Samsungの最新折りたたみスマートフォン「Galaxy Z」シリーズから、今年も横折りの「Galaxy Z Fold6」と縦折りの「Galaxy Z Flip6」が登場しました。先に掲載した「Galaxy Z Fold6」のレビューに続き、フリップスタイルの縦折りスマートフォン「Galaxy Z Flip6」のレビューをお届けします。
ディスプレイサイズは前モデルと変わらず。デザインはシャープに
開くと大画面スマートフォン、閉じるとコンパクトな折りたたみ端末となる「Galaxy Z Flip」シリーズ。タブレットを折りたたむ「Galaxy Z Fold」シリーズに比べると、普通のスマートフォンだけど持ち歩きに便利……ということで人気となっています。
複数のメーカーから同様のスマートフォンが登場しており、ライバルの多いジャンルですが、今回のGalaxy Z Fold6は、ハードウェア面というよりもソフトウェア面での進化が中心となっています。
外観に関しては、Z Fold6と同様、四隅の角が直角になってより直線的なデザインとなり、側面もつや消しになってよりシャープな印象になりました。とはいえ、Z Flip6のサイズはZ Flip5とまったく同等。特に縦折りタイプはライバルが多いため、少し残念なところではあります。
Z Flip5 | Z Flip6 | |
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本体サイズ(閉じた状態) | 85.1 x 71.9 x 15.1mm | 85.1 x 71.9 x 14.9mm |
本体サイズ(開いた状態) | 165.1 x 71.9 x 6.9mm | 165.1 x 71.9 x 6.9mm |
重さ | 187g | 187g |
画面サイズ(閉じた状態) | 6.7型(2640×1080) | 6.7型(2640×1080) |
画面サイズ(開いた状態) | 3.4型(720×748) | 3.4型(720×748) |
次表はZ Flip6と他社モデルのディスプレイの比較。Z Flip5はZ Flip6とサイズ・解像度とも同じです。他社はZ Flipに対して特にサブディスプレイを大型化するなど、Samsungに対して色々な工夫をしているようです。各社の競争が激化して、今後もさらに魅力的な端末が増えそうです。
Z Flip5/Z Flip6 | motorola razr 50 ultra | Xiaomi MIX Flip | ||
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メイン画面 | サイズ | 6.7型 | 6.9型 | 6.86型 |
解像度 | 2,640×1,080 | 2,640×1,080 | 2,912×1,224 | |
アスペクト比 | 22:9 | 22:9 | 21.4:9 | |
サブ画面 | サイズ | 3.4型 | 4.0型 | 4.01型 |
解像度 | 720×748 | 1,272×1,080 | 1,392×1,208 | |
アスペクト比 | 8.7:9 | 10.6:9 | 10.3:9 |
ハイエンドな性能でゲームもAIも
Z Flip5から外観の変化は少ないZ Flip6ですが、SoCは順当にバージョンアップ。Snapdragon 8 Gen 3 for Galaxyを搭載したことで、ゲームを含めたあらゆる作業で快適に動作します。
Z Flip6 | Z Flip5 | ||
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3Dmark | Wild Life Extreme | 4,024 | 3,730 |
PCMark | Work 3.0 | 19,200 | |
GeekBench | Single-Core | 1,544 | 2,023 |
Multi-Core | 6,366 | 5,113 | |
GPU(OpenCL) | 11,678 | 9,365 | |
GPU(Vulkan) | 12,694 | 8,411 | |
GFXBench | マンハッタン3.1 | 4,685 | 4,756 |
マンハッタン3.1オフスクリーン | 7,868 | 5,825 | |
Aztec Ruins OpenGL High Tier | 4,811 | 2,245 | |
Aztec Ruins Vulkan High Tier | 3,792 | 2,514 |
GeekBenchのシングルコアの結果が逆転していますが、これは外れ値かもしれません。また、一部ほとんど差がないテストもありますが、おおむね順当な性能向上となっているようです。
普段、ゲームをしないような人であれば、ハイエンドのスマートフォンが必要ないと感じるかもしれませんが、後述するAIを端末内で処理するオンデバイスAIが広がると、SoCの性能がダイレクトに効いてくるようです。
今後、各社が端末へのAI搭載を重視してくることになると、AI処理性能の高いハイエンド端末が有利になりそうです。
Galaxy AIが新たな使い勝手を実現
ソフトウェア面では、Galaxy AIを搭載した点が最大の特徴です。Galaxy AIは、Samsung独自のAI機能をまとめたもので、オンデバイスとクラウドの処理を組み合わせることで、スピードと機能のバランスを取ってサービスが提供できるようになっています。
オンデバイス処理に限定すれば、プライバシーを担保した状態でAI処理ができます。その代わり、一部の高性能なAI処理は使えなくなる、という形です。こうしたハイブリッドを選択できる点は好感が持てます。
搭載されているのは、通話アシスト、通訳、ノートアシスト、文字起こしアシスト、スケッチアシストなど10種類。これらの機能は同時発売のZ Fold6だけでなく、既存のZ Flip5やGalaxy S24などの端末でも利用できます。
そのため、Z Flip6独自機能というわけではないのですが、例えばレコーダーアプリで録音した音声の文字起こしをする場合、旧機種よりも新機種の方が処理時間は短く済むなど、最新のハイエンド機種の方が快適に使えます。
なお、Galaxy AIの機能については、前述のZ Fold6のレビューで詳しく紹介しています。そちらもあわせてチェックしてください。
Z Fold6と同等のハイエンドカメラを搭載
Z Flip5までのZ Flipシリーズが搭載するカメラは、Z Foldシリーズよりも性能の劣るものになっていました、それがZ Flip6が搭載するは、Z Fold6と同等の性能に引き上げられ、レンズも刷新されています。結果として、Z Flip5のメインカメラに比べると、確かにZ Flip6は画質が改善されているようです。
Z Flip5 | Z Flip6 | |
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有効画素数 | 12MP+12MP | 12MP+50MP |
焦点距離(35mm判換算) | 13mm、24mm | 13mm、23mm |
F値 | F1.8、F2.2 | F1.8、F2.2 |
Z Flipシリーズは、途中まで折りたたんだ状態で自立するため、三脚を使わずに本体を固定して撮影できるというメリットがあります。折りたたみスマートフォンの大きな特徴の1つで、カメラを重視するユーザーにとっては撮影の幅が広がります。
メインカメラの下にあるカバーディスプレイをファインダーとして使えば、インカメラではなく高画質なメインカメラで自撮りができる、折りたたみスマートフォンならではの撮り方もできます。
このあたり、すでに6世代目として完成されてきた感がありますが、画質面でもハイエンドにふさわしいカメラとなって、より使い勝手がよくなりました。
AIとカメラで進化したZ Flip6
Z Flip6は、カバーディスプレイの機能が端末の使い勝手を左右します。大画面化や機能強化で順次使いやすくなってきましたが、相変わらず自由にアプリを追加できない点は気になるところです。
とはいえ、カメラの高画質化やパフォーマンスの向上といった順当な機能改善だけでなく、Galaxy AIによって新たな使い方を実現しているのがZ Flip6です。通訳機能のように自分側の通訳結果をメインディスプレイに、相手側に見せる翻訳結果にはカバーディスプレイを使う……というZ Flipに適した機能もあるのがよく考えられているところです。
初めての折りたたみスマートフォンを検討する人だけでなく、2~3世代前のZ Flipユーザーであれば、性能だけでなくGalaxy AIの快適な動作を含めて買い替えを検討すると良さそうです。前モデルとの差は大きくありませんが、カメラの画質は進化しているため、カメラ重視で検討をしてもいいかもしれません。