2024年9月26日から9月29日に、幕張メッセで「東京ゲームショウ 2024」(TGS2024)が開催されました。今年は、過去最多となる44の国・地域から985の企業・団体が出展。そのなから、今回はゲーミング周辺機器や取材をしていて気になった展示を取り上げます。
SteelSeriesは2つの新製品を発表
SteelSeries(スティールシリーズ)は、周辺機器の新作を2つ発表しました。時差の関係もあり世界最速の発表です。
1つはワイヤレスイヤホン「Arctis GameBuds」です。耳のスキャンデータ6.2万件から作られたボディは、高いフィット感を実現しており、Bluetooth 5.3に加え、専用の2.4GhzのUSB-Cドングルの接続に対応します。IP55の生活防水と最長40時間(本体10時間+ケース充電で+30時間)の稼働を実現しました。
また、100種類以上のゲームに対応したEQプリセットを備えたモバイルアプリを用意。ゲームごとの最適なプロファイルとユーザープリセットが可能です。
製品は、通常バージョンの「Arctis GameBuds Black/White」とXbox用モデルの「Arctis GameBuds X(Blackのみ)」の3モデル構成。想定価格は28,310円です。発売日はモデルによって異なり、「GameBuds Black」が10月29日、「GameBuds White」が11月15日、「GameBuds X」が12月13日です。ブランドアンバサダーの伊織もえさんは白がカワイイと白推しでした。
なお、時間がなくて質問できなかったのですが、SteelSeriesは2021年にGNグループに買収されています。このGNグループはビジネス用ヘッドセットで名高いJabraや補聴器を手掛けるGNヒアリングを傘下に収めており、過去のSteelSeries発表会では「技術者同士の交流も行われている」と聞いています。今回のBudsタイプの開発に使われた耳のスキャンデータもこのあたりの交流から得られたのではないか? という気がしました。
2つ目の発表はゲーミングキーボードの新製品です。「ラピッドトリガー」でSeeelSeriesの名声をより高めた感がありますが、そのキーボードが三代目に進化。「Apex Pro Gen3」として販売されます。
アクチュエーションポイントが変化できるキーボードゆえに「キーのぐらつき、がたつきが気になる」というユーザーの声に応え、一から設計を見直したOmniPoint3.0スイッチを採用。すべてのキーに潤滑剤を塗布することで滑らかなキータッチを実現します。
さらに、スイッチ用スタビライザーも新設計。三層構造の防音設計によってタイプ音も心地よくなりました。
ここまではハードウェアの進化ですが、ソフトウェアも進化。キャラクターの動きを素早くコントロールできるRapid Tap、入力したキーの周囲の感度を一時的に抑えることで誤爆を避けるProtection Mode、人気ゲームに対応したプリセットGG QuickSetの機能が加わります。これらの新機能は、過去のApex Proキーボードにも最新のSteel Series GGソフトウェアをアップデートすることで適用されます。
さらに、年末まで旧製品(Apex Pro/Pro2)が15%オフになるセールを開始。各種のGGソフトウェアの新機能が使えます。なお、新製品は、有線フルキーボードの「Apex Pro Gen3」が想定価格49,420円、有線/無線の「Apex Pro TKL Gen3」が想定価格45,530円、「Apex Pro TKL Wireless Gen3」が想定価格54,420円です。それぞれ日本語配列と英語配列を用意します。
そのほか、新たにブランド公式サポーター制度を開始。応募条件は「月4回以上の配信を行い、X、Twitch、YouTube、InstagramなどのSNSの総フォロワー数4,000名以上」です。それなりにチャンスがあるのではないでしょうか。
応募は、SteelSeries Japanの公式XをフォローしてDMを送信。募集定員になったら募集終了です。サポーターに選ばれると、発売日前の新製品の提供や発売前レビュー動画の許可、SteelSeries公式イベントへの優先参加・出演権といった特典があるとのことです。
FPSゲーマー向けに細かい製品をリリースするBenQ
BenQ(ベンキュー)ブースは今回、MOBIUZシリーズの展示がなく、FPSゲーマー向けのZOWIEとマウスのみのストイックな展示でした。新製品となる「XL2546X」は昨年参考出品されていたDyACの新バージョンDyAC2を搭載しており、物陰の暗いところにいる敵を見やすくする機能がパワーアップしています。
マウスに関しては「現在提供している有線マウスの全モデルを無線化しようとしているがまだ道半ば」とのこと。同社の無線マウスは受信機と充電器が一体になっており、机の上にムリなく設置できるのもゲーマー向きでしょう。
見逃しがちですが、マウスパッドも新製品を展示。特におすすめされたのがTRで、滑りがいいのにマウスが止まりやすく、「動く」「止まる」がカッチリできるのがポイント。コントロール性に優れた製品だと思います。
アケコンの注目株はラピッドトリガー対応レバーレスコントローラー?
ふもっふのおみせは、世界初発表のラピッドトリガー対応レバーレスコントローラー「VARMILO FK2」を大々的に展示していました。対戦格闘ゲームにおいてはゲームセンターと同様にレバーとボタンを使って操作するのが一般的で、大会では「マイアケコン(アーケードコントローラーの略)」を持っていくプレイヤーがたくさんいます。
しかし、数年前にすべての操作をボタンで行うレバーレスコントローラーが登場。トッププロも使用し始めたことで人気が高まっていました。
一方、ゲーミングキーボード界ではフィールに優れるメカニカルスイッチが使用されていましたが、最近は磁気や光学センサーを使ったスイッチが進出。連続的な入力が行えるため、アクチュエーションポイントを自由に変更できます。また、指の力を抜いた瞬間に入力オフに設定可能なラピッドトリガーという新機能が、特に瞬間的な動作が要求されるFPSゲーマーに注目されています。
瞬間的な動作が要求されるのは格ゲーでも同じ。そのため、ラピッドトリガーに対応したアケコンが出るのも当然の流れでしょう。「TGS2024」では、東海理化が「ZENAIM ARCADE CONTROLLER」を発表していました。今後はこの辺がレバーレスアケコンの中心になりそうな予感がします。
ちなみに「VARMILO FK2」はユーザーセッティングも可能と伺ったので、ツールが必要かと思いましたが、設定はWebブラウザから行えます。いったん設定すると本体内に保持されるそうです。価格は17,000円からを見込みます。
まだある! TGS2024で見かけた気になるアイテムたち
配信関係では、「LEWITT」がオートフォーカスマイクを展示していました。センサーで対象者までの距離を測定して最適なゲインになるというものです。
距離センサーによって、一定の距離になると自動的にマイクミュートになる設定もできます。ちょっと離れて隣の人に指示や質問をしても配信されないのはおもしろい機能だと思いました。
プロゲーミングチームの「REJECT」は、「LAMZU」とコラボした新マウス3製品を展示。最近多い超軽量マウスには手のひらが触れる部分に穴を多数あけて軽量化している製品が多いのですが、この製品は逆転の発想で、裏側がフレーム構造になっています。見えない部分での軽量化がポイントです。
製品は、左右対称で大きさの異なる「MAYA」、「MAYAX」、右手専用の「PARO」の3種類。メインセンサーにPAW3950を使用して、ポーリングレートが8,000Hzと本格ゲーミングマウス仕様でした。
また、純正ソールも高密度ポリエチレン、テフロン系の2種類をリリースしており、特にガラスマウスパッドとの相性を考慮しているのがポイントです。
日本では未発売ですが、60インチ19キロのウルトラワイドモニターもホールドできるモニターアーム「G60/G70/G80」を展示していたのが「Kunshan HongJle Electoronics」ブースです。
実際に触ってみましたが、時間とともにズリ落ちることもなく、しっかりとホールドされていました。スタッフによると特許機構によって実現しているとのこと。大型ディスプレイを自由に動かして設置したい人にはよさそうだと感じました。
硬派な会社だと思っていたのにと、ちょっと驚いたのが「REALFORCE」ブース。初日に「REALFORCE × hololive GX1 Keyboard」を発表していました。過去のコラボモデルとしてはすでに「初音ミク」や「ウマ娘」があります。
今回のラインアップは、「GX1 Keyboard 獅白ぼたん モデル」と「GX1 Keyboard ラプラス・ダークネス モデル」で、テンキーレスモデルをベースに日本語配列・英語配列を展開します(キー荷重は45g)。発売は11月下旬で、予約受付中です。
“推し活”が話題になってソコソコ経っていますが、パソコンでも推しの壁紙からはじまり、「ぶいすぽっ!」のような動きもあります。最近のアイドルはテーマカラーもあり、壁紙のトーンも似たようなものになります……というのを逆手に取ったのか、本体カラーの多さで勝負したのがPixioブースです。
この「wave」シリーズは定番のブラック以外に4色をラインアップしており、ブース正面の壁紙が示すように推しのテーマカラー、あるいは部屋のカラーリングやパソコンのカラーリングに合わせた液晶もアリな感じがします。
スペックは、24インチのフルHDですが200Hzのリフレッシュレートに対応と、十分ゲーミングモニターです。「本体色で選ぶ」時代がきたのかと少々驚きました。
アイ・オー・データ機器は、ゲーミングディスプレイブランド「GigaCrysta」の10周年。ブースでは新製品を含む展示を実施していました。元々「GigaCrysta」は三菱電機の液晶超解像度エンジン「ギガクリア・エンジン」を技術供与して生まれたブランド。ああ、もう10年も経つんだと感慨深いところがあります。会場には当時の基板も展示されていました。
新製品はいくつかあります。最近は白パソブームを受け、白いペリフェラルに注目が集まっています。そこでGigaCrysta初の白いモニター「LCD-GD242UDW」を紹介(参考出品)。また、27インチのディスプレイで視覚的に集中させる枠を表示させて24インチ相当に縮小するフォーカスモードを備えた「LCD-GCQ271UD」も展示していました。
そのほか、Mini LEDを使った新製品「LCD-LDQ271JAB」(が、正確には法人向け製品でGigaCrystaブランドではないですが、ゲーミングでも十分使えるスペックです)も展示されていました。
他社のFPS向け製品ではあえて画面に集中させるために広額縁にしている製品もあるので、効果が期待できそうです。「ゲーム用に24インチモニターを買えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、ゲームだけをするわけではないので、普段の作業では表示を大きく使うというのもアリでしょう。
……そういえば、昨年新キャラクターとともに有機ELディスプレイも検討すると言ってた気がしますが、今年はどちらも影も形もなしでした。
Google Playはダイヤモンド城を実施。VIP会員の優遇ぶりにはビックリ
個人的に毎年気になっている「Google Play」は、オリジナルゲーム「ダイヤモンド城」を中心にブースを構築。ゲーム自体は自動でスクロールする画面に負けないように上に登っていき、宝箱を開けてポイントを稼ぐというものです。
ほかにドット絵ギャラリー、最新スマホ(Pixel/Galaxy)、現在β提供中のGoogle Play Games(パソコンでスマホゲームをプレイ)の体験、うちわの配布とそれを指定ブースで提示するとステッカーがもらえるようになっていました。
Google Play Pointsのステータスがプラチナ/ダイヤモンドのVIP会員向けには、ラウンジを提供して一休み(水と椅子あり)できるスペース、比較的丈夫なショッパーバッグの提供、Google Play Gameの優先レーン提供を行っていました。
ちなみに、Google Play Pointsは、Google Playにおけるポイントプログラムで、日本の場合は通常は100円の利用で1ポイントがたまり、ポイントは特典に交換することができます。
ステータスはブロンズからスタートして、250ポイント以上になるとシルバーで100円の利用ごとに1.25ポイント、1,000ポイント以上でゴールドとなり100円の利用ごとに1.5ポイント、4,000ポイント以上でプラチナとなり100円の利用ごとに1.75ポイント、15,000ポイント以上でダイヤモンドとなり100円の利用ごとに2ポイントがもらえるようになります。かつステータスは毎年見直されるので、プラチナスタータスの維持には年間22.8万円を越える利用が必要と、ややハードルが高いものです。
今回のイベントでは、Google Play Gameの体験やアンケート回答でGoogle Play Points 500ポイントがもらえるため「あと少しでステータスアップ」という人には結構魅力的でした。
とはいえ、昨年までのようにド派手なステージというわけではなかったですし、ダイヤモンド城のプレイでアイテムがもらえるのはVIP会員だけなので、もうちょっと普通の人でも特典が得やすいといいなぁと思いました。