Xiaomi(シャオミ)が8月28日に「Xiaomi ロボット掃除機 X20+(以下、「X20+」)」を国内発売しました。市場想定価格は59,800円。水拭き/吸引掃除/モップのお手入れまで自動でできるロボット掃除機ということで、5日間使ってみた印象をレポートします。フローリングが多い部屋に活躍しそうなロボット掃除機です。

  • Xiaomi ロボット掃除機 X20+

    Xiaomi ロボット掃除機 X20+

ロボット掃除機は、掃除機単体の性能だけでなく、充電ステーションの進化も著しいカテゴリーです。吸引掃除した後、ロボット掃除機のダストボックスのゴミを充電ステーションに溜めておくだけでなく、水拭き用のモップを濡らすための水を給水する機能、水拭き後にモップを洗浄する機能などを備えているものが登場しており、5万円台から20万円台のものまで発売されています。

そうした市場の中で「X20+」の市場想定価格は59,800円。かなり手頃な価格といえるでしょう。

4リットルのタンクを搭載。ステーションは高さがある

「X20+」のサイズはロボット掃除機本体が350×350×97mm、Omniステーションが586×427×340mmです。Omniステーションは、モップ洗浄・乾燥(送風)・給水・ゴミ収集を自動で行います。ステーション内のダストパックには、最長75日間分のゴミを溜めることができるため、頻繁にゴミ捨てをしなくてすみます。ただし水タンクがあるため、ステーションは高さがあります。

  • 2リットルペットボトルと比較

    水拭きも吸い込みもできるロボット掃除機と多機能な充電ステーションの組み合わせ。2リットルペットボトルと比較すると大きさがわかります

  • ステーション内のダストパック

    ダストパックは75日分のゴミを溜められます

ステーションには、モップを濡らしたりモップを洗浄したりするのに使うきれいな水をいれておくタンクと、モップを洗ったあとの汚れた水をためる汚水タンクをセットできます。タンク容量は4リットルなので、たっぷり水をいれておけます。

  • 2つのタンク

    タンクが2つ。汚水を溜めるのが左の黒いタンク

  • 浄水のタンク

    きれいな水をいれておけるタンク。容量は4リットル

  • 背面の電源コード

    電源コードはステーションの背面に差し込みます

続いて、ロボット掃除機本体をみていきましょう。天面に電源ボタンとホームボタン、LDSレーザーセンサーを備え、天面のカバーを開けると、中にダストボックスが収まっています。フロント部分にはラインレーザーセンサーを搭載。簡単に説明すると、天面のセンサーで間取りを把握し、フロント部分のセンサーが障害物を認識する役割をしています。

  • LSDセンサー

    屋内の環境を360度スキャンするというLDSセンサー

  • 障害物センサー

    フロントの黒い部分に障害物を認識するセンサーを備えています

  • ダストカップ

    天面カバーの中にはダストカップ

裏面をみていくと、サイドブラシが1つ、そして吸引部分に回転ブラシを備えています。さらに水拭き用のモップパッドを2つ取り付けます。

  • 本体裏面

    サイドブラシは1つ。メインの回転ブラシとあわせて汚れを吸い込みます

  • モップパッド

    モップパッドは厚みがあり、しっかり汚れを落としてくれそうな安心感があります

アプリで細かい設定が可能。ステーションのセルフクリーニング機能もあり

操作・設定にはスマホアプリを使います。このアプリはロボット掃除機専用ではなく、シャオミの他の製品も一元管理できます。シャオミは室内カメラやペットの自動給餌器など、さまざまなIoT機器を取り扱っており、それらを1つのアプリで管理できるため、煩雑にならず便利だと思います。

  • 管理アプリ

    管理アプリではシャオミのほかの機器も管理できます

アプリを使うと動作をかなり細かく設定ができます。例えば、モードは、「掃除機がけ」「掃除機がけとモップがけ」「モップがけ」「モップがけの前に掃除機がけ」の4つから選べます。水拭きと吸引掃除を別々に設定できるだけでなく、吸引掃除をしたあとに水拭きをする設定ができるので、汚れ具合や掃除にかけられる時間によって設定ができます。モップがけの水出力のレベルも3段階で設定できます。我が家の場合はレベル1でちょうどよかったです。

  • アプリの掃除モード設定

    アプリで掃除のモードを細かく設定できます

  • 水拭きのあと

    水拭きレベル時の水の量を調節する水出力。写真はレベル1で掃除したところ。全体の掃除がおわる頃には自然乾燥していました

本機は、モップを水に浸して回転させて洗う機能も備えています。モップを洗った後は自動的に送風乾燥を行ないますが、その乾燥の時間も、2時間から12時間の間でアプリから設定可能です。さらに、ステーションのセルフクリーニング機能を備えている点もポイントが高いです。

雑巾掛けで考えると、雑巾をすすいだ後のバケツや水の汚れが気になりますよね。本機は自動でステーションをキレイにできるので、清潔に保てるというわけです。

モップパッドトレイでモップをこすり洗いします。さらに、ステーションのセルフクリーン機能を使うと、水がパッドトレイに溜められるので、布などを使って自分でキレイにします。汚れた水は3分後に自動で排水される仕組み

  • アプリのセルフクリーン機能についての画面

    セルフクリーン機能の使い方はアプリで案内されています

  • アプリの乾燥時間設定画面

    モップの乾燥時間も設定が可能

水拭き後のモップは衛生面が気になりますが、自分で洗うと手間なので、自動でお手入れしてくれるのは便利。しかもステーションまでキレイにできるのはうれしいところです。水拭き機能を使うハードルがぐっと下がります。ちなみにモップを濡らす時/モップを洗う時には水の音がするほか、乾燥中はジーッという音がします。

モップのクリーニング時の音。しっかり洗っていることが分かります

モップのクリーニング時の音。しっかり洗っていることが分かります

  • 汚水タンク

    モップなどの手入れの後は汚水タンクに水が残るので捨てましょう。けっこう臭いがします

ダストボックスのゴミをステーションに吸引するときも音がします。この集じんの設定もアプリでできるので、ステーションに戻るたびに吸引することもできますし、在宅時に吸引の音が気になるのならば自動集じん設定をオフにすることもできます。

このほか、部屋ごとの掃除の設定のほか、進入禁止エリアの設定/スケジュール設定/カーペットエリアの設定/エリアの分割・結合も可能。こうした細かいアプリの設定ができるのはIoT機器やスマホを扱っているシャオミらしいところではないでしょうか。

2つのモップでフローリングがサラサラ

「掃除機がけとモップがけ」を同時に行うモードで掃除をする様子を紹介します。微細なゴミの疑似ゴミとして重曹をまいて掃除をしてみました。重曹がフローリングに残っていると、裸足で歩いた時にザラザラするはずですが、掃除後の床はさらりとしていました。フローリングの溝には少し重曹が残っていましたが、表面にはザラザラ感はありません。溝に残った重曹も、もう一周させるとキレイになりました。

重曹をまいて掃除をしてみました。結構ボリュームを持たせてまいたところもしっかり吸い込んでいます

アプリでゾーン分けしたエリアを指定して掃除ができるのも便利なところ。日中は家全体を掃除して、食事の後はダイニングテーブルまわりのみを掃除したり、ホコリなどが気になる時は玄関周りだけを掃除したりと、目的に合わせて短時間でキレイにできます。

また、しばらく床掃除をした後は、掃除途中で一度ステーションに戻り、モップパッドを洗ってから掃除の続きをします。汚れたモップのまま部屋を掃除をすることがないので、安心でした。

基本的にロボット掃除機が入り込める場所には入り込んで掃除をするので、ダイニングテーブルの下など家具の脚がある隙間も、いろいろな角度から侵入を試みていました。

  • 掃除のルートの記録

    掃除の途中でモップを洗いに戻るので、汚れが再付着する心配がありません。上の画面は、掃除中にモップパッドのクリーニングをしているときのアプリ画面

  • ダイニングテーブルの下を掃除する様子

    ダイニングテーブルの下も、椅子の脚の間に入り込んで掃除します

本が床に置いてあっても避ける。家具への当たりは柔らかい

フロント部分のセンサーが障害物を認識するので、いろいろなものを床に置いて回避の様子を観察してみました。

説明書を読むと「電源コードや小さなおもちゃなどは本製品に巻き込まれる可能性があるため、事前に片付けておいてください」とあります。試しに、iPhoneの充電ケーブルやPCの電源コードなどを床に置いたまま掃除をしてみたところ、上手に押して道を作って回避するときもあれば、コードを乗り越えることもあり、完璧な回避は難しそう。コード類は片付けておくか、進入禁止エリアに設定しておくのが安心だと思います。また、1枚紙も巻き込んでしまうことがあったので、薄いもの・小さいものも片付けたほうがよさそうです。

「濡れないといいな……」と思いつつおいてみた書籍やぬいぐるみは、ちょっと離れた位置で回避。そのため水拭きの影響を受けません。靴下も巻き込まずに回避していました。

書籍は認識して回避していました

  • ぬいぐるみを回避

    ぬいぐるみも少し間を開けて回避

ロボット掃除機を使っていると、家具などの障害物にガンガンぶつかっていくのが気になることがありますが、本機は障害物にぶつかるまで突進したりせず、当たりは柔らかです。また、障害物などに触れても優しく動きながら様子をみていきます。こういう優しい動きは、人がいないときに動かしても安心感があります。

一方で、壁や段差がある箇所は、少し余裕を持って掃除をするためなのか、壁際などに汚れが残ることもあります。このあたりは、上手な設定や使い方をメーカーの方に伺ってみたいです。

モップは自動的に7mmリフトアップします。このため、「カーペットの厚さが5mmを超える場合はカーペットを回避」の設定がオススメとのこと。また、モップパッドを外してスタートすると、自動的に吸引掃除のみを行います。

バスマット(厚さ4mm程度)を敷いたままの場所を掃除したところ、モップがマットに触れて濡れてしまうことがあったので、我が家ではアプリで設定をして掃除をすることにしました。和室を走らせて観察したところ、モップがちゃんと持ち上がり、畳を濡らさずに吸引掃除をしてくれました。その一方、ラグ(厚さ10mm程度)は濡れてしまうことがあったので、そういった場所を掃除するときはモップを外すか、乾いた状態のモップで掃除をするのが安心だと思います。そういう場合には、水拭き/吸込み掃除をアプリで別々に設定できる点が役に立ちました。

ラグの上のゴミの吸込みはよく、微細なゴミ(重曹)も、ちょっと大きめのゴミ(ネコ砂)もキレイになっていました。

  • ラグの上の掃除

    ラグの上に重曹とネコ砂をまいて掃除。ちょっと毛足が長めですがキレイになりました

  • 水拭き時/リフトアップ時のモップの様子

    右が水拭き中のモップ、左がリフトアップしたモップ

ほどよく手間をかけられる人向き。フローリングメインの家にオススメしたい

5日間使った感想としては、全部お任せというより、ほどよく手間がかけられる人向きという印象。

タンクに水を入れたり汚水を捨てたりする必要はありますが、給水/モップの洗浄/乾燥をお任せにできるのはとっても手軽。ゴミ捨ても75日間不要で、掃除の手離れがいいところも魅力です。そして家具の間にもちゃんと入り込んで掃除をしてくるのは頼もしいところ。アプリで細かい設定ができるので全体を掃除したり、気になる時にサッと掃除したり、目的に合わせて使えます。モップもしっかりしているので、ちょっとした食べこぼしもスッキリ拭き上げます。

一方で、壁際や段差際にゴミが残ったときに追加で掃除をしたり、ロボット掃除機を動かす前にコード類やおもちゃ類などを避けたり、必要に応じてステーションをお手入れしたりする手間があります。また、メインブラシに髪の毛が巻き付いたり、長い髪の毛がステーションに吸引しきれずにちょっと残ってしまうこともあるため、手入れの手間もあるでしょう。また、乾燥が温風ではない点も気になる人がいるかもしれません。

こうした注意点はあるものの、全体としては掃除の行程を大幅に減らす頼もしい存在です。しかも6万円を切る価格は魅力的。水拭きありのロボット掃除機を初めて購入する人や、シンプルなロボット掃除機からちょっとランクアップしたいという人にも、気になるアイテムではないでしょうか。水拭きの快適性を実感するためにも、フローリングメインの家で使ってみてほしいです。