キャンプなどアウトドアで活躍するポータブル電源(ポタ電)ですが、「使うのはキャンプの時だけ」「ふだんは押し入れにしまっている」というもったいない使い方をしていませんか? ポータブル電源は、万が一の停電時にも頼りになる存在ですが、ふだん押し入れにしまったままでは、イザという時に引っ張り出して「バッテリー残量がない!」「使い方が分からない…」といった困った状況に陥りかねません。

そこでオススメなのが「ポータブル電源を自宅で日常的に使うこと」。USB充電器やACタップ代わりに使えるだけでなく、突然の停電になるとデータが失われるテレビ録画用HDDの保護にも活躍し、確かに便利だと感じました。接続した機器の消費電力が表示されるので、節電の意識も高まります。常に通電しているのでフル充電の状態が保たれ、停電になっても万全の状態で対応できます。最新モデルは4,000回もの充放電に対応する長寿命なので、毎日充放電しても10年は軽く持ちます。バッテリーの消耗を気にする必要は一切ありません!

  • アウトドアレジャー用の機器として考えている人も多いポータブル電源だが、リビングに置いて日常的に使うといろいろ便利なうえ、災害への備えにもなる

ポータブル電源を普段から使うメリットは少なくない

オレンジの差し色のポータブル電源で知られるJackeryは、中堅モデルの新製品「Jackery ポータブル電源 600 Plus」(以下、600 Plus)の発売に合わせ、防災用品と日常用品の垣根をなくし、ポータブル電源を平常時と非常時の両方で役立てよう、という「フェーズフリー」の使い方を提案し、話題を呼びました。

  • Jackeryが4月に販売を開始した中堅クラスのポータブル電源「Jackery ポータブル電源 600 Plus」。ソーラーパネルが付属する2種類のセットモデルを主力に販売する

電源のない屋外でも家電が使えたりスマホが充電できることが評価され、キャンプなどのアウトドアレジャー目的で導入する人が増えたポータブル電源ですが、災害などで停電しても困らないよう防災目的で備える人も増えています。

しかし、ポータブル電源を買ったままの状態で押し入れにしまったり、キャンプから帰ったあとそのまま放置するなど、“特別なことがない限り使わない”のは防災目的の観点ではNG。バッテリー残量が少なくなっていることに気づかないばかりか、初めて開けたので使い方が分からない…ということになりかねません。

そこでオススメなのが、ポータブル電源をふだんの日常生活でガンガン使うこと。常に通電していることでフル充電の状態がキープできるうえ、手持ちの機器に対応したケーブルをあらかじめ準備しておけるメリットがあります。

コンセント不足や停電対策など、さまざまなシーンで活躍

ポータブル電源をリビングなどに設置して日常的に使うにあたって、あまり大きい製品では設置しづらいうえ、存在感がありすぎて目障りになってしまいます。その点、今回試用した600 Plusはサイズがちょうどよく、フェーズフリーの使い方に適した製品だと感じました。

  • 600 Plusの底面積は13インチMacBook Airとほぼ同じでコンパクトだ

まず、それまでUSB充電器を設置していた棚の上に設置してみました。600 Plusの底面積は30×22cmほどあるので、棚の上に置いていたものを片付ける必要はありますが、それほど圧迫感なく設置できました。USB Type-C端子が2つ、USB Type-A端子が1つあるうえ、手元で抜き差しできるAC100V出力2つも追加され、“家族で使える充電ステーション”が爆誕。600 Plusは上部がフラットなので、スマホやタブレット、カメラなど充電するものを置いておけるのも便利だと感じます。

  • このように、スマホやタブレットなどの機器をつないで充電しつつ、周辺にある機器にAC100V出力を供給する充電ステーションとして日々活用できる

  • 手前のパネルには接続した機器に流れる電力が表示され、消費電力が可視化できるのも、一般的なACタップにはないメリット

家庭内でも、コンセントが近くにない場所、常にコンセントの空きがない場所、家具などでコンセントにアクセスできない場所があると思います。そのような“コンセント難民”になる場所に600 Plusを持って行けば、いつでもAC100Vの電力が確保できます。

  • ベランダなどACコンセントが確保しづらい場所でも、電動工具が使える。電動工具は消費電力が数百Wと大きいが、問題なく使えた

個人的にオススメなのが、テレビやレコーダーを設置したテレビボードの近くに設置し、それらの機器を接続すること。もし停電が発生してもポータブル電源から電源が供給されるため、テレビで災害情報が確認できます。テレビに接続した録画用HDDやレコーダー内のHDDも、突然の電源断による機器やデータの破損を回避できます。

  • テレビやレコーダー、ハードディスクなどの機器に常に電源を供給するためにポータブル電源を使うのもアリ

お出かけの際にクルマに持ち運べば、クルマのバッテリー上がりの心配をせず、スマホやタブレットが車内で充電できます。600 Plusの重さは約7.3kgと苦労せず持ち運べる重さなので、アクティブに持ち運んで活用できます。ただ、真夏の車内は驚くほど高温になるため、車内に放置するのは厳禁。クルマを降りてファミレスなどに行く場合は、面倒でも一緒に持って行きましょう。

  • クルマに持ち込めば、シガーソケットに接続するインバーターいらずで電気毛布などAC100V駆動の家電が使えるようになる。クルマのバッテリーに負担をかけずに済み、バッテリー上がりの心配も避けられる

ポータブル電源を日常的に使うとバッテリーの劣化が心配になりますが、600 Plusが搭載するリン酸鉄リチウムイオン電池は約4,000回の充放電が可能なので、毎日充放電しても軽く10年間は劣化を気にせず使えます。スマホアプリでバッテリー節約モードにすると、バッテリーをフル充電ではなく85%の容量に抑えられ、バッテリーの寿命を約1.5倍に延ばせるのもよい機能だと感じました。

防災目的で必須のソーラーパネル、小さいパネルの存在に注目

600 Plusの特徴が、ソーラーパネルとのセットモデルを主力として訴求し、それぞれを単品で買うよりも1万円前後安く購入できるようにしたこと。ソーラーパネルがあれば、災害などで停電が続いても日中に電力を生み出せ、防災グッズとしてのポータブル電源の価値が高まるため、「ポータブル電源買うならソーラーパネルも一緒に!」の戦略は評価できます。

ソーラーパネルは、同じ最大100W発電ながらサイズの異なる2種類の製品を用意。1つが、100Wクラスではオーソドックスなサイズのソーラーパネルが付属する「Jackery Solar Generator 600 Plus 100W」。もう1つが、100Wながらコンパクトな小型ソーラーパネルが付属する「Jackery Solar Generator 600 Plus 100W Mini」。Miniは小さいから発電能力が劣るかな…と思っていたものの、ともに定格の100W近い電力をコンスタントに発電してくれ、持ち運びや保管がしやすいMiniタイプが気に入りました。

  • 奥がオーソドックスなサイズのソーラーパネル。右手前が、コンパクトな設計のソーラーパネル。大きさはかなり違うが、いずれも最大100Wの発電ができる

  • コンパクトタイプのソーラーパネルは、折り畳めばこんなコンパクトに。このセットモデルがオススメだが、家電量販店での販売に限られるため、Amazonのようにセールでドーンと安くなることはないのが残念

ただ、それぞれ販路が異なる点に注意。通常サイズのソーラーパネルが付属するJackery Solar Generator 600 Plus 100WはAmazonなどのECサイトで、小型パネルが付属するJackery Solar Generator 600 Plus 100W Miniは家電量販店で販売します。前者は、Amazonのセールに応じて割り引きされ、現在はプライムデーに合わせて71,880円(通常価格は119,800円)で購入できます。しかし、後者は基本的に価格の変動がなく、116,800円前後で安定。コンパクトなソーラーパネルの魅力は大きいものの、価格差を考えると手が出しづらいのが残念に感じます。

日常的に使えばコスパも高くなる

アウトドアレジャーのお供、という印象が強かったポータブル電源ですが、ふだん使いすることで日常的に便利に使え、災害への備えにもなることが分かりました。大枚をはたいて買ったポータブル電源をたまにではなく日々使うことで、コスパも高まることは間違いありません。

しいていえば、Jackery製品特有のオレンジの差し色がアウトドアギア然としていて、リビングではちょっと主張が強すぎるな…と感じました。よりふだん使いに向くデザインやカラーリングの製品が出てくると、多くの家庭で好まれるようになるでしょう。

現在、Amazonではプライムデーの先行セールを実施しており、一年を通してもっとも安い水準で購入できます。通常サイズのソーラーパネルが付属するJackery Solar Generator 600 Plus 100Wは71,880円と、かなり魅力的な価格に。台風や水害が心配になる時期に入ったこともあり、いざという時に困り果てないためにも備えをしておくのがよいかもしれません。