりの低画素。しかしBarbie Phoneは高画質な写真を撮影してSNSで自慢しあう製品ではありません。Barbie Phoneそのものを持つことに楽しさや自慢できる要素があるのです。
Barbie Phoneを購入するとパッケージにはカラフルなストラップ、本体に貼り付けられるステッカーなどが付属します。またバッテリーは交換でき、背面カバーは取り外し可能。3種類のカバーも付属します。全体がピンク色をテーマにしたBarbie Phoneですが、お気に入りのステッカーで自分好みのBarbie Phoneをカスタマイズできるのです。その日のファッションに応じて背面カバーを交換するのも楽しいでしょう。
Barbie Phoneはスマートフォンでも「ガラホ」でもないため、友人や家族とコミュニケーションを取るためのアプリは通話とメッセージのみ。SNSアプリは入っていませんしインストールもできません。必要最小限のコミュニケーションしか取れない一方で、友人と会った時にスマートフォンに時間を奪われることもなく、楽しい時間を過ごすことができるわけです。目立ったアプリとしてはスネークゲーム、瞑想アプリ、セルフケアリマインダーなどいずれも時間をのんびりと過ごすためのものが入っている程度です。
通信方式は4Gに対応しているため、世界各国で使用可能です。なおデータ通信を活用するアプリは無いので4Gに対応する必要はないのでしょうが、世界各国で2Gや3Gの停波が続いているのでケータイとはいえ4G対応はこれからのモデルでは必須でしょう。日本では技適の問題がありそのままでの利用には問題がありますが、日本語対応してトイストアなどで販売したら意外と受けるかもしれません。なお充電はUSB Type-C端子を利用します。
Barbie Phoneはこの手のケータイデザインがレトロ風で新鮮ということもありZ世代を中心に人気になっているとのこと。一方では簡単機能とそのかわいらしさから子供(特に女の子)向けのケータイとして親が買い与えるケースもあるようです。Barbie Phoneが受けるのならば、男の子向けのキャラクターケータイというのも今後いいかもしれません。HMDはスマートフォンも販売していますが、Barbie Phoneに続く第二弾、第三弾のケータイもぜひ出してほしいものです。
さて実際にBarbie Phoneを使ってみると、大手メーカーの製品ということもあり、造りはしっかりとしていました。10キーの押し具合も悪くありませんし、通話の品質も良好です。折りたたむとコンパクトになるのでポケットにもすっぽりと納まりますし、123.5gと軽量なので日々持ち歩くことも苦になりません。なによりもピンク色のボディーに愛着が持てるので、機能が無いにもかかわらず時計を見たりカレンダーを表示させたりと、何かしら自然と触れてしまいたくなる魅力も感じられます。
Barbie Phoneの価格はヨーロッパで約130ユーロ、イギリスで約99ユーロ、アメリカが約130ドルで、日本円にすると約2万円です。ブランド・キャラクターモデルのケータイとして考えれば十分リーズナブルでしょう。ヨーロッパではすでに各国で品切れが続いているようで、一部の国ではスマートフォンを除くケータイ全製品の中でも一番人気になっているほどだそうです。もしかすると2024年一番の注目ケータイになるかもしれません。日本での販売は予定されていませんが、キャラクター天国である日本なら、何かしらのキャラクターとコラボしたケータイがどこかのメーカーから出てくれば楽しそうです。