スマートホーム用IoTデバイスを手掛ける中国メーカーのAqara(アカラ)は6月25日、日本市場への本格展開を進めるとして、メディア向けに説明会を実施。Aqaraブランドマネージャーのミア氏が、国内向けに販売する注目製品や、日本向けの展開などを紹介しました。
日本では聞き馴染みのないAqaraというメーカーは、中国スマートホームソリューションプロバイダー大手で、170以上の国と地域でIoT製品・サービスを提供しています。スマートホーム向けに幅広いジャンルのIoTデバイスを販売しており、特にAppleによるスマートホーム向けフレームワーク「HomeKit」に対応した製品を多く開発していることが特徴です。
日本では2024年2月にAmazon.co.jpで公式ストアを立ち上げ、まずは7製品を販売開始。バッテリー駆動するドアベル製品「スマートビデオドアベル G4」(16,980円)やカメラ付きのスマートデバイスハブ「カメラハブ G3」、ミリ波を使った「人感センサー FP2」(12,980円)など、順次取扱製品を拡充し、現在ではIoTデバイス20製品を販売しています。
注目はミリ波レーダーを採用した人感センサー。カメラもディスプレイも搭載しないこのセンサー、一体何に使うのかというと、エリア内の人物を最大5人まで検知して、転倒検知や、睡眠モニタリング(睡眠時間や目覚めた回数、心拍数や呼吸回数など)が行えるアイテムです。
人の検知や転倒状況、睡眠モニタリングなどは「Aqara Homeアプリ」で確認できるため、例えば高齢で一人暮らしをしている親のところへ設置すると、生活状況をある程度モニタリングできる見守りデバイスとして活用できる点が魅力です。
検知エリアは最大40平方メートルで、1つの部屋の中でもテーブル付近やソファ付近など、エリアをアプリ側で区分けして設定可能。他のデバイスとの連携も可能で、例えばテーブル付近で人を検知すると連携させた照明を点ける、人が転倒したら連携させたカメラからアラームを鳴らす、就寝を検知すると連携させたライトを消灯させるといった使い方もできます。当然HomeKit、Alexa、Google Homeなどのシステムにも対応し、音声操作や遠隔操作、タイマー設定などにも対応します。
業界団体・リビングテック協会の調査によると、日本のスマートホームにおける印象は「導入コストが高い」というデメリットや、「家電がネットワークに接続できることで利便性を感じる」など利便性のよさが上位にランクインしました。一方で「セキュリティを高めるうえで有効」は低い項目でしたが、ミア氏によると米国や中国、ノルウェーでは利便性の高さに加え、「セキュリティを高めるうえで有効」の項目も上位に入っているといいます(Statista Consumer Insights 2022)。
Aqaraでは今後セキュリティ面や経済的メリットといった、日本では意識されないスマートホームのメリットを訴求するほか、日本のスマートホーム市場規模の成長も見込んでいるといいます。
2024年7月以降は、日本向けに月に1度ほどのペースで新製品を販売していく予定で、まずは7月に検知精度を向上させたミリ波搭載人感センサー(Presence Sensor FP1E)を販売予定とのこと。
今後の展開は具体的には決まっていないとしながらも、しばらくはAmazon公式ストアによる販売を続けながら、将来的には自社による直販サイトや実店舗も検討し、販路を拡大していきたいとミア氏。日本で根強い“スマートホーム化は導入に手間・費用がかかる”というイメージを払しょくし、「設定の手間が少ない開発を重視し、実際に製品を体験できるイベントなどを通じて、一般ユーザーに製品を広げていきたい」と話しました。