レノボ傘下で再始動した新生FCNTから、arrows We2シリーズが登場しました。今回は上位モデルの「arrows We2 Plus」をお借りして試用したので、レビューをお届けします。
軽量で扱いやすく丈夫なボディ
まずは外観から見ていきましょう。カラーバリエーションは「スレートグレイ」「シャンパンシルバー」の2色で、本記事で使用している端末はスレートグレイとなります。
画面サイズは6.6インチで、解像度は2,400×1,080(フルHD+)144Hz対応でブルーライト低減機能も備えた有機ELディスプレイです。大きめの画面とあわせてDolby Atmos対応のステレオスピーカーも搭載しており、動画コンテンツも楽しみやすい端末です。
本体サイズは約162×75×8.5mm。外装は背面・側面ともにプラスチック製ということもあり、約182gと大きさの割に軽量で扱いやすく仕上がっています。光沢を抑えサラサラとした手触りの塗装で、汚れや細かな傷も目立ちにくそうです。
丈夫で長くきれいに使える耐久性もarrowsらしいこだわりのポイント。IP68相当の防塵・防水性能はもちろん、耐衝撃などMIL規格23項目に準拠。ハンドソープでの丸洗いやアルコール除菌もOKです。
長く使えるつながりで、バッテリーの劣化を抑える工夫もうれしいところ。バッテリー容量は5,000mAhと多めで元々の電池持ちそのものも良好ですし、前作の「arrows N」に続いてQnovo社と共同開発した電池劣化抑制技術を採用しており、4年使っても初期容量の80%を維持できるとされています。
おなじみの機能も新機能も独自色が光る
そして充実した独自機能の数々も、体制は変わってもarrowsらしさを色濃く残している部分といえます。
代表的なものをいくつか紹介すると、まず「Exlider」の復活は過去のarrowsユーザーなら気になるところでしょう。指紋センサー(側面の電源ボタンに内蔵)をスワイプして画面をスクロールできる機能で、SNSのタイムラインやWeb記事を読む際など、短い移動距離で画面をさえぎらずに続きを読めます。また、Exliderではダブルタップで画面を拡大(ズーム)することもできるのですが、通常の操作では拡大できない場面でも使えることが多いので、少し画面が見づらくなってきたという方にも重宝されると思います。
おなじみの機能が復活したというところで言えば、Exliderのほかにも、ATOKの独自カスタマイズ版である「Super ATOK ULTIAS」、画面ロックを解除する前に素早く録音やメモを取れる「FASTメモ」、見せたくないアプリや通知・着信を制御できる「プライバシーモード」などをしっかり盛り込んでいるのも、歴代機種を愛用してきたユーザーのニーズに応えているところです。
新機能としては、「自律神経パワー」なるものを測れる機能が加わりました。背面カメラ下に搭載された光学式脈拍センサーに指を当ててしばらく待つと自律神経の活性度と交感神経・副交感神経のバランスを測定し、自分で気付きにくい健康状態の変化を知る一助になるというものです。
クイック測定モードで2分・高精度測定モードで4分と指を一定の位置に置いたまま待つ時間としてはかなり長いこと、馴染みのない数値でいまひとつ参考にしづらいことが気になりますが、毎日続けていくうちに何かが見えてくるのかも。本機種は特定の年齢層をターゲットにしているわけではありませんが、arrowsシリーズ全体の傾向として中高年のユーザーは多いですし、ユニークな健康習慣のひとつとして受け入れられそうです。
Snapdragon 7s Gen 2搭載で性能的にもコスパは悪くない
arrows We2 Plusの主な仕様は以下の通り。
- OS:Android 14(最大3回アップデート)
- SoC:Qualcomm Snapdragon 7s Gen2
- メモリ(RAM):8GB/12GB
- 内部ストレージ(ROM):256GB
- 外部ストレージ:microSDXC対応(最大1TB)
- ディスプレイ:6.6インチ 2,400×1,080(フルHD+)有機EL
- アウトカメラ:約5,010万画素 1/2.7インチ F1.8(広角)+約800万画素 1/4インチ F2.2(超広角)
- インカメラ:約1,610万画素 1/3.1インチ F2.45
- 対応バンド(5G):n1/n3/n28/n41/n77/n78/n79
- 対応バンド(4G):1/2/3/4/5/7/8/12/18/19/21/28/38/39/40/41/42
- SIM:nanoSIM/eSIM
- Wi-Fi:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6)
- Bluetooth:5.2
- バッテリー:5,000mAh
- 外部端子:USB Type-C(USB 3.1 Gen 1)、3.5mmイヤホンジャック
- 防水/防塵:IPX5、IPX8/IP6X
- 生体認証:指紋認証/顔認証
- その他の機能:NFC/FeliCa、FMラジオ対応
- サイズ:約162×75×8.5mm
- 重量:約182g
SoCはSnapdragon 7s Gen 2を採用しており、メモリは通常モデルが8GBでIIJ限定モデルが12GB。今回のレビューにはIIJ版を使用しています。
最近のQualcomm製SoCのネーミングについておさらいしておくと、「8がハイエンド、7がミドルハイ、6がミドルレンジ」という大枠は従来通りですが、各シリーズ内で「+が付いたらそのシリーズの中で上位寄り、sが付いたら下位寄り」と細分化されています。つまり本機種に搭載されているSnapdragon 7s Gen 2は「ミドルハイの7シリーズだけど下位(ミドルレンジ)寄り」という位置付けのSoCです。
実機でベンチマークテストを行ってみると、Geekbench 6のCPUベンチマークはシングルコア1,025点/マルチコア2,852点で、3DMark(Wild Life)のGPUベンチマークは3,008点でした。
ミドルの6シリーズの中で比較的新しいSnapdragon 6 Gen 1(AQUOS sense8やXperia 10 VIなどに採用)と比べると、CPUスコアはほぼ変わらず、GPUスコアは2割程度高いかという程度ですので、従来の7シリーズからイメージするようなハイエンドに迫るパフォーマンスを求めると期待外れかもしれませんが、直接競合する他社のミドルレンジスマートフォンと比べても価格・性能のバランスは悪くなく、独自機能などの付加価値で十分選ばれ得る範囲に入っているでしょう。
arrows We2 Plusの価格はドコモ版で62,150円、楽天モバイル版で49,900円、SIMフリー版の家電量販店における実勢価格は59,950円。IIJmioではメモリを8GBから12GBに増量したモデルを販売しており、こちらは通常価格54,800円/MNP特価36,800円(10月31日まで)です。
販路によって価格や割引の差はありますが、総じてミドルレンジからミドルハイの域に一歩踏み込んだ内容の機種としてはお買い得感のある価格設定です。特に、メモリを強化しながら普通のSIMフリー版よりも安いIIJ限定モデルは狙い目と言えます。