2024年9月26日から9月29日に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2024」(TGS2024)にて、スクウェア・エニックスは試遊ブースに4作品の試遊ブースを出展した。
このうちの3作品、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』『FANTASIAN Neo Dimension』の試遊に参加。それぞれリマスター、リメイク、移植作と、位置付けは異なるが、ターン制コマンドRPGがそろい踏みとなったスクエニブース。ビジュアル・BGM・システムのいずれをとっても古びない魅力を持った新作たちを堪能した。
はぐれモンスターは条件付きで仲間に? 『ドラゴンクエストIII』試遊
1つ目は『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。過去にもさまざまな機種に移植されているが、本作ではドット絵と3Dが融合したHD-2D表現によりビジュアルを刷新しているうえ、さらに新職業や追加シナリオといった新要素を加えて、従来の移植よりも大きく生まれ変わった。
対応機種はNintendo Switch、PlayStation 5(PS5)、Xbox Series X|S、Steam、Microsoft Store on Windows。発売予定は2024年11月14日だ。
試遊では2つのセーブデータを体験できた。1つは物語冒頭を楽しめるデータ。もう1つのデータは、自由な探索のほか、新要素「バトルロード」や「シャンパーニの塔」攻略を楽しめる。
まずは物語冒頭のデータで、仲間を集めに「ルイーダの酒場」へ。「ドラクエ」シリーズの中でも、パーティをいちから自由に編成できるのが「III」の大きな特徴だ。本作はさらに好みに応じた見た目でキャラクリエイトできるのがうれしい。
データを切り替えて「バトルロード」にも挑戦。「まものつかい」を仲間に入れた状態で「はぐれモンスター」を保護すれば、バトルロードで戦わせることができるシステムで、優勝すればランクに応じた景品がもらえるようだ。
試遊データではスライムとホイミンが保護済みのモンスターだった。しかし、戦力としては少し心もとない。であれば、モンスターを探しに行こう。と、うろついているうちに試遊は終了した。
試遊台に置かれていたヒントによると、夜にだけ現れるモンスターや、保護するのに特定の条件が必要なモンスターもいるようだった。うーん気になる。「まものつかい」でパーティの一枠を埋めるかどうかも、製品版では悩ましい問題になりそう。
当日は盗賊「カンダタ」と写真撮影できるスポットや、精巧に作られた「ロトの鎧」の特別展示も。ドラクエファンには歩くだけでも楽しいブースだった。
お願いだから流行ってくれ! 『ロマサガ2』試遊
続いては『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』。原作は1992年発売のスーパーファミコン向けRPGだ。対応機種はNintendo Switch、PlayStation 4(PS4)、PlayStation 5(PS5)、Steam。発売予定は2024年10月24日(Steam版は10月25日1時に発売予定)だ。
こちらもいくつかのハードに移植されているが、本作はビジュアル、ゲームシステムなどあらゆる要素を再構築したフルリメイク。原作をやり込んだ身としては、今年6月のリリース発表はまさに青天の霹靂だった。『ロマサガ2』が令和にリメイクされるなんてこと、あるんだ。
戦闘中に確率で新たな技を覚える「閃き」、主人公の皇帝がステータスを引き継ぎながら世代交代を行う「皇帝継承」、プレイヤーが自由に攻略順を決められるフリーシナリオ……。コアとなるシステムはもちろん、シナリオやBGMなど原作の良さを本作は最大限引き継いでいる。
また、現代からすると不親切に感じられるマスクデータ(ゲーム中、明示されない内部データ)をわかりやすくプレイヤーに伝えたり、難易度を選べたり、遊びやすさが格段に向上しているのも感じられた。
何より戦闘のテンポがいい。ボタンを押して攻撃が終わるまで、アニメーションもテキパキと動く。また、タイムライン方式の採用や、弱点を突いて連携ゲージを溜めるシステムにより、「やることがないから通常攻撃」のような、お茶をにごす行動がなくなったのも良いポイントだ。
試遊では「スービエ」戦と「ゴブリンの巣」攻略を選べた。筆者は「ゴブリンの巣」攻略~「ソーモン」攻略を選択。詳細は省くが、原作とは異なる追加イベントがあって、これがまた良かった……。
なお、「TGS2024」では、スペシャルステージの催しもあり、イベント中に本作のプロデューサー・田付信一氏が残した次のコメントが印象的だった。
「サガシリーズはかつて4本のミリオンセラーを出すほど大きなタイトルでした。ただ、近年はそうした状況から遠ざかっています。なので、この素晴らしいタイトルをより多くの人たちにプレイしていただきたいと思いリメイクしました」
サガシリーズは一作ごとに独創性のあるシステムに挑戦しているイメージがある。どれも噛めば噛むほどに味がする楽しさがある一方で、楽しめるまでハードルが高い部分もあり、セールスにつながらない面があったのかもしれない。
本作の遊びやすさは思い出補正抜きに楽しめる仕上がりに感じた。ぜひシリーズ初見のプレイヤーにもプレイしてみてほしい。サガシリーズ、めちゃくちゃ流行ってください、お願いします……。
FF生みの親が手掛けるジオラマ表現がすごい! 『FANTASIAN』試遊
最後に紹介するのは『FANTASIAN Neo Dimension』。「ファイナルファンタジー」シリーズの生みの親である坂口博信と植松伸夫が再びタッグを組んだ意欲作だ。
もともとはApple Arcade向けにリリースされたタイトル。本移植により、Nintendo Switch、PlayStation 4(PS4)、PlayStation 5(PS5)、Xbox Series X|S、Steamで遊べるようになった。移植にあたっては、豪華声優陣によるキャラクターボイス対応や難易度設定が追加されている。
本作の目玉はなんといっても、手作りのジオラマとCGが融合した特異なビジュアル。3Dモデリングのキャラクターが、作り込まれた模型状のフィールドを駆け回る絵づくりには、新しさと懐かしさが同居する不思議な感覚を覚える。
また、システム面にもユニークな試みがある。その名も「ディメンジョンシステム」。本作はランダムエンカウントを採用しているが、エンカウントした敵とのバトルは異次元にストックできる。ストックした敵とのバトルは30体分まで溜め込められ、あとで一度にまとめてバトルできるのだ。
まとめて戦うとなると、当然、敵は大量になる。ここでもう1つのシステムである「スキルの軌道操作」が活きてくる。本作ではスキルごとに軌道を設定でき、軌道上であれば多くの敵を巻き込むことができるのだ。さらに、異次元に送った大量の敵と戦う「ディメンジョンバトル」では、スキルの軌道上に巻き込むことで有利な効果を得られる専用ギミックも登場するなど、戦略性の増したバトルが楽しめる。
なお、「TGS2024」期間中にはFFシリーズとのBGMコラボも発表された。『ファイナルファンタジーピクセルリマスター』、リメイク版『ファイナルファンタジーVII』、『ファイナルファンタジーXIV』、『ファイナルファンタジーXVI』といったタイトルのBGMをバトルBGMに変更できるとのこと。植松伸夫ワールドの大盤振る舞いだ。
対応機種が一挙に増えたことで、ファンの輪がさらに広がりそうな本作。発売予定は2024年12月5日だ。
以上、3作品の試遊レポートをお届けした。TGSの4日間は、どのブースも大盛況。ジャンルの多様化が進む昨今でも、伝統的なコマンドRPGの系譜に連なる作品の根強い人気を感じた。