◆PCMark 10 v2.1.2701(グラフ5~10)
PCMark 10 v2.1.2701
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
ではもう少し広範なベンチマークという事で、まずはPCMark 10を。Overall(グラフ5)を見るとEssential~Extendedでは割とRyzen 9000系が有利ではあるのだが、Applicationは逆にちょっと落ち込み気味になっているのが不思議である(Ryzen 7 7600Xが妙にスコアが高いのも謎)。
Test Group(グラフ6)で言えば、強いて言えばRyzen 7 7800X3Dが(動作周波数が低い事もあって)やや性能が下の方になるが、それ以外は大差ない印象である。実際Essential(グラフ7)もRyzen 7 7800X3D以外は差が無いし、Productivity(グラフ8)もそんな印象。ただSpreadsheetのスコアがRyzen 9000系だけ伸びているのはちょっと不思議である。生データを確認してみたが、特に何か特定の処理が高速という訳ではなく、どの処理も満遍なくRyzen 7000系に比べて処理時間が短くなっており、この辺りはIPC向上の効果が出やすかった、ということかもしれない。Digital Contents Creation(グラフ9)も、ほぼ動作周波数の比ではあるのだが、処理的にはMax BoostというよりはBaseに近いところで動作していると思われ、となると動作周波数的にはRyzen 9000シリーズはむしろ落ちている筈なのに、性能が上がっているという辺りは、やはりコア更新の効果であろう。
最後がOffice Applicationでのテスト(グラフ10)なのだが、WordとかEdgeはともかく、ExcelとPowerPointで妙にRyzen 9000系の落ち込みが激しい。試しにExcelでのテスト結果を抜き出したのが表2であるが、なぜかExcelStart(Excelの立ち上げ)だけが他に比べて1秒以上遅くなっており、これがスコアに悪影響を及ぼしたものと思われる(逆にその他の処理は言うほど遅くない)。これはPowerPointも同じで、やはりPowerPointStartが1秒ほど他より遅くなっているのが原因である。何故これが起きるかは謎だが、とりあえず立ち上げてしまえばあとは他と遜色ない性能であることが判ったのは一安心である。
■表2 (処理時間:単位はsec) | |||||
Ryzen 5 7600X | Ryzen 5 9600X | Core i5-14600K | Ryzen 7 7800X3D | Ryzen 7 9700X | |
---|---|---|---|---|---|
BuildingDesign Recalculate |
0.317 | 0.287 | 0.217 | 0.271 | 0.250 |
Close | 0.188 | 0.209 | 0.180 | 0.207 | 0.218 |
CopyCompute1 | 0.162 | 0.185 | 0.150 | 0.198 | 0.174 |
CopyCompute2 | 0.105 | 0.152 | 0.112 | 0.161 | 0.124 |
CopyData | 0.113 | 0.144 | 0.108 | 0.146 | 0.134 |
CopyFormulas | 0.103 | 0.127 | 0.095 | 0.123 | 0.122 |
Edit | 0.592 | 0.569 | 0.581 | 0.590 | 0.572 |
Load | 0.948 | 0.857 | 0.855 | 0.985 | 0.856 |
Resize | 0.365 | 0.368 | 0.288 | 0.382 | 0.399 |
Save | 0.481 | 0.477 | 0.492 | 0.539 | 0.471 |
Start | 0.333 | 1.321 | 0.309 | 0.357 | 1.336 |
StockHistory Recalculate |
0.742 | 0.724 | 0.434 | 0.617 | 0.615 |
◆Procyon v2.8.1207(グラフ11~14)
Procyon v2.8.1207
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/procyon
次はProcyonであるが、又もや色々動かない(今回で言えばPhoto EditingとVideo EditingのBatchが途中で止まる)ということで、Office ProductivityとAIのみの結果をご紹介する。ちなみに最新版はv2.8.1251で、あるいはこれが問題の修正版の可能性はあるのだが、ちょっとテストをやり直す時間は取れなかった。
ということでまずグラフ11がOverallである。Office Productivityはまぁ穏当な結果、AIはやはりRyzen 9000シリーズ優位という感じである。
Office Productivityの内訳(グラフ12)であるが、こちらは幸い(?)ExcelStartとかPowerPointStartの様なテスト項目がない事もあり、飛び抜けて値が違うというような項目もなかった。総じて今回の5つのCPU、どれも大差ないという感じの結果であるが、そもそもOffice Productivityの様な処理でCPU性能がそこまで大きく効くという事は考えにくいので、これは妥当な結果だと思われる。
一方AI、今回はInference Countを示した(グラフ13)が、テスト毎に結果が違い過ぎて判りにくいので、Ryzen 5 7600Xの結果を100%とした相対性能で示したのがグラフ14である。一番下に幾何平均をまとめてあるが、Ryzen 5 9600Xで45%、Ryzen 7 9700Xで63%の性能向上というのは、やはりIPCの向上が上手く作用した事よりもAVX512の性能が倍になった事が関係しているのだと思われる。実際IPCの向上だけでは説明が付かない性能アップとして良いかと思う。
◆GeekBench ML 0.60(グラフ15~18)
GeekBench ML 0.60
Primate Labs Inc.
https://www.geekbench.com/ml/
もう一つAI系ということで、GeekBench MLも実施してみた。グラフ15がOverall Scoreであるが、やはりRyzen 9000系がかなり有利なスコアである。ただGeekBench MLはOpenVINOを利用している事もあり、AVX512-VNNIだけでなくAVX2-VNNIもちゃんと利用して動作することもあってか、Core i5-14600Kでもそれなりに性能が伸びている。グラフ16~18がデータ型別の推論性能の比較であるが、全般を通してやはりRyzen 9000系が有利なのが見て取れる。
ちなみに結果を見ると、BF16とFP32で結果があまり変わらない事に気が付く。これは生データを見てもそうで、OpenVINOの内部的にはBF16もFP32と同じ形で扱っているのでは? という気もしなくもないのだが、その辺はちょっと確認出来ないのが残念である。
◆3DMark v2.29.8282(グラフ19~21)
3DMark v2.29.8282
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark
先日の3DMark Steel Nomadのレビューの際に書いたように、そろそろFireStrikeはあまり現実的ではないので、今回からテストから外している。
で、まずはOverall(グラフ19)であるが、NightRaidとWildLifeのみCore i5-14600Kが高く、逆にRyzen 7 7800X3Dが妙に低い結果になっているが、これは既知の事実なので省く。すると概ね大差ないというか、まぁCPU性能差が殆ど見られない結果となる。これはGraphics Test(グラフ20)も同じである。それにしてもNightRaidはともかくWildLifeまでこういう特性が出るあたりは、これDirectX 11に絡むとこういう結果が出やすいということだろうか?グラフ21はCPU Testの結果(FireStrikeを省いた結果、Physics Testは無くなった)であるが、ここでもCore i5-14600Kが高いスコアを出している。ただRyzen 9000系もそれなりに性能が出ており、Ryzen 7000系よりBase Frequencyが落ちているのに性能は同程度以上というのはなかなか良い感じだと思う。