新型ゲーミングスマートフォン「REDMAGIC 9S Pro」が8月5日に発売されます。7月25日12時から先行予約販売がスタートしており、先行予約期間中(~8月5日11時59分)までの購入であれば、本体が4,000円引きとなるほか、周辺機器の割引も受けられます。

  • 新型ゲーミングスマホ「REDMAGIC 9S Pro」。前作のREDMAGIC 9 Proから、CPU性能や冷却システムが強化されたマイナーチェンジ版となる

    新型ゲーミングスマホ「REDMAGIC 9S Pro」。前作のREDMAGIC 9 Proから、CPU性能や冷却システムが強化されたマイナーチェンジ版となる

今回は、発売に先駆けて新モデルの実機を試用することができたのでレビューをお届けします。

前作「REDMAGIC 9 Pro」からどう進化した?

REDMAGIC 9S Proは、1月に発売された「REDMAGIC 9 Pro」のマイナーチェンジ版にあたります。主な違いとしては、SoCが「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 Leading Version」に変更され、通常のSnapdragon 8 Gen 3よりもCPUクロックが高い特別仕様となったほか、高負荷時の性能維持のカギとなる独自の冷却システムがICE 13から「ICE 13.5」にバージョンアップされました。

ICE 13.5については、最大22,000rpmの冷却ファンと熱伝導効率を20%向上させた「フロスト冷却ジェル」を組み合わせたもので、REDMAGIC 9 Proと比べてCPU温度を1.5℃下げられると説明されています。

  • スマートフォンでは珍しい冷却ファンが搭載されている(オレンジ色のLEDイルミネーションが点灯している部分)

    スマートフォンでは珍しい冷却ファンが搭載されている(オレンジ色のLEDイルミネーションが点灯している部分)

  • 非使用時は画面下に隠れるアンダーディスプレイカメラ(UDC)を採用

    非使用時は画面下に隠れるアンダーディスプレイカメラ(UDC)を採用

まず外観から見ていくと、ロゴなど細部のデザインを除けば基本的には9 Proと同様です。角ばったフォルムの本体に、アンダーディスプレイカメラ(UDC)の採用によってインカメラを隠して画面の隅々まで妨げなく映像に集中できる6.8インチの大画面、そしてカメラ周りの突起がなく音楽ゲームなど机に置いてプレイするシーンでもガタつかないフラットな背面デザインなどの特徴をそのまま引き継いでいます。

カラーバリエーションは容量によって異なり、メモリ12GB+ストレージ256GBモデル(122,800円)は黒系のSleetと白系のFrostの2色(Frostは8月下旬発売予定)、16GB+512GBモデル(152,800円)は黒系で背面が透明のCycloneとシルバーで同じく背面が透明なSnowfallの2色となります。4色のうち、Frostは9 Proには用意されていなかった新色です。

  • 画面サイズは6.8インチで、最大輝度は1,600nits。リフレッシュレートは最大120Hz、タッチサンプリングレートは常時最大960Hz/瞬時最大2,000Hzとゲーミングスマートフォンらしいスペック

    画面サイズは6.8インチで、最大輝度は1,600nits。リフレッシュレートは最大120Hz、タッチサンプリングレートは常時最大960Hz/瞬時最大2,000Hzとゲーミングスマートフォンらしいスペック

  • 側面には電源キーや音量キーのほか、ショルダートリガーや排気口が並ぶ

    側面には電源キーや音量キーのほか、ショルダートリガーや排気口が並ぶ

  • 遅延を嫌うシーンも想定し、有線イヤホンにも対応

    遅延を嫌うシーンも想定し、有線イヤホンにも対応

  • 外観はREDMAGIC 9 Proとほぼ同様だが、ロゴ類が若干異なる

    外観はREDMAGIC 9 Proとほぼ同様だが、ロゴ類が若干異なる

  • 付属ケースは背面と上下だけを覆い、側面が空いたコの字型

    付属ケースは背面と上下だけを覆い、側面が空いたコの字型

REDMAGIC 9S Proの主な仕様は以下のとおりです。

  • OS:REDMAGIC OS 9.5(Android 14ベース)
  • SoC:Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3 Leading Version
  • メモリ(RAM):12GB/16GB
  • 内部ストレージ(ROM):256GB/512GB
  • 外部ストレージ:非対応
  • ディスプレイ:6.8インチ 2,480×1,116(20:9)有機EL リフレッシュレート最大120Hz
  • アウトカメラ:広角5,000万画素+超広角5,000万画素+マクロ200万画素
  • インカメラ:約1,600万画素 アンダーディスプレイカメラ(UDC)
  • 対応バンド(5G):n1/n3/n28/n41/n77/n78
  • 対応バンド(4G):1/3/5/8/18/19/26/28/34/41/42
  • Wi-Fi:Wi-Fi 7対応
  • Bluetooth:5.3
  • バッテリー:6,500mAh
  • 急速充電:最大80W(専用充電器付属)
  • 外部端子:USB Type-C、3.5mmステレオミニジャック
  • 生体認証:画面内指紋認証、顔認証
  • サイズ:約163.98×76.35×8.9mm
  • 重量:約229g

試用機は上位構成の16GB+512GBモデルでした。以前執筆したREDMAGIC 9 Proのレビュー記事でも同じく16GB+512GBモデルを用いて評価したので、ベンチマークスコアを比べてみましょう。

Geekbench 6によるベンチマークスコアは、CPUがシングルコア2,261点/マルチコア6,978点でGPUが15,825点。前回計測したREDMAGIC 9 ProではCPUシングルコア2,160点/マルチコア6,875点/GPU14,751点でした。3DMark(Wild Life Extreme)でも同様に、5,198点から5,500点と若干のスコアアップが見られました。

興味深いのは、最大クロックの引き上げ(3.3GHz→3.4GHz)が行われているCPUよりも、むしろチップレベルでの性能は変わっていないはずのGPUの方こそスコアが伸びている点です。Snapdragon 8 Gen 3 Leading Versionと通常版の違いは気にするほどのものではなくとも、REDMAGIC 9S Proの冷却システムの強化は効果的で、前作以上にSnapdragon 8 Gen 3本来の性能を引き出せているのでしょう。

  • Geekbench 6のベンチマークスコア

    Geekbench 6のベンチマークスコア

  • 3DMarkのベンチマークスコア

    3DMarkのベンチマークスコア(デバイス名は9 Proと判定されてしまっているが9S Proで計測したもの)

  • PCMark for Androidのベンチマークスコア

    PCMark for Androidのベンチマークスコア

今回は試用時期にちょうどリリースされたHoYoverseの新作『ゼンレスゾーンゼロ』を中心に遊んでみましたが、動作は快適そのもの。単に最新のSoCを搭載しているというだけではなく、優秀な冷却システムによってハイパフォーマンスを長時間維持できること、ディスプレイにインカメラや角丸などの余計な切り欠きがなく映像への没入感が高いことなども含め、ゲーム体験を重視してAndroidスマートフォンを選ぶなら現状トップクラスのポテンシャルを持つ機種のひとつです。

ソフトウェアの面でも、ゲーム専用のもう一つのホーム画面のようになるランチャー機能「ゲームスペース」やゲーム中にいつでも呼び出せて各種設定を変更できるメニュー、充電ケーブルをつなぎっぱなしでもバッテリーに負荷をかけず外部電源で直接駆動できる「充電分離」機能、外部映像出力やキーボード/マウスでのプレイを想定した設定項目など、かゆいところに手の届く充実した支援機能がそろっています。

  • ゲームスペース。本体側面の赤いスイッチをスライドさせるとこの画面に切り替わる

    ゲームスペース。本体側面の赤いスイッチをスライドさせるとこの画面に切り替わる

  • ゲーム中にいつでも呼び出せる設定メニュー

    ゲーム中にいつでも呼び出せる設定メニュー

  • プラグインも色々。画像の「Free display」はあえて黒帯を入れてアスペクト比を調整できる機能で、20:9と細長い本機ではバランスが崩れてしまう古めのゲームなどにも対応できる

    プラグインも色々。画像の「Free display」はあえて黒帯を入れてアスペクト比を調整できる機能で、20:9と細長い本機ではバランスが崩れてしまう古めのゲームなどにも対応できる

普通のスマホとしての使い勝手はどう?

最近のゲーミングスマートフォンを巡る市場動向としては、一時期ほど純粋にゲームに特化した製品ばかりではなく、ライバル機種であるASUSのROG Phone 8シリーズに代表されるように、通常のハイエンドスマートフォンに寄せて普段使いも意識した路線にシフトしつつあります。

そのなかでREDMAGIC 9/9S Proはストイックにゲーミングスマートフォン本来のあり方を堅持しており、ゲーマー視点で余計なものがなく、それゆえに最新のハイエンドなモバイルゲーミング性能を比較的割安に得られることも美点です。

とは言っても10万円を超える価格帯の製品ではありますから、よほど気合いの入ったゲーマーでなければ「ゲーム専用」として扱うとは限らず、実態としては普通のスマートフォンとしての普段使いもするユーザーが多いでしょう。マイナーチェンジ前後で2度目の試用ということで、今回は趣向を変えてそのあたりも考えながら使ってみました。

  • 普段使いのスマートフォンとしてはどうか

    普段使いのスマートフォンとしてはどうか

  • ユーザーインターフェース

    ユーザーインターフェース

  • 大画面の操作補助に役立つ機能もいくつかある

    大画面の操作補助に役立つ機能もいくつかある

結論としては、大きく角ばったボディ形状やハイエンドレベルまでは行かないカメラ性能を許容できるなら、デイリーユースにも問題なく快適に使えそうです。

圧倒的な処理速度の速さはもちろん、充電周りなどは普段使いでも恩恵を受けられるポイントです。6,500mAhの大容量バッテリーを採用しており電池持ちも良いですし、最大80Wで約35分という急速充電も便利でした。

また、前回よりも暑い時期に試用したことで、夏場にはもはや冷却ファンはゲーム以外でも有効な装備だと実感しました。たとえば屋外で地図アプリを確認しながら移動するような、画面に直射日光を受ける状況では特に一般的なスマートフォンとの違いを感じました。

  • 6,500mAhの大容量バッテリーを搭載し、80Wの急速充電に対応

    6,500mAhの大容量バッテリーを搭載し、80Wの急速充電に対応

  • 冷却ファンはゲーム中に限らず動作する。急速充電中や屋外でも頼れる装備だ

    冷却ファンはゲーム中に限らず動作する。急速充電中や屋外でも頼れる装備だ

カメラに関しては、ゲーミングスマートフォンの本質として重視される要素ではありませんし、背面をフラットにすることを優先したというデザイン上の理由もあり、もちろん同価格帯の一般向けのスマートフォンと比べれば控えめな性能です。ただ、1インチセンサーや望遠レンズのようなスペースを取る装備こそないものの、素性は悪くなく、基本的なシーンでは十分きれいに撮れる印象でした。

高度なカメラ機能や防水、おサイフケータイなどの付加機能をさほど必要としないようであれば、いわゆる「コスパハイエンド」枠の機種(POCO F6 Proなど)と比較検討して選ぶのもありではないでしょうか。

  • メインカメラには、サムスン製の5,000万画素1/1.57型イメージセンサー「ISOCELL GN5」を採用

    メインカメラには、サムスン製の5,000万画素1/1.57型イメージセンサー「ISOCELL GN5」を採用

  • メインカメラで撮影(1倍)

    メインカメラで撮影(1倍)

  • 超広角カメラで撮影(0.6倍)

    超広角カメラで撮影(0.6倍)

  • デジタルズームで撮影(2倍)

    デジタルズームで撮影(2倍)