猫がうんちをしたら、うんちだけをゴミ箱に捨てる自動掃除機能が働き、うんちを片付ける手間から解放されるばかりか、部屋に漂うニオイとは無縁になる――。そんなハイテクトイレを試用する機会に恵まれました。使う前は「ちゃんと機能してくれるのだろうか」と懐疑的でしたが、自動掃除と消臭の機能は満足できると感じました。さらに、猫がトイレをしたタイミングでスマホに通知が届き、体重も測定して知らせてくれ、猫の状態が把握できるのは安心できます。猫が怖がらずに使ってくれるかということと、置くスペースを確保するのが最大の難関といえますが、複数の猫を飼育している多頭飼いの人は特に検討する価値アリと感じました。

  • 自動掃除機能を備えた猫用のハイテクトイレ「PetSnowy」。ちょっとデカいが、ちょっと便利だった

とにかくデカいが、内部の機構に工夫アリ

今回試用したのは、猫用ハイテクトイレ「PetSnowy」。2023年6月にクラウドファンディングサイトのMakuakeで支援購入が始まり、2023年9月から一般販売されました。Amazonでの実売価格は75,800円です。

  • 正面に手動掃除などのボタンを配置。上部のふくらんだ部分は可動式のフタで、フタを開けると猫砂の状況が確認できる

PetSnowyは、猫がトイレをしたことを内蔵のセンサーで検知すると、猫が出たあとにうんちやおしっこが付着した猫砂などの排泄物を自動でゴミ箱に捨ててくれるという仕組み。ゴミ箱はフタがされるうえ、消臭剤と光触媒による消臭の仕組みも付いているので室内にニオイが伝わらない、という特徴を持ちます。

このようなPetSnowyですが、本体がとにかく大きいのにまず驚かされます。本体サイズは750×508×650mmで、新聞紙1ページよりもひとまわり大きい設置面積が必要。猫の出入り口は基本的に長辺部に限られるため、猫の出入りの動線を考慮したうえで設置スペースを確保できるかがまず重要となるでしょう。

  • 底面積は新聞紙よりもはるかに大きい。高さもあるため、設置場所の確保には苦労する家庭も多そう

これだけ大きいのは、排泄物だけを取り除くための機構が大きいから。この機構はトイレ部の回転と重力を利用して排泄物を選別する仕組みで、猫砂を敷いたトイレ部は球体となっています。球体の隣には、猫に付着した猫砂を払い落とす役割も兼ねる入出場用のステップを用意しているため、幅もあります。

  • カバーを開けると、トイレ部の球体が顔を出す。自動清掃機能が働くとこれが回転し、うんちやおしっこが付着した猫砂だけを振り分けてゴミ箱に落とす仕組み。右側は猫がトイレに入るためのステップだ

  • 球体は1/4ほど開口部があり、ここから猫が出入りする仕組み

  • 猫砂は、おしっこで固まるタイプを用いる。固まって粒が大きくなると、うんちと一緒にゴミ箱に落ちる仕組みだ

  • 球体への入り口のステップには凹凸のあるゴム製のマットが敷かれ、猫砂が外に飛び出さないようにしている

  • 入り口はやや高い位置にある

重力を利用し、排泄物だけをゴミ箱に捨ててくれる

排泄物だけを取り除く仕組みは、球体の装置内に設置したカメラの動画を見てもらえば分かると思います。猫がトイレ部に入って用を足して外に出ると、装置内の重さセンサーが猫の出入りを認識し、掃除機能が自動的に働きます。掃除機能が働くと、トイレ部がゆっくりと回転するのですが、内部の途中には網が設けられ、汚れていない細かな猫砂だけが通り抜けて一時的な保管ボックスに入ります。

【動画】球体内に設置したカメラで、重力を利用した自動掃除機能が働いている様子を撮影。ある程度回転すると、きれいな猫砂だけが網の奥の保管ボックスに入り、さらに回転すると網を通過できなかったうんちや汚れて固まった猫砂だけがゴミ箱に落下する仕組み。その後逆回転し、保管ボックスから出てきた猫砂がきれいに整えられた状態になるのはお見事

網を通り抜けられなかったうんちやおしっこで固まった猫砂はそのまま球体にとどまるのですが、さらに回転すると大きな穴が現れ、穴が下に来た段階でそれらが底面のゴミ箱に落ちる仕組みです。排泄物を落としたあと、球体は逆回転を始め、先ほど保管ボックスにたまった猫砂が再び球体に戻り、猫砂がキレイに整えられた状態でスタンバイ状態になる、という仕組みです。

  • 球体を取り除くと、底面にはゴミ箱につながる穴が開けられていた。球体が回転して開口部が底面に移動すると、選別されたうんちや汚れた猫砂がバラバラとゴミ箱に落ちる仕組み

  • ゴミ箱は専用のゴミ袋を用いる。ゴミ箱の引き出しを開けると、磁力で口が密閉された状態になるため、ゴミ袋の交換時もにおわずに済む。ゴミ袋は10リットルで、ゴミ捨ては冬期なら10日~2週間に1回程度、夏期でも1~2日に1回程度でよい

スタンバイ状態になると、ゴミ箱の開口部は球体の外周部でふさがれる形となるため、ニオイはゴミ箱でブロックされます。さらに、球体の入り口部には消臭剤や光触媒によるニオイ吸収&分解装置があるので、漏れてきたニオイも消臭してくれます。

  • 内部には粒状の消臭剤が装着できる

  • 光触媒を利用したニオイ分解装置も内蔵する。電気接点のある奥のスペースに格納して利用する

猫の行動や体重が分かるスマホ連携機能も

スマホとの連携機能も備えています。猫がトイレを済ませるとアプリに通知が届き、深夜や早朝など目が届かない時間でもいつトイレをしたか、何秒間トイレにいたかが確認できます。通知には猫の体重も記載されており、猫を捕まえて体重を量るのは意外と面倒なので便利だと感じました。優れているのが、体重の違いからどの猫がトイレを済ませたのか判別してくれること。複数の猫を飼っている多頭飼いの家でも、それぞれの猫の行動をしっかり管理できます。通知は日本語の表記が妙にコミカルなのですが、そこはご愛敬。

  • スマホアプリで参照できる動作記録。トイレを使った時間、滞在時間、どの猫が使ったか、猫の体重などが振り返れるので有用だ。ただ、「虫のようにぴったりと寄り添い」といった不思議な表現も

猫が怖がって入ってくれない場合はカバーを外してみる

PetSnowyで唯一気になったのが、「猫によっては入ってくれない」心配があること。用心深い猫の場合、PetSnowyの存在は気にするものの、入り口が高いこともあって中に入ってくれませんでした。PetSnowyは、上部のカバーを外した状態でも使えるので、ひとまずその状態で使ってみて、猫が慣れて入ってくれるようになったらカバーを取り付けるのがよいでしょう。カバーを外していると、消臭効果が薄れるのと、取り外したカバーを保管する場所を確保する必要があるのが欠点ですが…。

  • 中の様子をうかがうものの、なかなか中に入ってくれない猫も

【動画】カバーを開ければ、正面以外からでもトイレに入れるようになるメリットも。ふだん猫が好んでいる寝床の近くに置けば、使ってくれるようになるかも

その心配と「とにかく本体が大きい」という欠点を除けば、PetSnowyは機能面では満足でき、「意外によくできていた」というのが感想です。うんち処理の手間がかかる多頭飼いの人にとっては、特に恩恵が大きいと感じます。

クラウドファンディングサイトのMakuakeでは、PetSnowyの一部の機能を改良した改良版が3月21日に登場しました。基本的な機能やデザインは共通ですが、消臭機能の強化や、内部のセンサーを追加して猫の安全性を高める機能の強化、ゴミ箱の状況を検知して満杯であることを表示する機能を追加するなどの機能強化が図られています。カラーも、落ち着いたグレーが追加されました。早期購入では、標準価格の33%引きの54,790円で購入できるのでおトクといえます。なお、現行モデルのPetSnowyは3月22日からAmazonで25%引きの期間限定セールを実施するとのことで、急ぎで使いたい人はこちらも検討するのもよいでしょう。